俺は人を探すように、静かな建物内を歩いた。
第9話 愛と虚構の狂詩曲
水越さんが最後に遊ぼうなんて言うから鬼ごっこをしていたのに、全く人に会わない。会ったのは洸太だけだ。
そんなことを考えていたらあることに気づいた。今、自分が歩いていた地面を見ると赤い何かが散らばっていた。絵の具か?とも思ったが、前を見ると絵の具では無いことに気づいた。
目の前には悲しそうに微笑む水越さんが横たわっていた。急いで駆け寄ったが、もう息はしていないみたいだ。だが、体の温もりはまだあった。
成海「あ、春翔くん」
気色の悪い笑みを浮かべながら俺の名前を呼んだのは洸太だった。
松平「これ、お前がやったの…?」
成海「正当防衛。」
松平「お前…マジかよ…」
成海「春翔くん。一緒に死のう。」
成海「僕、色々調べてたんだよ。」
成海「何が1番楽に死ねるか」
松平「調べるって、水越さんで…?」
成海「違うよ。今まで沢山の人の死を目の前で見てきた。」
成海「そんな中でみんなが楽に死ねてたのは練炭自殺だったよ。」
こいつはもうだめだ。頭のネジが外れている。俺が何を言ってもこいつは多分止まらないだろう。
成海「さぁ、練炭自殺の準備をしよう。」
松平「お前さ、もう止まる気ない?」
成海「ないよ。」
こいつにはもう止まる気は無い。なら俺も止める気はない。
松平「じゃあもういいよ。早く弟に会いたいからさ。」
俺はこいつと一緒に死ぬ気なんて更々ない。
松平「じゃあ、道具用意するわ。」
成海「ありがとう。」
ーーー
俺の片手には縄があった。見た感じ頑丈だから、途中でちぎれることはないだろう。俺は前に見た動画の通りに縄を準備した。
今行くよ。叶翔
1人にしてごめんな。
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