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💛 side
スタッフ「放送開始まもなくです!」
スタッフさんのハリのある声がスタジオに響く。
放送開始までおおよそ20分。
時間の許す限りダンスのフォーメーションや座る位置、移動の流れ等、念入りに確認していく。
💙「っし。問題なさそうやな。」
太智からOKサインが出れば問題ないだろう。
和やかに残りの時間を過ごしていると、いきなり勇斗がグッと肩を抱き抱えてきた。
💛「ッ、はやと?」
🩷「……」
勇斗の目線を追いかけていくと、先に居たのは修斗と輝だった。
修斗「仁人…」
輝「…」
2人とも、無表情でこちらをじっと見つめている。
🩷「仁人、大丈夫?」
耳元に唇を寄せ、勇斗が小さく言葉を発する。
少し色っぽい勇斗の声色を耳に直に受け、ふるりと身体が震える。
💛「…大丈夫。」
それを見た2人の表情はみるみる歪み、ゆっくり、こちらに近付いて来る。
❤️「仁ちゃん…」
舜太の声が背部から聞こえてチラリと見ると、いつの間にか太智と柔太朗も近くで構えてくれていた。
💛「みんな…ありがとう。」
下を俯き、ゆっくり目を閉じる。
今日で、全てを終わらせる―――
顔を上げ目を開けると、再び修斗と輝の姿を捉えた。
駆け出して、2人の手を握り、控えめな笑顔を向ける。
💛「…お久しぶり。元気だった?」
修斗達も勇斗達も、驚きの表情を浮かべている。
何とも間抜けな表情に自然と笑みが深くなる。
💛「2人の新曲聴いたよ。前にも話してたけど、やっぱりお前らのコンビは最高だと思う。」
輝「…え?」
修斗「お前、何言って……」
💛「本番のパフォーマンスも楽しみにしてるね。……じゃ、また後で。」
言いたいことだけ一方的に述べて、身体を翻す。
一歩踏み出そうとすると、修斗に腕を掴まれる。
修斗「仁人…ッ!」
🩷「修斗さん、でしたっけ?」
すかさず勇斗が修斗の腕を払い、みんなの元へ戻るよう背中を押してくれた。
🩷「いきなりの共演となって少し驚きましたが…楽しみにしていました。お互い最高のパフォーマンス出来るように尽力しましょう。では。」
呆然とする2人を背に、番組側から指定された自分達の初期配置に着く。
🩷「仁人、腕大丈夫か?」
💛「うん、大丈夫だよ。ありがとう。」
🤍「よっしー、俺らが全力でサポートするから安心してね。」
察しのいい柔太朗。
俺が番組内で何かやろうとしてると悟ってくれたのだろう。
💛「ありがとう。援護よろしく。」
スタッフ「本番行きます!5秒前ー!3、2、1……」
司会者「さぁ、今夜も始まりました!〇ステ!」
アナウンサー「今日は6組のアーティストの皆さんに曲を披露してもらいますよー!」
司会者「その中でも注目したいのはメンバーが新規加入したM!LKとコンビになったdropですかねー」
🩷「よろしくお願いします!うちは矢野がいなくなっちゃったんですが、新たに吉 田 仁 人くんがメンバーになってくれまして。」
💛「よろしくお願いします。」
司会者「吉田くん、前はdropに居たんだよね?大丈夫?気まずかったりしてない?笑」
💛「大丈夫です(笑)寧ろ観てる皆さんの方が気まずいかもしれませんが、円満別れなんで。」
修斗と輝が目を見開いた気がしたが、気にしない。
司会者「あ、じゃあ、後で根掘り葉掘り聞いてもいい感じ?」
💛「えぇ、是非。」
司会者「分かりました!じゃあ後でたくさん聞かせています!で、お次のアーティストは―――」
話が進んでいく中、太智が心配そうに声を掛けてくれる。
💙「仁人、話振られるん、大丈夫か?」
💛「大丈夫だよ。寧ろそうなるように仕向けたから狙い通り。」
❤️「なら良かった。仁ちゃん無理しないでね。」
💛「ん。サンキュ」
司会者「さぁ、お次はdropのお2人です!よろしくお願いします!」
修斗「よろしくお願いします。」
輝「お願いしまーす!」
司会者「2週連続での出演ありがとう!けど、今日は良かったのかな…?(笑)ねぇ、吉田くん。」
💛「あ、大丈夫です。寧ろ皆さんに気を遣わせてしまって逆に申し訳ないです(笑)」
司会者「喧嘩別れじゃないみたいね?」
💛「そうなんですよ。元々僕はdropのメンバーとして修斗と輝と3人で活動していたんですけど、活動を続けて行く中で、修斗と輝のコンビネーションが凄い良いなってずっと思ってまして。で、2人にコンビで活動したらどう?って話したんです。」
司会者「あ、そういうことだったの?」
チラリと横目で修斗と輝を見ると、驚きに満ちた顔をしている。
不要な事を発言される前に一気に畳み掛ける。
💛「そうなんです。2人もコンビ活動に興味持っていましたし、であれば自分が抜けようと。で、僕としては少し多数のグループに所属したいなって思いまして、ご縁あってM!LKに所属という今の形に落ち着いたんですよ。」
司会者「なるほどねー。ファンの皆さんも今の話を聞いてホッとした人も多いんじゃない?」
💛「そうですね。なかなかこういった情報を発信する場も無いので、寧ろ今日は修斗と輝と一緒に番組出られて良かったです。」
❤️「仁ちゃん、dropの曲生で観られるってワクワクしてたもんな!」
💛「え、舜太うっさい(笑)」
💙「確かに!楽屋で喜んでたもんな!」
🤍「言ってた言ってた」
💛「おい、恥ずかしいからそれ以上何も言うな。」
みんな、援護ありがとう。
心の中で感謝を述べる。
司会者「ハハハ!よかったよかった!」
アナウンサー「吉田さんからしか話を聞けなくて残念ですが、お時間になったちゃいましたね…!dropのお2人、スタンバイをお願いします!!」
修斗「あ、はいっ」
スタジオに向かう途中、輝と目が合う。
今にも泣き出しそうな顔に、笑顔で行けとジェスチャーを送る。
🩷「仁人、よく頑張ったな。」
💛「ありがと。これでファンの皆も少しは安心できるかな…過去なんていくらでも捻じ曲げられる。辛い気持ちを抱えるのは、自分だけでいい。」
修斗と輝が定位置に着く。
司会者「お、準備できたかな?」
アナウンサー「それでは歌っていただきましょう。dropで、“Dear…”」
🩷 side
dropの歌がスタジオに響く。初めて聴く、2人の歌。
修斗の力強い声と輝の柔らかな声が心地よい。
しっとりとした曲調に合った柔らかいダンスも加わり、思わず魅入ってしまう。
🩷「上手いな。」
💛「…上手いだろ。あいつらに散々苦しめられてきたからあんま褒めたくはないけど…歌とダンスはマジですごいんだよ。」
困ったように笑う仁人。
2人から酷い仕打ちを受けてきたにも関わらず、元メンバーのいい所は素直に認めて褒められる。
そんな優しさに満ちた内面に、どうしようもなく惹かれる自分がいる。
🩷「なんか妬けるな。」
💛「ん?何が?」
🩷「もっと早く、仁人に出逢いたかった。アイツらじゃなくて、俺が初めに出逢いたかった。」
💛「ふは、なんだそれ。」
仁人がふわりと笑う。
仁人が2人と出会ってなかったら。
はじめから俺達と出会ってチームを組んでいたら。
仁人が“過去なんていくらでも捻じ曲げられる”と言っていたけど、あくまでそれは表面的な話であって。
過去に起こった事実そのものはもちろん捻じ曲げることなんてできない。
そんなことは分かってる。
分かってるけど、考えずにはいられなかった。
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