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ⅱ
意識が戻ってくる感覚。
なぜか少し苦しい。
目を開けると、
僕の身体にしがみつくようにして眠る琥珀さんの姿が。
頭を撫でてみる。
琥珀さんが目を開けた。
『おはよう、甘ちゃん。』
まだ少し眠そうに言った。
『わぁ!ごっ…ごめん、起こしちゃったかな?』
僕はびっくりした。
頭を撫でてたの、気付かれたかも!
『だいじょーぶー』
琥珀さんは嬉しそうだった。
これはバレてるな。
恥ずかしさを誤魔化すため、
『お、おはよう、琥珀さん。』
と、挨拶を返した。
朝食はトーストだった。
こんがりと焼けている食パンと卵焼き、味噌汁がある。
『ジャム、使う?』
と、イチゴジャムを渡される。
『じゃあ、使おうかな。』
そう言って僕はイチゴジャム受け取った。
どれも美味しかった。
朝食を終え、
『今日はどうしようか?』
と、訊いてみる。
『甘ちゃんは何かしたいことはない?』
と、逆に訊かれた。
うーん、
この島に何があるのか、まだ知らない。
『僕はこの島に何があるのかわからないから、おすすめの場所とか色々、見てみたい。』
と、言ってみる。
琥珀さんは考えている。
そして、何かを思い出したように言った。
『じゃあ、あそこに行こう。』
どこだろうか。
バスに乗る。
バスの中はかなり空いていた。
僕と琥珀さんが椅子に座ると、ドアが閉まり、走り出す。
複数のバス停を過ぎた後、琥珀さんがボタンを押す。
するとバスから、“次、止まります。”と、アナウンスが流れる。
『もうすぐだよ。』
と言われた。
そこは木や草ばかりで、周りに建物がほとんどない場所だった。
琥珀さんが僕の手を取り、バスを降りる。
そのまま少し歩くと、柵の前で止まる。
『ここだよ、』
琥珀さんは笑顔だった。
でも柵があり、その奥はただ広い何かがあるだけだった。
『ここは?』
訊くと、琥珀さんは口に人差し指を置いた。
?
すると、だんだん大きな音が聞こえてきた。
そしてその音の正体が現れる。
『飛行機?』
僕の前を1機の飛行機が降りてきて、通り過ぎていった。
僕はその姿を眺める。
『ちょうどよかった。甘ちゃん、飛行機好きだったよね?』
ふと、琥珀さんが言った。
どうなんだろうか。
でも、かっこよかった。
きっと好きなんだろうな。
『うん』
僕は頷いた。
次は、少し歩いたところにある大型ショッピングセンターに行く。
中には沢山のお店があり、多くの人で賑わっていた。
琥珀さんはより一層強く、僕の手を握り、
そして、人を避けるように引っ張りながら歩く。
人が怖いのだろうか。
そう思いながら、1つのお店の前で止まる。
『琥珀、新しい服を買いたいんだけど、いいかな?』
そこはおしゃれな服屋だった。
『うん、大丈夫だよ。』
と言って、中に入る。
琥珀さんは、1つの服を手に取った。
『これが欲しいの。』
と、僕に見せてくる。
特に模様など特徴のない、真っ白な服。
『試着してみたら?』
と訊くと、『うん!』と返ってくる。
試着室に入る前にベージュのスカートも、手に取った。
『それも?』
琥珀さんが頷く。
琥珀さんが、試着している間、その場でお店の中を見てみる。
女性ものばかりだった。
まぁ、僕は新田先生からもらった服がある。
どれもそれなりのお値段がしそうな服で…
また、お礼をしに行かないと。
すると、試着室のカーテンが開けられ、着替えた琥珀さんがでてくる。
『どうかな?』
うーん、
やはり、少し地味だと思った。
でも琥珀さんが、気に入っているなら、
『うん、落ち着いた感じでいいと思う。』
上手く褒められない。
けど、琥珀さんは喜んでくれた。
琥珀さんは自分の服に着替えて、
『次は甘ちゃんが琥珀に似合う服を選んで欲しいな。』
というわけで、服を見て回る。
琥珀さんが選んだ服とスカートは購入。
2つ合わせて5千円ほどだった。
他のお店も見てまわる。
すると、
『これ、甘ちゃんに似合いそう。』
と、琥珀さんが一着持ってくる。
ふりふりのフリルがあり、ピンク色のリボンが付いていた。
メイド服みたいにも見える…
『おぉ、いいとおもっ…』
あれ、今なんていった?
僕に似合いそう?
琥珀さんは、その服を僕の前に出して、
『似合ってる、可愛い!』
と言う。
どう見ても女性ものの服だった。
『ボクニ…ニアウ?』
琥珀さんは笑顔で頷く。
んなバカな。
『いやいや、絶対琥珀さんの方が似合うでしょ』
と笑って言った。
でも琥珀さんは首を横に振る。
『琥珀は…かわいくないから似合わないよ、』
可愛くない?
服が可愛くないってことだろうか。
可愛さをわざとらしく出した服ではあるけど、琥珀さんがそんなことを言うとは思えない。
なら……自分に向けて言ったのか……。
琥珀さんは寂しそうな顔をしていた。
なら、言うことは、
『そんなことはない。琥珀さんは間違いなくかわいいよ!』
自分が思っていたより大きな声を出してしまったようで、周りの人々に注目される。
でも、恥ずかしいとは思わなかった。
琥珀さんは顔を赤くして、俯く。
『ほんと?』
小さな声が聞こえてきた。
『うん』
琥珀さんが買った服が地味だったのもそういうことか。
僕は色々見た中で気になる服を思い出す。
センスとかよくわからない。
けれど、女性ものの服をほぼ見終わった今でも気になるのはその服くらいだった。
本当は、ちょこちょこ良さそうな服はあったけど。
琥珀さんが派手な服を元に戻すと、僕は琥珀さんの手を取り連れて行く。
『どこに行くの?』
僕は答えず、お目当てのお店に入る。
そして本当のお目当ての前まで行き、手に取る。
『これはどうかな。』
ピンク色の薄い羽織りもの。
こんな服はここ以外どこにも売ってなかった気がする。
『こ、こんなの…恥ずかしいよ。』
と、言われた。
琥珀さんの顔が真っ赤になる。
『ちょっ!違う!これだけ着るってわけじゃないよ!」
慌てて言う。
僕は琥珀さんが買った服を指さして、
『この服と合うんじゃないかなと思って…』
真っ白な服の上にこのピンク色の羽織りものを着ればおしゃれになりそうだ。
『どうかな、』
あとは琥珀さんがどう思うかだ。
今は少しずつ暖かくなってきており、半袖の服も出始めている。
琥珀さんが買った服もこの羽織りものも、長袖。
でも、まだ肌寒い日もあるし、季節的にちょうど良いのではないかと思った。
琥珀さんはしばらく見た後、
『この服、買う!』
そう言って、レジへ持って行く。
無事、購入できた。
『甘ちゃんも服、見てみる?』
琥珀さんが訊いてきた。
一着くらい買おうかな。
『でもその前に、昼食取らない?』
もう13時を過ぎていた。
『そうだね。』
僕たちは3階にあったカフェに入る。
琥珀さんはサンドイッチとミルクティーを、僕はパスタとカフェオレを頼む。
あ、
僕、お金持ってない……
固まる僕に、琥珀さんは財布を差し出す。
『甘ちゃんの財布だよ。』
頭の中が?だった。
『これは甘ちゃんと琥珀のお金だから、ね!』
そう言って、琥珀さんは財布からお金を出した。
無事?購入できた。
食事を楽しんだ後、琥珀さんと色々な服を見てまわる。
と、琥珀さんが、
『これがいいかも、甘ちゃんに似合うと思うよ。』
と、一着の服を見せてくる。
今回は、白い無地のシャツに青緑色の羽織りもの。
このセットは…
僕も気に入った。
ズボンは、グレーのジーンズを手にして、試着室に入り、着替えてみる。
やっぱり。
琥珀さんが買ったものと似ている。
サイズはあっているようだった。
『似合ってるよ、カッコいい!』
琥珀さんがいつのまにか試着室の中に入っていた。
わぁ、
『勝手に入ってこないのー。』
琥珀さんを外に追い出し、元の服に着替える。
2つをレジに持って行き、購入する。