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クリスマスは太中をいちゃいちゃさせてネットを盛り上げる日だって習ったので私も便乗してクリスマス太中のノベルを上げてネットを盛り上げます。是非お楽しみ下さい。

注意!!(多い)

太中(太中と知らずに来た人いないと思うけど一応)

注意等含め11872文字

始めはそこまで甘くないけど可愛い

後半は甘々

可愛い太中

22歳軸

ハッピーエンドだから安心安全

付き合ってる

中也が可愛い(常識)

誤字、脱字があっても優しく見守って下さい

難しい漢字とかに変換はしてないです

視点がよく変わるので頑張って下さい(?)

ノベルの癖に台詞多い(またかよ)

それでも大丈夫ならどうぞ!!


.:*:・’°※。.:*:・’°.:*:・’°

太宰の誕生日に店でマグカップを買った。出会って一年経ったけれど、太宰が何が欲しいのか全くわからず、とりあえず使えるものを…とただなんとなく選んだ品だった。

『…これ、何?』

『…誕生日プレゼント』

『くれるの?』

『おう』

『……プレゼント』

太宰はその後なにも言わず、ただじっと綺麗にラッピングされた透明の袋に入っているマグカップを眺めていた。

.:*:・’°※。.:*:・’°.:*:・’°











ガチャ


「ちゅーやー!ただいま!」

「うぉ、おかえり…じゃなくて!なんでいつも勝手に家入って来るんだよ!」

「えーどうせいつも待ってる癖に~」

「っ…」

「え、何々図星?」

「うるせぇ!さっさと中入れ!玄関寒い!!」

「はいはい…」





「外寒かったよ~…」


なら態々ここまで来なくても良いのに…

という気持ちを抑え、太宰に何か暖かい飲み物を用意しようと台所に向かった。


「マグカップはこれでいいか…」


…あと少しが届かねぇ…


「~~っ……!とどいた_____あ」


カシャン!!


「ちょ、中也、凄い音したけど大丈夫?」

「大丈夫だ、ただマグカップが割れちまっただけだ。怪我もしてねぇ。」

「あ……」

「あ?マグカップ位なら他にもあるから大丈夫だよ。替えは何個もある。」

「無いよ…」

「はぁ?」

「大事な物だったのに…なんで壊しちゃうの…」

「いや、わざとじゃねぇよ…」


というか、なんでそんな怒ってんだよ…


「しかも覚えて無いわけ?意味わかんない」

「…なんでそんなマグカップ1つごときで怒ってんだよ」

「ごときって何?人の思い出の者壊しといてごめんも無いの!?」

「だからわざとじゃねぇって言ってんだろ!まず、このマグカップに思い出なんて…!」

「もういい!中也なんて嫌い!」

「はぁ!?ちょ、」


バタンッ


「なんなんだよ、彼奴、意味わかんねぇのはこっちだよ…」











「はぁ~~~~~~~…」

「だ、太宰さん…どうしたんですかそんな大きなため息ついて…中也さんとでも何かありましたか?」

「それが聞いてくれたまえよ敦くぅ~~ん!!!」



「中也ったら酷いでしょ!?全く私もこれにはカッとなって中也の家を出ていってしまったよ」

「はぁ…そうだったんですね(呆)」

「なんだい敦君その目は…」

「いえ別に…ただ…なんかもう聞いてられなくて…」

「酷い!」

「あのー…」

と、この話を終始静かに聞いていた谷崎君が間に入ってきた。

「実は僕も昨日ナオミと喧嘩しちゃったんですよね…」

「谷崎君…!仲間だね…!よし同盟組もう」

「え!?…そうですね!」

「そこで同盟結ばないで下さい…」






「…そういえばそろそろクリスマスだなぁ」


あれから暫くし、私達が落ち着いた頃にふと、敦君はぽつりと呟いた。


「谷崎君はナオミちゃんとクリスマスどう過ごすの?」

「え、…うーん…あんまり考えて無かったけど…二人で静かに美味しい料理を食べて過ごしてもいいですし、ライトアップされた街を何か食べながら歩くのも良いですね…まぁ、まずナオミと仲直りするのが先だけど…」

「ふーん…敦君は?」

「僕ですか?僕は…特に決まってないですね…でもクリスマスっぽいことはしたいです」

「なるほどねぇ…」

「太宰さんは中也さんとクリスマス過ごさないんですか?」

「うーん…だって…」


そりゃ年に一度のクリスマスだ。一緒に過ごしたいに決まってる。でも…










「中也よ、今朝からずっと不機嫌ではないか。太宰と何かあったのか?」


マフィア本部でばったり姐さんに会った途端にこんなことを訪ねられた。


「…別に。姐さんには関係無いです。」

「否、関係ある。こんな不機嫌な部下を言葉をかけて正常に直すのも上司の務めじゃ。」

「…ただ俺たちの話聞きたいだけですよね?」

「おや、ばれたか」


そういって袖の端を口の近くに寄せくくくと笑っている。

お願いはあまり断れない性格の為、ましてや姐さんからの頼みだ。俺は渋々前にあった事を話した。



「全く…クリスマスも近いというのになに喧嘩しておるんじゃ…さっさと謝った方が良いぞ。」

「俺は悪くねぇもん…」


本当に彼は成人男性なのだろうか。はたからみたら身長も相まって少年にしか見えない。全く、昔からお互いのことになるととても年相応の(昔は)少年のようになることは変わっていないのぉ…。そう思いながら紅葉は聞いていると、中也がとあるワードに食い付いた


「って言うか…もうすぐクリスマスなんですね…仕事に夢中ですっかり忘れてました」

「中也よ…仕事に励むのは良いことだが、やり過ぎは躰に毒だと何回言ったかえ?」

「…すみません」

「全く…太宰がそこまで中也に怒る位大事なものなんて、中也が関係してるとしか思えないがのぉ…ちゃんと心当たりを考えたか?」

「…あのときは、どういうことかよくわからなくてふて寝して何も考えてないです」

「…はぁ…呆れる…いいか中也。今日はちゃんと今までの記憶をたどって思い出すんじゃ。分かったか?」

「はい…」

「中也は太宰と一緒にクリスマスを過ごしたくないのかえ?」

「そりゃあ…」


俺だって、クリスマスは太宰と一緒に過ごしてぇよ。だけど…











「太宰が怒った理由…」


あれから俺は仕事を終え、家に帰り一通りの事を済ませ、ソファーでずっと考えていた。


「あのマグカップ、何か特別な事あったっけ…?うーん…」


そういえばあのマグカップは、22歳になり、太宰がよく家に来るようになってから、ここに置いておいて欲しいと頼まれてここに置いてたな…じゃあもとは太宰の物だったのか…悪いことしたな…でも、だからってあんな怒る理由になる気がしない。そもそも彼奴はこういう物には興味を示さないタイプだし…

じゃあ何故?


『太宰がそこまで中也に怒る位大事なものなんて、中也が関係してるとしか思えないがのぉ…』


俺関係?俺マグカップなんて太宰にあげたっけな?…ん?そういえば昔、太宰になんかあげてた様な…………あ











『もうすぐ太宰の誕生日か…』


太宰は6月19日が誕生日だということを首領から知り、相棒の癖に相方の誕生日を祝わないのもあれだしな…(今さらだけど死にたがりの誕生日を祝っても太宰は全く嬉しく無いだろうけど)と思い、何かプレゼントをあげようとプレゼントする物を考えていた。

…と言っても、彼奴は何が欲しいんだ?まず、欲しい物なんて彼奴にはあるのか?

…あ、そういえば彼奴、いつも顔白いし、なんかずっと寒そう(?)だからあったかい飲み物でも飲めるマグカップでもプレゼントしようか?…うん。これにしよう。もうそれ以外思い付かない。疲れた。明日買いに行こう。とりあえず今日は疲れた。寝る。


『おやすみ…』


翌日、仕事が休みだったので、早速マグカップを買いに行った。太宰の為に沢山考えるのも何か嫌だったから、デザインは無難に太宰っぽい黒色の無地のマグカップにした。

それからラッピング用のリボンなどを揃え、家に帰りマグカップを綺麗に包装し、誕生日当日に備えた。


『喜んで貰えっかな…』






当日、太宰を見つけだし、プレゼントを渡した。


『…これ、何?』

『…誕生日プレゼント』

『くれるの?』

『おう』

『…プレゼント』


誕生日ということもあり、元のテンションが低く、反応は正直微妙だった。やっぱり駄目だったか…?

太宰はその後なにも言わず、ただじっと綺麗にラッピングされた透明の袋に入っている無地の黒いマグカップを眺めていた。

まぁ、いらないとは言われてないからこれは喜んでくれたのか…?…あーもう面倒臭くなってきた。


『…じゃあ俺はこれで』

『中也』

『…なんだよ』

『その……やっぱりなんでもない。』

『あっそ、じゃあな。今日はもう自殺なんてするんじゃねえぞ』


『…こんなの貰って、出来るわけないじゃない…』











…思い出した。


「あれ、俺達が16の時太宰にあげた誕生日プレゼントだ…」


尚更顔向けすることが出来なくなくなってしまった。そんな大事な物だったとは…ちゃんと持ってたんだな…ちょっと嬉しい。

…というか、俺、どうしよう。これは完全に俺が悪い…

だからといってここまで来てこっちから謝る勇気は無い。

一体どうしたものか…











…太宰と中也が喧嘩をし、数日が経った。






「え、まだ仲直りしてないんですか…」

「だってぇ…私悪くないもん…悪いのは中也だもん…」

「だからって…あそこまで怒らなくても良かったんじゃないですか?」

「むぅ…谷崎君は翌日にはナオミちゃんとすぐ仲直りしちゃうし」

「良いことじゃないですか」

「同盟が…仲間だと思っていたのに…」

「行動しない自分が思いますよ」

「ぐっ…」


…最近、敦君が辛辣になってきた気がする。私、一応敦君を拾った命の恩人で上司のはずなんだけど…


「はぁ…」


(全く…)痺れを切らした敦は自身の携帯を取り出し、とある人に連絡を取り始めた。











喫茶店うずまきにて


「芥川、お前に協力して欲しい。」


そう、敦が連絡を取っていた相手とは、敦と因縁の仲である芥川だった。(お互い万が一何かあった用に一応連絡先は交換してる)


「作戦はさっきメールで書いた通りだ。…太宰さんが全然動いてくれないんだ…」

「ふむ、こっちも中也さんが最近不機嫌すぎて周りが近づけないと大変困っている。その案に今回だけは乗ってやろう。」

「!そうか、良かった…じゃあまずは太宰さんと中也を誘わなきゃ行けないから…」

「集合場所は別々の方が…」

「店は無難にショッピングモールとか…」


……


「じゃあこれで決まりでいいか。」

「嗚呼、大丈夫だ。これであとは上手くいけば良いけど…」











翌日


「太宰さん」

「………なんだい敦君…」


随分しおしおに枯れている…この様子だとまだ仲直りできて無いんだなぁ…


「太宰さん、25日、気分転換にショッピングモールにお出かけしに行きませんか?」

「…ショッピングモール…」


そう、この時の太宰はもう瀕死状態である。

そんな身も心も枯れそうになっていた彼は、もう吹っ切れて一旦リセットすることが大事と考えた。25日はクリスマスということを忘れて。


「…どうでしょうか?」


流石に駄目かなぁ…と、そんな事を思っていると、


「……行く」

「え!?」

「そっちから誘っといて驚くなんで酷くなぁい?」

「す、すみません…じ、じゃあ25日の午後6時、○○のショッピングモールで待ち合わせで良いですか?」

「了解~楽しみだなぁ~」

「そうですね!」


い、いけたぁ~~~~~!!

なんとか誘えた!!芥川に連絡しないと…

太宰さんをこれだけしおしおにさせるなんて…中也さんの力は偉大だなぁ…


「敦君とショッピングモールにお出かけかぁ………いや、私は悪くない。(そっちが謝ってくれないならもう敦君と遊んじゃうもんね!)」











「中也さん、25日、僕とショッピングモールに出掛けませんか。」

「…ショッピングモールだぁ?」


見た目だけで分かる。不機嫌も相まって、きっと仕事に没頭していたのだろう、目の下には隈が出来、周りの空気はピリピリしている。


「銀と行かなくてもいいのか?」

「銀は黒蜥蜴の奴と一緒に出掛けるのでそこは大丈夫です。」

「ん~…お出かけなぁ…」


そう、この時の中也は太宰と同様瀕死状態であった。

もう身も心も重く暗くなっていた彼は、太宰と同様もう吹っ切れて一旦リセットすることが大事と考えた。25日はクリスマスということを忘れて。


「どうでしょうか」

「…行くかぁ」

「…!?」

「いや、自分で誘っといて何驚いてんだよ」

「失礼…こほん、それでは、25日18時、○○のショッピングモールにて待ち合わせで宜しいでしょうか?」

「嗚呼、問題無ねぇ」

「それでは当日宜しくお願いいたします」

「おう」


「…なんとかいけた…後で人虎に連絡しておこう。」


…しかし、中也さんにここまで影響を及ぼすとは…太宰さん、流石です。


「芥川となぁ…」

「おや中也、あれから…顔を見るに仲直りはしていない様じゃな」


芥川と別れたあと、またもやばったり会った途端に姐さんから今一番刺さる言葉が降ってきた。


「姐さん…」

「25日に彼奴と出掛けに行くのか?」

「はい」

「…太宰とはどうするのかえ?25はクリスマスじゃが」

「…あ」

「もしかして忘れてたのか…全く…最近何時にも増して頑張りすぎじゃ。少しは休め。鴎外殿に24日の休みを貰ってくる」

「え、でも」

「駄目じゃ。これは上司からの命令だぞ?」

「…分かりました」

「そういえば太宰が怒った理由、分かったか?」

「あ、はい。…あれは、俺達が16の時に太宰にあげた誕生日プレゼントでした」

「やはり中也関係か…プレゼントなんてきっと初めてもらったんじゃろ。だから大事な物だったのかもしれないのぉ」

「…どうしましょう。俺が全部悪い…直すことも出来ないし」

「そうじゃのう…新しいマグカップでも買ったらどうじゃ?」

「それで太宰は許してくれますかね…」

「さあな。でも、マグカップのことも思い出してくれたし、太宰のことじゃ、反省の色が見えるなら中也になら許して貰えそうだがの」


そう言い、姐さんは前の様に袖の端を口の近くに寄せくくくと笑っている。俺はめっちゃ真剣に悩んでんのに…まあでも……割っちゃったのは本当だし、マグカップ買ってやるか…


「相談に乗っていただきありがとうございます、姐さん」

「気にするでない。二人の話を聞くのは大好きじゃからのぉ」

「…あ、ありがとうございます…?」





そんなこんなで迫る25日。なかなか縮まらない二人の距離。












当日


「あ、太宰さーん、こっちです!」

「敦君、こんにちは」

「もうこんばんはじゃないですか?」

「6時ならどっちでもいいんじゃない?」

「暗くなったらこんばんはです!それじゃあなんとなくいいお店あるか歩きますか」

「そうだね」






「おーい芥川ー!」

「ぜぇ…はぁ…すみません…ゲホッ時間に遅れてしまって…ゴホゴホッ」

「おい芥川、大丈夫か…とりあえずあそこで休もう」

「本当にすみません…」






「そういえば、服何時もと違ってお洒落ですね、僕が女の子だったら惚れちゃうかもです」

「そうかい?嬉しいこと言ってくれるねぇ」

「中也さんこんな太宰さんといつも一緒にいるなんて、僕だったらどうかしちゃいますよ…中也さんはすごいなぁ…」

「…そうだね」

「…」


まずい、出すぎた質問をしてしまった…どうしようこの気まずい空気…


「あー…あ!太宰さん!あの大きなクリスマスツリー、もっと近くで見たいです!ほら、早く行きましょ!」

「え、ちょ、敦君、待って!」






「どうだ?落ち着いたか?」

「はい、ありがとうございます。飲み物も…」

「このくらい大丈夫だよ。…そう言えば、その服、似合ってんな」

「!いえ、中也さんも良くお似合いで。」

「おう、ありがとな」

「中也さん、行きたい所があるのですが…」

「お、どこだ?行く場所は決まってないし、好きな所行くか」






「わー!綺麗ですねー…ん?」

「どうしたんだい?敦君…」

「あ、芥川!なんでここに!」

「人虎こそ、何故ここにいるんだ」

「中也…」

「だ、太宰…」

「「…」」

((とても偶然には思えない…))


「あー…えっと…せ、せっかく今日クリスマスだし一緒に周るか?」

「そうだな」

「は?」

「え?」

((何故そうなる!?))






それから俺達はひょんなことから太宰達と一緒にショッピングモールをまわることになった。


「それにしてもイルミネーション綺麗ですねー、僕、初めてこんなの見たので…」

「そうか、今まで孤児院にいたもんな、こんなのあるわけねぇか。どうだ?綺麗だろ」

「はい、すごく綺麗です!感動しました!」

「だろ!」

「…」


こいつ可愛いな…こっち(マフィア)にもこんな奴がいれば癒しなんだがなぁ…まぁ、こんな奴にマフィアの仕事は向いてねぇか。

……お、


「おい、あそこ寄っていいか?」


指を指した所は雑貨屋。ちょうど太宰もいるし、マグカップを買って渡したい。だが直接そう言うのもバレるから嫌


「久しぶりに食器とかそこら辺揃えたくてな」

「僕もここで銀になにか買っていこう」

「そうですね、僕も鏡花ちゃんになにかあげたいし…迷惑になっちゃいけないからとりあえず使える物を買っておきますか…」

「っ…そうだな、その方がいい。」

「…」



俺は今、マグカップが置いてあるコーナーに…いるわけではなく、とりあえずマグカップだけだと太宰に目をつけられそうという理由で普通になにか良いものはないか探していた。すると、


「中也」

「うぉあ!?…太宰か……欲しいものとか見つかったか?」

「…別に」

「っ…そ、そうか…」

「…中也は?」

「俺も今はそこまで良いものには出会えて無ねぇな」

「そう…」


気まずい。過去一を争うほど気まずい。というか、マグカップコーナーに居なくて良かったー…


「あとさ」

「…んだよ」

「敦君達とばっかり話さないでくれる?」

「は?」

「それだけ。じゃあね」


そう言い、俺の側から離れていく。


「…はぁ、今日は調子狂う…」






「太宰さんと中也さんの距離が一向に縮まらないぞ芥川…どうする」

「僕に聞かれても困る。あれはお二方の問題。故に最終的には二人でなんとかしてもらわなければならない。」


そんなのわかってるわ!


「だから、どうやって手助けするかを聞いてんの!」

「だから僕に聞かれても困る。」

「それしか言えないのかお前は…」


太宰さんと中也さんと僕らの立場が似ていると言うのにどうしてこうも違うんだ…?まず、こっちにはそう言う感情も無いし、そう言うあれなムードもこれっぽっちも無い。不思議だ…

そんな事を考えていると、芥川が口を開いた。


「そんなに手助けがしたいなら、一番効果的な方法がある」


いや、あるなら溜め込まずにすぐ言えよ…


「何だって!?それは一体どういう方法だ?」

「難しいことではない。単純に、二人だけの時間を作ればいい。」

「…つまり?」

「僕らは途中で何か言い訳を付けてこの場を離れる」


…単純過ぎては?流石にそれはどうかと思い、芥川に単純な、誰もがまず思うであろう質問をする。


「…それで本当に上手くいくと思うか?」

「先程の二人を貴様も見ただろう。四人で行動しているときはまるでお互いが同じ場所に居ないのではないかと言うくらい話していないし顔すら見ない。だが、雑貨屋での二人を見たか。しっかり顔を向け合い、会話を交わしていた。」

「…確かに」

「二人は周りに誰も居ないと勝手に話し出す。つまり僕らは完全に邪魔だと言うことだ。」

「なるほど…じゃあどうやって離れようか?」

「…なら僕は部下から急ぎの連絡が来たことにする」

「僕は…」

「貴様はキャラ的にも「あ、用事があるのすっかり忘れてました~!」で通じるだろう」

「雑!てかキャラ的にって言うな!」

「なら他に思い付いたのか?」

「思い…ついてませんすみませんでした!」

「ならこれで決まりだな。」

「分かったよ…」











「悪い、遅くなっちまった」

「いえ、全然大丈夫ですよ!…中也さんは何買ったんですか?」

「え、あー…えっと…秘密だ」

「そうですか…」

「これで全員揃ったね。じゃあ次は…」

「あー!」


突如、敦が焦った声色で叫んだ。


「どうした?」

「すみません!僕、この後用事があった事、すっかり忘れてました…すみませんがここで抜けます!」


それに続き、芥川も


「僕も先ほど部下からの連絡で急用が出来た故、ここで失礼する。」

「太宰さん、中也さん、それではまた!!」

「え、あ、おう…またな」



それを最後に敦達は綺麗に飾り付けされたショッピングモールの中を駆けて遠くに行ってしまった。…気まずい時間再来。どうしよう。


「あー…その、」

「イルミネーション、綺麗だね。」

「…そうだな。」


こんな綺麗なイルミネーションを見ていると、周りの楽しそうなカップルを見ていると、どこか、悲しさを覚えてしまう。クリスマスくらい、二人で仲良く、楽しく過ごしたかった。恋人繋ぎとかもして、ライトアップされた街を歩きたかった。

なんだかもう気持ちに歯止めが聞かなくて、遂に言葉にしてしまう。


「…俺は、クリスマスくらい、太宰と仲良く、楽しく過ごしたかった。」

「…!」

「こんな苦しいクリスマスなんて、望んでなんかいねぇよ。」

「…」

「お前は俺のことが嫌いでも、俺はずっと太宰のこと、好きだから……だから……っ」


今日だけでいいから、なにもかも忘れて、楽でいさせてくれよ。

突如、何かに包まれる感覚がした。


「…?」


「ごめん、ごめんね、中也」


気が付けば俺は太宰の腕の中にいた。

彼は何度も何度も謝りながら、ひたすら頭を撫でた。


「ちょ、太宰、ここ外…!」

「大丈夫だよ。周りも負けないくらいいちゃいちゃしてる」

「そう言う問題じゃねぇよ…とりあえず離せ…っ」

「しょうがないなぁ…はい」


漸く太宰の腕から解放された俺は、一呼吸置いて太宰に話し始める。


「まず、今回に関しては、俺が全部悪かった。…ごめん。マグカップの思い出のことも、ちゃんと思い出したから…」

「!…そっか」

「その…詫びになるかわかんねぇけど、これ…」

「くれるのかい?…中身は~っと………あ」


袋の中に入っていたのは、青色に近い紺色のマグカップと、茶色に近い赤色のマグカップ、その両方には金色で縁取られた薔薇と椿の模様が入っていた。


「これ…」

「マグカップ壊しちゃったから、新しいのをと…あと、折角だし、二人でお揃いの何か欲しいなって思ってたから、模様を同じにして、俺のも買った。…やっぱりあんま気に入らなかったか…?」

「…ううん、すっごく嬉しい。ありがとう。」

「…そうか」


そんな素直に言われると何処かむず痒い気分になる。


「中也」


そういって太宰は腕を広げる。俺も、たまには素直にならねぇと、次は本当に嫌われるかもしれない。


「ん」


そうしてお互い、次はゆっくり、優しく抱き締め合った。


「中也、私もずっとずっと中也の事大好きだから。もう離してあげないからね。覚悟しなよ?」

「はっ、離さないなら本望だ。


一生俺の傍にいろ。











「お腹空いたなぁ」

「そうだな…昼から何も食ってねぇ」


あれから暫く抱き締め合った(今思うとめっちゃ恥ずかしい)あと、緊張がほどけ、お腹が空いてしまった俺達は、何かいい食べ物がないか歩き回っていた。


「外にもお店あるし、一回出る?」

「そうだな」


外は凛と冷たい空気でいっぱいだった。来た時、ここまで寒かったっけ…?


「うーさみぃ…マフラーだけでなく手袋でもつけとけば良かったな…」

「手、繋ぐかい?」

「な!?ここでは流石にちょっと…」


本当は繋ぎたいけど。


「ふぅん…」


ぎゅっ


「!?え、ちょっ、手ェ繋ぐどころか…」


恋人繋ぎだし…


「中也ならこっちの方が嬉しいでしょ?」

「~~~っ……ぅれしぃ…けど…」

「けど?」

「は、恥ずかしいんだよ!」

「公共の場で暫く抱き締め合ったあれよりよっぽどマシでしょ」

「うっ……あれは仕方なく…っ」

「はいはいわかったわかった。それよりほら、あれ美味しそう。食べたい。買いに行こー」

「…おう」



「唐揚げ…クリスマスっぽいか?」

「鳥だしクリスマスじゃない?」

「そう言う問題?」

「まあいいや、中也、あーん」

「え、ここでか?」

「中也ぁ、場所なんて気にしちゃいけないよ?」

「いや、気にするだろ…」

「ほら、早く。手疲れてきた」

「……あーん……ん、んまい」

「ね、美味しいよねこれ」



「あー美味しかったぁ」

「そうだな。また来たいなここ」

「そんなにここの唐揚げ気に入ったの?良かったねぇ~(中也の料理の方が美味しいけど)」

「子供扱いすんじゃねぇ!」


そのあとも、ちょくちょく色んな店に寄っては食べ物を買い、食べ歩きしながら腹を満たしていた。繋いだ手は離さず。




「あ、ちょっとさ、最後に行きたい所があるんだけど」

「お、どこだ?」


そう言うと、太宰は大きなクリスマスツリーの前____では無く、大きなクリスマスツリーが見える人気の少ない場所で止まった。


「ここは?」

「今日はずっと敦君達と居たり、周りに人がいたでしょ?だから二人だけの時間が無かったから、ここに来た。ここなら、誰も居なくても、クリスマスツリーも見えるし、クリスマス気分を味わえるでしょ?」

「まぁ、そうだな」

「それに…」

「あ?」


ちゅっ


「!?」

「こんなこと人前でしたら、中也に蹴られちゃうし。ここならいいでしょ?誰も居ないし。」

「…そうだな」


ちゅうっ


「!」

「どうだ、驚いたか?」

「ふふ、クリスマスにこんな可愛いキスを恋人から貰えるなんて、私は幸せ物だねぇ」

「だろ?…太宰」

「ん?なあに?」

「…もう一回、ハグして欲しい」

「!随分と素直だね…どうしたの」

「うるせぇ早くしろ」

「はいはい」


落ち着く。太宰の体温、匂い、全てが心地いい。心がじんわり暖かくなり、満たされていく。もう少しだけ、このままで……



「…今日、中也ん家行っていい?」

「なんなら泊まっていけ」

「良いのかい?じゃあ遠慮無く。」

「ん」

「家帰ったら、今日貰ったマグカップで暖かい飲み物が飲みたいな」

「前飲ませてやることが出来なかったからな。蜂蜜入りのホットミルクでも出してやるよ。」

「え、まだ身長伸ばそうと頑張ってるの?」

「あ”?」

「うそうそ、頑張る中也も可愛いよ」

「…そう言う問題じゃねぇんだよ…」

「…今日、久しぶりにデザートに中也食べたいなぁ~…駄目?」

「…今日だけだからな。」

「やったぁ!」

「うんと甘やかしてくれよダァリン?」

「もちろん。沢山甘やかしてあげるよハニィ?」









end


最後まで見てくれてありがとうございました!怒涛の3日間で書き上げたぜ…!

ハグは神ィだよね…

それではばいばい!


Merry Christmas!

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