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「おい太宰。」


云い乍ら太宰の持っている銀色の尖ったものを取り上げる。


「っあ……、何?蛞蝓の癖に。別にそれは君のナイフをスった訳じゃなく、僕のものだよ?判ったならさっさと返して。」

「断る。」


太宰が微温湯に浸かって腕を切っている。

最近じゃ見慣れた光景だった。


「抑何?じゃないンだよ、此処は俺ン家だ。」

「使っていいって云ったのは誰?」


はァ、と勝手に溜息が出る。

確かに使っていいと云った。何故なら、放っておいたら本当に死んでしまいそうに、最近の太宰は不安定だから。


「…取り敢えず、湯船から出ろ。もう既に意識飛び掛けてんじゃねェだろうな?」

「気分は頗る良いよ。僕の自殺を止めようと仕事を放って来た誰かさんのお陰で…ね。」

「……さっさと出ろ。」


何故か厭な予感がして、仕事を放って来たのは本当だ。

でも報告書のみ、太宰を監視し乍らでも十分こなせる量。


(あー…今日もか。)


目の前には散らかった部屋。

書類、衣服、何処から仕入れたのかすら判らない薬と其れを服用する為使用したであろう少量水の入った容器等が散乱している。

今日は特に不安定だったらしく、インテリアとして放置していた仙翁の入った花瓶が割れている。

無心で花瓶を異能力で粉々にして処分し、仙翁を別の容器に移して元の場所に戻した。

散乱しているものは放置した。散らかっている方が今の太宰には良いだろう。


「………」


風呂場から上がって来た太宰は、部屋を見た瞬間バツの悪そうに視線を逸らした。


「大丈夫だから此方へ来い。」


そこからは何時もと同じ。

抱擁しながら、背中に手を回す。

太宰は俺の首に手を回して、しがみついている。


「死にたい…死にたいなぁ……楽に、死ねればいいのに」


生気を搾り取られたような、抑揚のない声で太宰が呟く。


「皆、僕が殺した奴らは最後に『死ね』と云う。化け物だって。僕だってそう在りたかった。」

「人間が良い地位を持っておきながら『死にたい』だなんて、確かに化け物だね」


体制的に顔は見えないが、声色から自虐を交えた微笑を感じ取って、こりゃ重症だなと思った。


「手前が化け物になるなら、俺も化け物になってやる。」

「君は優秀だ。部下にも親しまれて、何が不満なんだい?」


少し食い入るように、俺の言葉を遮られた。

興奮しているのか、何時もより声が震えていて、何処か羨ましさと諦めの混じった声色だ。

俺の首に回した腕が少し締まった。


「強いて云うなら、手前が俺を同類として見てくれないこと位だな。」

「な…っ誰が莫迦蛞蝓と同類だなんて…」

「手前は化け物なんかじゃない。」

「……」

「俺は少なくとも、人間じゃないモノを宿してる。」


静かに息を飲む音が、部屋に溶ける。


「太宰、俺は化け物だよ。手前が化け物になるなら、俺と一緒に化け物になろう。」

「意味判んない…w」


今日もどろどろに呪いあって、依存し合っていく。

化け物二人は、今日も人を殺す。
















仙翁の花言葉

「いつも愛して」「私の愛は不変」

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