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脈ありと判断したローレンが、葛葉の口から恋人になると言わせるために、家に乗り込んだお話。
「俺と恋人になれてよかったって、絶対思わせるわ」
唇が離れたかと思えば、俺の額に自らの額を押し付け、挑むような目つきでローレンは言い放ってきた。
「たでま〜。で、どーぞー」
「お邪魔しまー」
さっさと入っていく葛葉の後を追って、コンビニ袋をさげたまま家へ上がる。
玄関には葛葉がよく履く靴が乱雑に脱ぎ散らかされていた。
とりあえず今葛葉が脱ぎっぱにして行った靴の横に自分の靴を並べ、葛葉の靴も全部揃えてから部屋へ向かう。
「洗面こっちだから、手洗いうがいしてからリビングな」
そう言いながら洗面所から出てきた葛葉はもう済ませた様で、さっさとリビングへ行ってしまった。
俺もその辺りはライバーとしてちゃんとしていると自負しているので、言われた通り洗面所へ入る。
必要なものしか置かれていない洗面所。
コンビニ袋を床に置き、先に石鹸で手を洗いながら、ふと気づく。
うがいするにもコップが無い…手ですくう?
いやそんな水浸し必至の選択はしたくない…となると、葛葉が使っているコップを拝借するしか無いのだが、当の本人は分かっているのだろうか?
(…まぁ、葛葉とエロいことしたい俺からしたら、全く遠慮するとこじゃねーわな)
紳士的気遣いなんてものは男が女にするからこそ美化されるのだ。
これから恋人になる話をするとはいえ、男同士で変な気遣いは無しでいきたい。
きっと葛葉も、男女間で尊ばれる様な気遣いは男女間でのみやってろと思うだろう。
先程葛葉が使って濡れていたコップに新たに水を注ぎ、いつも通りのうがいをする。
コップを借りたついでだ、タオルも使わせてもらおう。
(葛葉が使ったコップ、口を拭いたタオル…うわ俺変態)
自分の思考に自分でツッコミを入れはしたが、葛葉への気持ちに気づいてからというもの、この様な思考になる場面がしばしばあったのだ。
我ながらキモい性格してたんだなと思いつつ、コンビニ袋を拾い上げてリビングへ向かった。
ドアを開けると、葛葉が簡単に部屋を片付けているところだった。
といっても、そこまで散らかっている訳でも無く、出かける準備で出した物をしまう程度のようだった。
「ソファーどーぞ」
3人くらい座れそうなソファーを勧められ、数秒悩んだ末に真ん中に座ってみる。
どんな反応をするだろうか。
テメェ端っこに座りやがれとか言われるだろうかと考えながら、来る途中についでだからと、コンビニで色々と買ってきた飲み物やお菓子もテーブルに並べようとする。
買う時には自分も支払うと言ったのだが、ほとんど自分が飲み食いする事になるからと一蹴されてしまい、せめて荷物持ちはすると言ってここまで運んできたのだ。
「俺カフェオレ飲むからちょーだい」
そう言って手を出しながら、ソファの端、つまりは俺の真横に座ってきた。
電車では微妙に距離をとっていたというのに、家に入った途端に隣に来るというのは、どういうことだろうか。
こいつ、もう警戒心が吹き飛んだのか?
それとも俺を試してんのか?
若干戸惑いながらも袋からカフェオレを出して渡す。
「ローレンも喉乾いてんなら飲めば?」
そう言いながらカフェオレを受け取った葛葉は、すぐに蓋を開けてごくごくと飲み始めた。
(喉…触りてぇ)
嚥下する度に動く喉元を見つめながら、思わず伸びそうになった手を自分の口元に当ててやり過ごした。
夕飯を一緒に食べている時も口元を見過ぎないようにしてたが、ここは葛葉の家で、ソファで隣合って座っていて、肩が当たりそうな距離で…もう、手が出てしまう前に自分から言質を取ってしまうしかないと思った。
「葛葉が好きです」
「ッツツ!!もう切り出してきやがった!」
カフェオレの蓋を閉めながら、若干慌てた様子でこっちを見ている。
この様子からして、帰りの道中ひとりで色々と考えてはいたのだろう。
だが、男同士の恋愛という特殊な土俵に、片足だけでも立たせることが出来たからには、恋人になるまで引かないつもりだ。
スタートラインに立つためなら、葛葉の優しさに付け込んでやる。
「いや、まぁその、俺も帰りながら考えてたんだけど。お前、俺と恋愛したいの?」
「したい」
「食い気味かよっ!」
葛葉の口から“恋愛”という単語が発せられていることが、あまりにも不釣り合いに思えたが、その少し恥ずかしそうな顔を見て、愉悦感を感じていた。
今、俺が、葛葉にこの顔をさせている。
だんだんとニヤけてくる顔に力を入れながら、続きの言葉を待った。
「お前の反応見てたら、…そうなんだろうなって思って。なんか、真面目な声で言うから、ぶん殴るのも止めちまったわ」
「…ぶん殴られても俺腕掴んで止めてるけどね」
「お前どんだけ俺のことなよっちぃと思ってんの?」
そう言いながら、葛葉は俺の足を軽く蹴ってきた。
俺に本気で手を出せるわけないのに、強がりも入ってるのだろうか?
少しだけ、葛葉の方へ体を寄せた時、小さな声でそっぽを向きながら話しだした。
「俺今恋愛とかする気ねーんだよ。それなりに忙しいし、ゲーム出来てれば満足。お前もそうなんじゃねぇの。」
「俺は葛葉と恋人になってイチャイチャしてセックスもしたい」
「なっ…おっ前ッツ!!………って近ッ!?」
驚いてこちらを向いた葛葉は、俺が上半身を近づけていた事にやっと気づいた。
そのままソファの肘掛けに手を置き、葛葉を完全に閉じ込めた状態で詰め寄る。
「それにもう、こんな話をしてる時点でお前は俺を受け入れてんの」
「…どゆこと」
俺から逃げるために、少しずつずり下がっている葛葉の腰を抱きとめる。
「お前またッ」
「外じゃなかったらいんじゃないの?」
ズイと顔を近づけて、葛葉の目を見つめながら言う。
そんな事言っただろうかという顔をしているが、後はもう俺の言葉次第だと思った。
「葛葉は、最初から俺なら許せたんだよ。俺がどんな関係を求めようと、受け入れるつもりだった。ただ、今までは仲のいい仕事仲間でゲーム友達だっただけ。俺が特別な関係になりたいと言えば受け入れる準備はできてた。それが無意識だったから今戸惑ってんじゃないの。じゃないと、今俺はここにいないでしょ」
葛葉は何を言われているのか分からない顔をしていた。
遠回しに言ったようだが、恐らく事実を伝えたつもりだ。
それでも伝わらないなら、ダイレクトに言うしかない。
「葛葉も本当は俺が好きだったってこと。だから今こうして俺に口説かれてるの、分かる?」
次第に顔の赤みが増してくる。
「おれ、今恋愛する暇無…」
「時間はあっても無くても、関係ねーから。今日だって一緒に飯食べたし。葛葉の忙しい日常に、これからは俺が恋人として入り込むだけ。ね、想像してみ?」
逃げ場のない状態のせいか、葛葉は言われた通りに想像している様だった。
目がウロウロしていたかと思えば、突然身体を硬くして固まってしまった。
きっとエロいことをする未来を想像したのだろう。
「葛葉が良いって言うまで、セックスはしない。でも近いうちにさせて欲しい。しないと、落ち着けない、ごめん。」
我ながら青臭いことを言っていると思ったが、正直な気持ちだった。
無理にするのだけは嫌だ。でも我慢し続けることは出来無い。
葛葉にも、俺と恋愛する事を幸せに思ってほしい。
「もう後は、葛葉が受け入れるだけだから。ゆっくりでいいよ」
そう言って、俺の目を見たまま眉根を寄せている葛葉の目を、俺も見つめ続ける。
至近距離で見つめ続けられる事に耐えかねたのか、視線をあちらこちらへ彷徨わせていたが、次第に諦めたような表情になり、やっと口を開いた。
「…分かった。今日から恋人な」
やっと、スタートラインに立てた。
俺は喜びを感じると同時に、葛葉へ口づけていた。
「んんッう…ん」
「ん……チュウ…う、ん…」
舌を差し入れて口内をまさぐっても、噛んでくる気配は無い。
そのまま上顎を舐めたり舌をくすぐったりして、思う存分葛葉の口内を味わってから、そっと唇を離した。
「俺と恋人になれてよかったって、絶対思わせるわ」
気持ちいいと言わんばかりの表情をしている葛葉の額に自らの額を押し付け、挑むような目つきで言い放った。
【あとがき】
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
今後イチャラブする2人を書くなら、やはり恋人というスタートラインに立たせてからだと思い、妄想しました。
ローレンは攻でも喘いでそう…。