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ももいろのばらにあいじょうを
「今日も1人で来ましたよーっと、、、」
花宮琴羽は毎日とある所の花壇に来ている。
友達が居ないから、1人で。
毎日色とりどりの花たちを見て、たまに
水やりもしていた。
そんなある日、
琴羽は一輪だけの桃色の薔薇を見つけた。
今にも枯れてしまいそうな孤独の薔薇だ。
他に似たような花はない。
恐らく誰かが一輪だけ植えたのだろう。
「他に仲間が居ないんだね、私と一緒だ」
、、、毎日ここに来てお世話してあげようか」
同情をしたのか、情けをかけたのか。
1人の孤独を紛らわすためなのか。
この薔薇を世話することにした。
琴羽は毎日毎日ここに来た。
世話をした。
桃色の薔薇はどんどん美しくなっていった。
何日も経った頃、薔薇は誰が見ても
「美しい」と言えるような花になった。
「綺麗な桃色の薔薇を、、、私の手で、、、」
琴羽は少し自分に自信を持つようになった。
ある日のこと。 琴羽がいつものように
薔薇の世話をしていると、雨が降り始めた。
この花壇の近くには雨宿りができそうな
休憩所があったため、急いで駆け込んだ。
さっきまでの雨は止んだが、そのかわりに
小雨が降り始めた。
琴羽はふと休憩所の椅子から薔薇に
目をやると薔薇がまばゆい光を放っていた。
何度目を擦っても、頬を叩いてみても、
まだ薔薇は光っている。
琴羽は小雨が降っている事も忘れて、
その薔薇のある花壇へと足を運んだ。
琴羽が丁度薔薇の元へ着いた時、薔薇は
花だけ落ちた。
茎や葉を残して、花だけ。
花が落ちた途端に薔薇は光るのをやめた。
琴羽はその花を持ち帰ることにした。
「ただいまー、、、
薔薇はここに置いておこう」
花だけで薔薇が死なない訳がない。
数日後には完全に枯れきってしまった。
「ドライフラワーにでもすればよかったな、、、」と落ち込んだのも束の間
また新しく薔薇が生えてきたら良いな、
と 思ったのか、
墓の代わりなのかはわからないが
琴羽はその花を植木鉢に植えた。
いや、琴羽自身も薔薇は生えないと
思ってはいたと思う。
けれど、自分が毎日育ててきた花が枯れて、
とても悲しいのだろう。
琴羽は毎日その植木鉢に水をかけた。
どうせ何もないと思っていた。
だけどもある日
茎が生えて、芽が生えてきた。
「あ!また咲いてる、、、?!
お世話しよっと!」
琴羽は、枯れるまで
いや、枯れても、、、
また薔薇を育て続けることにした。