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初小説書きます
⚠︎︎勝手に島を創っちゃってます/二年前
二人は船番をしていた。
仲間が他に泊まる間、サンジは自分から船番をやるとそう告げ船に戻った。無論、サンジはナミやロビンにメロリン♡しているので、永遠に一緒に居たいと言ってもおかしくは無いが、この島の偉い方がどこか不自然に感じ一応船番をしている。
一方ゾロはと言うと目を離した隙に居なくなった、つまり短時間で迷子になったと言うことだ。サンジが先程電伝虫で伝えられ、頭を悩ませた。ゾロは何とか船に辿り着き今はサンジとゾロの二人で船番をしている。
「どうやったら一緒に居た人とはぐれるんだか…」
サンジが呆れたように言った後、タバコを吸い溜息のように息を吐く。
「あいつらが離れていったんだ。俺は決して…迷ってなんか…」
ゾロがそう言うとサンジが「 そしたら今頃船に居ねぇだろ!」とツッコミをする。困ったもんだ、方向音痴でも流石にここまで酷いとはサンジも思ってもいなかった。話してる間に外が少しづつ冷気に包まれていっている。
「にしてもこの島は少し寒いな」
先程は少しだけ見えていた夕日も今では沈みそうで、もうすぐ夜になりそうだった。
ゾロが船の壁に背中をあずけ寝っ転がると寝むそうに目をこすっていた。いつも昼寝をし、夜は船を見守ってるゾロにしては珍しかった。もちろん夜も寝ているが時刻はまだ午後七時を過ぎたくらいだろうか。
「たく…おいゾロ。そんな格好で寝たら風邪ひくぞ。せめて暖かい服着るか船の中で寝ろ」
「俺は風邪ひくほどやわな男じゃねぇ」
何と張り合ってんだと思うが、確かにゾロが風邪を引いているのをサンジはほぼ見たことが無い。精々鼻水が出ているくらいだっただろう。たが”一応”心配をしているサンジは自分のブレザーをゾロの横に置いておく。
「なんの真似だ」
「だから普段着があんならとっとと着ろ!」
実はゾロ普段着を道に迷ってルフィ達を見つけようと走った時に道路の水溜まりを思いっきり踏んでしまいその泥水が跳ねて服に着いてしまった。なので今は洗濯していると言うことだったのだ。
「あとなぁ…さっきも言ったが俺は風邪ひかねぇし、余計なお世話だ」
サンジにゾロは背を向ける。
「一応だアホ野郎…人の気も知らねぇで…」
その言葉にゾロが反応する。
「それはおめェもだろバカコック!」
「……」
「……あぁはいはい…分かったぁ、着りゃあいいんだろ…」
ゾロはサンジが貸してくれたブレザーを渋々着る。意外に暖かいもんだかいつもサンジがタバコを吸っているせいで匂いがついている。
「やに臭ぇなこの服…あとちょっとだけ香水の匂いもすんな…」
「文句言うなバカマリモ!」
「これがお前の匂いってことか」
一瞬サンジが動揺する。急に何を言い出すのかと思ったら、サンジは少し恥ずかしくなる。それって臭いのか?大丈夫だよな…?と心配になるがサンジの自己肯定感のお陰でそれは気にする事はではなくなった。
「お前急に変な事言うなよ」
サンジは本日二回目の溜息を吐く。と思ったら次はゾロが口を開く。
「変な事?俺何か変なこと言ってたか?」
「さっき、匂いがどーたらこーたら言ってたじゃねぇか」
「あぁ、その事か」
ゾロがサンジから敢えて目を逸らして言う。
「お前の匂い、嫌いじゃねぇーって事だ」
俺は俺で随分イカレちまってるなとゾロは自分にツッコんでいた。寒いはずの夜なのに顔が暑い。
「なっ…なんだそりゃあ…」
ゾロに一瞬見とれていたが、サンジも目を逸らす。
「それは…告白みたいなもんだろ」
「はぁ!?何言ってんだエロコック!!嫌いじゃねぇって言ったんだアホ!!」
「あ、あぁ!?なんだと、違うのかよ!?」
逸らしていたはずの視線も今はお互いの姿を捉えている。サンジが勝手に考えただけだったが、今は二人とも顔が赤かった。
暫く沈黙が続いた。二人の間に恋なんて感情はなかった。ましてやサンジは完全なる異性愛者だ。女性はとことん優しく、男性には厳しく接していたはずだ。ゾロも男性だし、逆によく喧嘩する仲だ。気まずい雰囲気をどうか打破したかったサンジが声を出した。
「さっきの事はとっとと忘れようゾロ。俺のとんだ勘違いだ、ちょっとした疲れがあったかもなぁ」
サンジは少し顔を赤くして笑っている。
「あぁすぐ忘れるさバカコック…今日限りでな」
ゾロがサンジの近くに来る。そしてサンジが吸っていたタバコを奪う。驚いたサンジが何すんだよと言おうとしたらゾロはサンジの唇に口付けをする。そしてすぐ離れる。
「……へ?」
「今日限りで忘れるなら別にいいじゃねぇか」
サンジの方をちゃんと見て言う。
「俺はお前の”匂い”が好きなんだ」
嫌いじゃないではなく好きって直々に言ってくれた。サンジは思考停止していて宇宙猫状態になっている。まるでトマトのように赤くなった顔はもう日が沈んでいるせいで見えはしないが、なんとなくそうなっているのは考えがつく。ゾロはサンジから奪ったタバコを吸おうと吸い込むのだが、初めて吸ったせいか噎せて大変だった。思考停止から戻ってきたサンジがゾロのむせている姿を見たら笑った。その後にサンジは優しく背中をさすってくれた。
「今日限りだからって何でもしていいわけじゃないんだぜゾロ?」
このタバコを吸ったこともサンジの勘違いも二人が口付けをしたのも明日には無かったことになる。
「だが…まだ夜は長い。」
サンジがそう言うとゾロの目が鋭くなる。
「…やっぱ妙なこと考えてんだろエロコック」
「さぁな?」
サンジがゾロの腰に手を回す。ゾロか少し驚くがすぐ冷静になる。
「ここじゃ少し寒すぎる。船の中行こう、ゾロ」
そう言うとサンジはゾロの事を姫様だっこをする。ゾロはまたまた驚いてから、何するだ!とじたばた暴れる。サンジには通用せずあっさり船の中に連れてかれる。
今日限りの素敵な事があったのでは無いだろうか。その夜は二人以外知る事は無い。
おまけ
次の日、ルフィ達とサンジとゾロは合流した。どこか満足気なサンジと不服そうなゾロだった。
「あれ、ゾロ!?船行ってたのね…それより二人とも、昨日は船番ありがとうね」
ナミが言うとサンジは目をハートにして
「当たり前ですよナミすわぁん♡俺、ナミさんとロビンちゃんの為にならいくらでも船番するから!!♡」
「ありがとサンジ君♡」
ナミがニコッと笑うとサンジは鼻血を出して喜んでいる。その様子を見たゾロは呆れていた。
「それよし飯だ飯!腹減ったし早く飯食おう!飯食ったら、次の島に向かうぞ!!」
ルフィがそう告げると一同ノリよく、オー!!と声を上げた。麦わらの一味の旅はこれからもまだまだ続いてゆく____