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10 - 第10話「君の隣にいる理由」

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2025年02月21日

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出会ったその日に恋人となった僕らは、その後の進展も早かった。

君に情けない愛の告白をした翌日、僕らは遊園地へ出かけた。


「ねえ!見て!アヒルさんだ!」


君の声に振り向くと、指差していたのは遊園地のマスコットキャラクターだった。

遊園地の入り口で子どもたちに囲まれて写真を撮られているそのマスコットは、どう見てもキツツキだ。


君が「アヒルさん」と呼ぶのは、君らしいと言えば君らしい。

間違いに気づいていないのか、それとも本気でそう思っているのか。

そんな些細なことも君らしい純粋さを感じさせる。


「本当だ!アヒルさんだ!可愛いねえ。一緒に写真撮ってもらうかい?」


君と話すとき、どうしても僕は幼い子どもと話すような口調になってしまう。

君が愛おしくて仕方がないからだ。


「うん!撮ってもらう!」


その食い気味な反応に、心の中で悶絶する。

君は本当に、なんて純粋なんだろう。


「でもさ、だめかな?小さい子どもじゃないと写真なんて撮ってくれないかも。」

「そんなことないよ!アヒルさんもプロのアヒルさんだからね!みんな平等に接してくれるよ!」


君の言葉に、つい吹き出しそうになる。

君が語る「プロのアヒルさん」というフレーズが妙に可愛くて、

その純粋さが眩しくてたまらない。


君が従業員に声をかけると、その明るさにつられるように従業員のお姉さんが笑顔で応じた。


「もちろんOKですよ!お姉さんたち、お似合いのカップルさんですね!」


その言葉に、僕の胸がじんわりと温かくなる。

君のような可愛い女性と一緒にいるなんて、僕はなんて幸せ者なんだろう―――。


「それでは、いきますよー!スリー!ツー!ワン!チーズ!」


カシャッ…


君の笑顔は、写真の中でも輝いていた。


その後のデートも、君との時間は本当に楽しかった。


お揃いのわんちゃんのカチューシャを買って頭につけた君が、鏡の前でくるくると回る。


「どう?似合ってる?」


「うん。めちゃくちゃ可愛いよ。」


その言葉を聞いて、君は子どもみたいに嬉しそうに笑った。


ジェットコースターでは、君が予想以上に絶叫して僕にしがみついてきた。

降りた後、君は顔を赤くしながらこう言った。


「ごめんね…ちょっと怖かっただけ!」


その姿がまた愛おしくて、思わず君の頭を撫でた。


夜になると、遊園地のパレードが始まった。

無数のライトが輝く中、君は目を輝かせてパレードを見つめていた。


「すごいね!こんなに綺麗だなんて思わなかった!」


僕はパレードよりも、そのライトに照らされた君の横顔ばかりを見ていた。


楽しい時間はあっという間に過ぎ、気がつけば22時を回っていた。

園内に蛍の光が流れ出し、僕らは遊園地の出口へと向かった。


最後に、君と一緒に大きなクリスマスツリーの前で写真を撮った。

ライトアップされたツリーが、君の笑顔をさらに輝かせる。


「また来ようね。」


その時の君の声が、今でも耳の奥に残っている。


帰り道、僕はふと君に問いかけた。


「今日、楽しかった?」

「うん、すっごく楽しかったよ!」


その言葉に、僕はただ静かに微笑んだ。

きっと君が隣にいてくれる限り、僕の毎日は楽しいものになる。

そんな確信があった―――。


ガタン…ゴトン…

電車の揺れとともに、次の停車駅のアナウンスが流れる。


「えー。次はー。●●駅ー。●●駅ー。左側のドアが開きます―――。」


車内には、駅名を告げるアナウンスが響いている。

遊び疲れた君は、僕の肩の上でぐっすりと眠っていた。

君の寝顔を見つめながら、僕はそっとその頭を撫で下ろす。


もうすぐ君の家の最寄駅だ。そろそろ起こさなくてはいけない。

だけど、この一瞬を壊したくなくて、声をかけるのをためらってしまう。


「ねえ、ひとつ提案があるんだけどね。」


寝ていたはずの君が、突然口を開いた。

驚いて君の顔を見ると、その瞳はまだ少し眠たげだ。


「あれ。ごめん。起こしちゃった?」

「ううん。大丈夫。それより、提案なんだけど、聞いてくれる?」


君の声は柔らかくて、なんだか妙に心地よかった。

その瞳に吸い込まれそうになりながら、僕は静かに頷いた。


「私たち、一緒に暮らさない?」


予想外の言葉だった。


僕らは出会ってまだ二日目だ。

正確には、メッセージでやり取りしていた時間を含めても一週間も経っていない。


そんな短い期間で、「一緒に暮らす」という提案。

展開が早すぎやしないか―――。


「いいね。いつから暮らす?」


頭で考えるよりも先に、言葉が漏れていた。

驚くどころか、むしろ自然にその言葉が出てきたことに、自分でも驚く。


君と一緒にいる時間は、これまでの人生で一番楽しい。

何も考えず、君の言葉に身を任せるのが正解な気がした。


「うーん。明日?」


君は無邪気にそう言った。


「明日はさすがに無理だよ。」

「新しい家も探さないとだし、引っ越しの準備とかもあるしさ。」


僕がそう答えると、君は少しだけ口を尖らせたあと、目を輝かせて言った。


「そっかあ。なら、来週!ううん、やっぱりできるだけ早く!」


本当に君は、無邪気で、本能のままに生きているんだなと感じた。

その瞳の奥には、純粋な期待が込められている。


「わかったよ。じゃあ明日、早速不動産屋さん行ってみよっか。」


僕がそう言うと、君は満面の笑みを浮かべた。


君が笑うと、僕の心の中にあった迷いが溶けていく。

一緒に暮らすなんて無茶な話だと考えたはずなのに、

君といる時間を一秒でも長くしたいと思っている自分がいた。


こうして、出会って一週間というスピードで、僕らは同棲を始めた―――。

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