俺の目の前には、紛れもない。雨宮樹がいる。
宮本「なぁ樹…お前…能力者なのか…?」
雨宮「うん…そうだよ。本当に驚いたよ。君がこんなところにいて、同じチームにいたとはね」
宮本「あぁ。それはこっちのセリフだ。なぁ、お前はあの主催者が言ってたことが本当だと、思うか?」
雨宮「…..本当だと思う。そうじゃなかったら、今こうやって、無人島になんか居ないだろう」
宮本「確かにそうだな。じゃあお前は、俺の事を殺しにくるのか?」
雨宮「最初はそうだった。僕は君と凪咲にまた会いたいから生き残りたかった。そのため、近くにいる人を殺そうとしたけど、君だったから計画は中止だね」
安心だ。とりあえず、樹が俺に対して殺意がないことは確かだ。
宮本「樹…お前は能力者って言ったよな」
雨宮「うん、言ったよ」
宮本「お前は何の能力が使えるんだ?」
俺は普通に思った疑問を雨宮にした。当然だ。幼馴染がこんなにすごい能力者とは、思わなかったからだ。雨宮「僕の能力は【天気創作】。天気を操ることができるんだよ」
宮本「て、天気?」
なんか頼りないな。能力と聞いたら、瞬間移動とか炎が出るとか思ってたが、思っていたのと違っていた。雨宮「そう、天気。僕自身も一件地味にも思ったが、いざ使ってみると中々よかったよ。例えば、強風がある日の風を強くして、台風にしたりとかできるんだ」宮本「そんなことも出来るのか…じゃあ、日差しがいつもよりも強いのも、お前が操作したのか?」
雨宮「うん」
これは驚いた。本人からの話を聞いてみると万能系の能力なんだな。刺さるところには刺さりそうな能力だ。
雨宮「ちなみに暁来の能力は何?」
宮本「….実はないんだ」
雨宮「え?どういうこと?」
宮本「…言葉のまんまだよ。俺には能力なんかない」雨宮「…..ふむふむ」
そう言った後、樹の顔を見ると何か笑っている。樹が笑っている時は、何かを企んでいるときだ。
雨宮「なるほど、分かったよ。暁来、僕と組まないか?」
宮本「…は?」
一瞬状況が理解出来なかった。組む?この殺し合いの中でか?
雨宮「確かに意味がわからないのかもしれない。でも1stステージのルールを思い出して欲しい。」
宮本「1stステージは…チームにいる8人のうち、残り3人になれば価値っていうルールか?」
雨宮「そう。つまり僕達が目指すのは、残り3人の枠。その枠に入るには生き残るだけ。なら、手を組んで確実に2枠を狙う方が合理的じゃないのかな?」
宮本「…..確かにそうだな。でも、お前はそれでいいのかよ。能力がない俺と組むより、能力者と組んだ方がいいんじゃないか?」
雨宮「暁来よく考えてくれ。周りは生き残るのに必死で、組むなんて考えないだろう。そんな危険な奴らと組むよりも、知っていて頭脳派の暁来と組む方がいい判断だと思った。後は君の判断に任せるよ」
宮本「…..分かった。協力するよ、樹」
雨宮「よろしく、相棒」
宮本「おう!」
俺はこの殺し合いで、頼りになる仲間と一緒に動ける。俺も、足を引っ張らないように樹をサポートしたい。
雨宮「ところで暁来。何故海岸沿いに居たの?」
宮本「あぁ。自分なりのトラップを作るための、素材を集めに来たんだ。そっちこそなんでだ?」
雨宮「海岸沿いなら、人は少なそうかなって思った。それより暁来。バックパックの中身は見た?」
宮本「いや、まだだ。」
雨宮「バックパックには2日分の食料と水しかありません。」
宮本「…つまり、食料と水が欲しけりゃ、殺しあえと。」
雨宮「食料と水問題は一旦置いて、トラップのための素材を集めに行こう」
そう言うと海岸沿いに2人は行った。海岸沿いにはやっぱり、資源が沢山あった。縄と石と鉄の3つを収穫することに成功した。かなり大きい。
雨宮「暁来〜。回収できた?」
宮本「おう、出来たぞ」
雨宮「良し帰るz」
その瞬間、樹の後ろに黒い禍禍しいオーラが当たっていた
宮本「樹!!」
???「おっと、急でごめんね。意外と能力者って弱いものなのかな?」
宮本「お前は誰だ!」
明智「自己紹介がいるのか。僕の名前は明智俊英。好きに呼んでくれ」
宮本「俺はお前のことを許さない」
明智「何をそんな怒っているの?彼はまだ生きているし、この殺し合いというのはこういったことなんだよ」
宮本「お前….!」
雨宮「よせ…暁…来」
宮本「樹!」
雨宮「そいつは僕が何とかする。君は早く逃げて」
宮本「でもそれだとお前は」
雨宮「早く逃げろ!暁来!」そう言われ、俺は本能的に逃げてしまった。これで良かったのか。
明智「腰抜けなやつだな」
雨宮「何を言っている。君の相手は…僕だよ。さぁ…!殺し合おうぜ!死ぬまでなぁ!」