テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
私は叫んでいた。自分が叫んでいるはずなのに、その実感がわかなくて、ただただ呆然としていた。恐怖のあまり握りしめていた手から血が滴り落ちる。もう、いいや。そう思った。
さっきまで確かに生きていたはずの物。その千切れた手の中に握りしめられていたステッキを取り、尖っている部分を神に向け、両手で握りしめる。今まで我慢してきた何かがこれには込められていた。自然と笑みがこぼれる。これで良かったんだと自分の中で正当性が生まれる。私はきっと人生で一番幸せだ。
生き物に刃物を入れたとき特有の気色の悪い感触がする。人生で二度目のこの感触に私はひどく高揚していた。膝から崩れ落ち、もう冷たくなりつつあるその体に抱きつく。しばらくして、立ったまま動かなくなってしまった神から赤黒く染まったステッキを引き抜き、そのステッキを抱きしめながら光のある方向へ一歩一歩と歩んでいった。