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文也の体不です
※嘔吐表現あり
完全に私(一人称迷走中)の趣味です。苦手な人は読まないという選択肢をオススメ
[文也目線]
夏の一番暑い時期の任務はキツイなぁ
長時間の任務を終えて帰ろうと建物から出る
「うわ···無駄に天気いいじゃん」
建物から一歩でた瞬間、眩しさに思わず目を細めた
同時に頬を伝って落ちる汗を拭う
なんかやたらと汗でるな。いつもはそんなでもないのに
汗でまとわりついてくるシャツが気持ち悪い
微かな違和感を感じつつも電車に乗った
そして家から最寄りの駅についたときに違和感は明確になった
あれ?なんか手震える···と言うか足もあんま力入んない
あ···これまずい?
依然汗は滴っていて、それらを含めてもさすがに異常だと分かった
立っているだけだと余計に脚が震える気がして自分に鞭をうって歩きだす
暑いけど寒いような気もして、視界が所々チカチカと白飛びする
さすがにやばいな···
自分でも真っ直ぐ歩けているか分からない足取りでなんとかマンションまでたどり着き、エレベーターに乗り込む
視界がぐらぐらしてちょっと周りを見回すだけで目がまわりそうになった
目的の階のボタンを押してやっと少し一息ついて壁に体重を預ける
「っあー。目ぇ回る」
苦し紛れに独り言を呟いてみても、気持ち悪さは変わらない
少し目を瞑って耐えているとエレベーターが目的の階についた
最後の気力を振り絞ってエレベーターを出る
もはや自分の荒い呼吸音も、止めどなく流れる汗も分からない
歪む視界の中で、ほんの十数メートルの距離がひどく長く感じた
やっとのことで家に入ったところで立っていられず膝をつく
「文也。おかえり···?」
玄関まで出てきた氷雨は明らかに様子がおかしいであろう俺を見て、疑問系で言葉を途切れさせる
その瞬間ぎゅっと胃が収縮した感じがした
同時に喉元に何かがせりあがってくる感覚
やばい···吐く···
とっさに口元をおさえてトイレに行こうとするも足に力が入らない
「···っ···おぇ···っげほげほ···っぁうぇ···ごほっげほっ···っう···っは」
まともに動くこともできず 質量をともなった液体が床に飛び散る
「文也!?」
微かに氷雨の声を聞きながら俺は意識を手放してしまった
目が覚めると俺はベットに寝かされていて首元にはひんやりする何かがおかれている
「あっ!文也起きた」
体を起こして、ぼーっと回らない頭で考えていると氷雨が部屋に入ってきた
「まだ気持ち悪いか?」
氷雨はベットサイドのいすに座って聞いてくる
「···いや大丈夫だよ」
俺の返事の真偽を確かめるように俺をじっと見てきたかと思うと氷雨は軽く頷いてからスポーツドリンクを俺にさしだす
「じゃあこれ飲め。文也が寝てる間にもちょっと飲ませたけど自分で飲んでもらうのが一番楽だ」
親切に蓋が開けられたペットボトルを受けとる
軽く一口飲むと体に染み込むような、火照った体が冷えるような感じがした
「多分熱中症だ。片付けとかはしたからさっきのは気にしなくていい」
おそらく俺が吐いてしまったことなどに対する話だ
チラリと先ほど首元に当たっていたひんやりするものを見るとタオルに包まれた保冷剤だった
俺の体を冷やすためだろう
「いろいろごめんね」
迷惑をかけてしまったなと思って謝ると氷雨はむっとして口を開く
「気にすんなって言っただろ。そもそも任務中ちゃんと休憩とかしてなかったのかよ。」
「あー。面倒で」
俺がためらいがちにそう言うと氷雨はキッとにらんできた
かと思いきや俺の肩に額を預けてくる
「氷雨?」
「馬鹿文也」
唐突な悪口にきょとんとしていると氷雨は俺の背中に腕を回してぎゅっと抱きついてきた
「体調管理くらいちゃんとしろよ。···さっき···めちゃくちゃ怖かったんだよ」
弱々しい声で言われた言葉に少し驚く
「···文也がいなくなったらって考えたら···怖かった」
俺の服を握りしめて俺の胸板に顔をうずめている氷雨がどんな表情をしているのかは分からない
しかしどうやら苦労よりも心配をかけてしまったらしいことは分かった
「ごめんね。ありがと」
氷雨の頭を撫でて、そっと抱き締め返す
その日は氷雨に看病してもらったりして緩やかに時間が過ぎていった