テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
お城
827
#賽子
#ご本人様には関係ありません
兎雪。@新連載始動
9,363
人物崩壊あり。
曲パロです。
瑞主人公です。
瑞=💎
窓を開ける。
土砂降りだった。
💎「……おはよ」
誰もいない部屋に、瑞は小さく呟いた。
返事はない。
当たり前だ。
それでも毎朝、こうして声を出す。
もう、癖になっていた。
ベッドから降りる。
歯を磨く
制服に着替える
髪を整える
鏡の前に立って、瑞は自分の顔を見た。
昨日のせいか少しだけ目元が赤い。
瑞は蛇口を捻った。
冷たい水で顔を洗う。
💎「…大丈夫」
誰に言ったのかは分からない。
鏡の中の自分が、少しだけ笑った。
💎「まぁいっか」
最近、そればかりだった。
まぁいっか。
なんとかなる。
僕なら平気。
そうやって口に出してしまえば、本当にどうでもいいことのような気がした。
ーー昨日の言葉が、ふいに頭の中で再生された。
『もう君には全然期待してないから』
瑞は、鏡を見た。
💎「…そっか」
少しだけ間が空く。
💎「そりゃまぁ、僕だって…自分に期待なんかしてないけど」
誰に言い訳をしているんだろう。
💎「あれは…一体どういうつもりで言ってきたんだろ」
口に出してからすぐに笑う。
💎「まぁいっか」
今日も学校に行く
今日も笑う。
普通にする。
それだけ。
それだけのことだった。
****
教室
笑い声。
話し声。
机を引く音。
瑞は、その中に混ざっていた。
笑って。
喋って。
いつも通りにして。
誰かに「元気だね」と言われた気がした。
💎「そう!僕、元気だよ!」
笑った。
ちゃんと笑った。
だから、誰も何も言わなかった。
瑞はそれでいいと思った。
ーーそれでいいはずだった。
****
放課後。
ひとりの部屋。
瑞は、制服のままベッドに座っていた。
自分が今なにをしたいのか曖昧で
わからなくて苦しい。
スマホを手に取る
動画サイトを開く
音楽を探す
なんでも良かった
誰かの声が聞きたかった。
歌でも
配信でも
録音されたものでも
とにかく
部屋の中に、自分以外の声が欲しかった。
再生ボタンを押す。
音が流れる。
瑞は、目を閉じた。
[…本当に自分は弱いな]
そう思った自分に、瑞は眉を寄せた。
💎「…なにそれ」
自分で自分を笑う。
スマホをベッドに投げた。
💎「違うし…」
違う。
違うはずだ。
だって、僕はひとりでも平気だから。
ひとりが寂しい訳ない。
そんなに弱くない。
誰かにかまって欲しいなんて。
💎「……思ってない」
目から涙が一粒落ちた。
瑞は、すぐに袖で拭った。
💎「…泣くほどじゃないじゃん僕。」
音楽は、まだスマホから流れていた。
****
翌朝。
目覚ましが鳴った。
瑞は目を開けた。
しばらく天井を見ていた。
起きなくちゃ
学校に行かなくちゃ
そう思う。
そう思ってるのに、身体が動かない。
💎「…なんか理由付けて休んじゃおっかな」
呟いた。
すぐに首を振る。
💎「いやいや、分かってるって」
誰も怒っていない
責めていない
それなのに、瑞は言い訳をした。
💎「……何となく言ってみただけだから」
ベッドから降りる。
顔を洗う
制服を着る
髪を整える
靴下を履く
靴を履く
ひとつひとつ。
ただ、それだけ。
それだけのことなのに。
💎「つかれた…」
玄関で立ち止まる。
[これ以上、何をすればいいんだろ。]
学校に行く
笑う
話す
普通にする
それだけで、精一杯なのに。
まだ足りないの?
もっとちゃんとしろって?
もっと笑えって?
もっと、期待に応えろって?
💎「………」
瑞は靴を履いた。
💎「僕なら大丈夫」
そして、家を出た。
****
夜。
部屋の電気を消す。
瑞はベッドに横になった。
スマホを手に取る。
また音楽を流す。
誰かの声
誰かの歌
誰かが笑っている。
その声を聴きながら、瑞は目を閉じた。
ーー本当は愛されたいのですか?
瑞はまた眉を寄せた。
💎「違う……」
すぐに答える。
💎「別に」
愛されたいなんて。
そんなの。
誰に?どうして?
[僕はひとりで平気だ。寂しくなんかない]
そう思っている。
なのに。
誰かの声が聞きたい。
誰かに気づいてほしい。
でも、何を話せばいいのか分からない。
💎「……めんどくさ」
瑞は小さく笑った。
目を閉じる
音楽が流れている
それだけで少しはましだった。
****
翌朝。
窓を開ける。
雨。
昨日と同じ。
💎「…おはよ」
誰も居ない部屋に言う。
返事はない。
瑞は、しばらく窓の外を見ていた。
それから、ゆっくりと口を開いた。
💎「…なんで自分を隠してるんだろ」
自分に問いかける。
笑われるのが怖い?
話したって、どうせ分からない?
それとも。
瑞は、スマホを握った。
ーー本当は、聞いて欲しいのですか?
瑞は答えなかった。
答えられなかった。
ただ、音楽を再生した。
部屋に声が流れる。
瑞はその声を聴きながら、制服の裾を整えた。
今日も学校に行く
今日も笑う
今日も、普通にする
それしか出来ない。
****
夜。
また、音楽を流す。
瑞は、目を閉じた。
誰かの声が聞こえる気がする。
遠い。
でも聞こえる。
瑞は、ほんの少しだけ笑った。
💎「おはよ」
誰もいない部屋で。
💎「調子どう…?」
返事はない。
💎「そっか… 」
瑞は、少しだけ間を空けた。
💎「僕は…まあまあ」
音楽は変わらず流れている。
瑞はまた呟いた。
💎「次は貴方に…」
✄——————-‐✄
実はこの物語はとある曲をイメージした
曲パロとなっております!
それがなんの曲か当ててみてください!
コメント
1件
こっすさん、第1話読ませていただきました。 瑞くんの「まぁいっか」という口癖が、本当は一番言いたくない言葉なんだろうな…と感じました。鏡の前で自分に言い聞かせるシーン、音楽を流して誰かの声を求める夜のシーン、どちらも胸がぎゅっとなりました。ひとりが寂しいわけないって強がるほど、その裏側が見えてしまう。大学生の頃、私も似たような感覚があったので、瑞くんの気持ちが痛いほど伝わってきました。 曲パロ、気になりますね。どんな曲なんだろう…続きも楽しみにしています🌷