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他は全体的に華やかな作りなのに対し、離れだけ品はありつつも質素。
隠れた茶室のような場所だ。
「あそこは…」
視線は離れを見ながら先導する人に声をかけようとした時である。
ぼんやり灯されていた明かりが動いたと思ったら障子が開いたのだ。
美しい日本人形のような風情が妖しく照らし出され思わず足が止まった。
同じ歳ほどの背丈に見えるが、目にしたことがないほどの美しさは掛け軸に描かれた画のようである。
その瞬間、案内をしていた人が息を飲む音がして突然目を塞がれた。
「いけません…っ。あれはあやかしでございます。決して屋敷内では口にしてはなりません」
動揺と緊張が伝わる強い口調で言うなり、見えないよう手を引かれ早足で屋敷の玄関へ連れて行かれた。
あやかしだと?
そんなはずはない。
確かに今…
ふいにこちらを見た時に少し驚いた顔をした。
あの美しくも幼い愛らしさが交ざった表情。
他のことなど消え失せるほど強く心を奪われていた。