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眩しい夏の太陽が部屋に差し込み、目が覚めた。小鳥がチュンチュン鳴いてる。制服をハンガーから取り、ボタンをしていく。くしでササッととかしたまっすぐストレートな髪の毛。真っ黒な髪。髪の毛は清潔さが出るって言うから髪の毛だけは命。リビングへと移動する。
リビングは散らかりまくり。
「はぁ…」
とため息つきながらも、プリントを拾って重ねて机に置いて。
ご飯は冷凍。冷蔵庫には付箋がいつものように。『今日もいつも通り、ご飯を炊いたよ。適当に冷凍しといたからチンして食べて。味噌汁もごめん。インスタント。野菜も昨日のあまりだけど。By母』
分かってますよ。って感じで付箋を剥がしてゴミ箱に捨てた。ピピピと冷凍ご飯を温め、茶碗の中に粉末スープを入れてお湯を注ぐ。溶かしたり、温めたりしてる間にお皿を用意し、野菜を盛りつける。この作業はもう慣れている。小学五年生。お父さんと離婚してからずーっとだもの。
リビングの机に朝食を置いて一人で食べ進める。いつもと同じ味。美味しくも不味くもない。時計を見てそろそろだな、と思いスクールバッグを肩にかける。
「行ってきます…」
小さな声を出して、家を出た。
学校。地獄のようなもの。いつも私はちょこんと本を読む。クラスメイトのざわつき。楽しそうな声。そんな声も忘れられるくらいに本に集中した。この本は『悪役令嬢はツンデレでした。』というロマンス小説。一生非リアな私に、現実逃避するもの。悪役なのに、可愛くていいなあ、なんちゃって。
「 植田さん! 」
明るく、声が高い声にビクッと驚く。
「 あ…鈴木さん、なんのよう? 」
私は視線をきょろっと逸らしながら…耳だけを傾ける。
「 私、この悪ツンシリーズ読み始めようと思っててさ!貸してくれない?お願い! 」
鈴木さんの瞳はきゅるっとしていた。
「 別に…構いません。 」
私は本を差し出した。
「 ありがとお!植田さん! 」
鈴木さんは満点のほほえみを見せながら自分の席に座ってた。
そういう時にしか私に話しかけてくれない。酷いよ。私には友達がいない…居るとしても隣のクラスの佐藤 もなかという 私と同類の人。よく、推し活しに行ってる。同担さん。そのくらいしか…私を認めてくれる人は…。
家に帰るとお母さんが待っていた。
「 ごめんねぇ、理沙。いつも 冷凍ご飯で。 」
案外お母さんは優しい。
でも、話し方がウザイ。
「 いいよ、全然。 」
私は低い声を出す。
「 やけに疲れてるね、もうご飯できてるから食べる? 」
「 …うん。 」
私が刻りと頷くとお母さんは自信満々で用意し始めた。
お母さんのご飯はやっぱり、暖かい。
今朝食べたご飯より、温かみを感じる。
当たり前だ。出来たてだし、ひとりじゃないから。
「 夕食のときは笑顔で食べてくれて嬉しい !!」
とお母さんはとても喜んでくれた。
こっちも嬉しくなるよ。
布団の中に体を入れたあと、私は珍しくすぐ眠りについた。
すると、そこは不思議な空間だった。
真っ白なところ。どこ見てもさっぷうけい。
てかわたし宙に浮いてるし。でも夢だろう。こんなくだらないこと。
すると、1人の少女がコツコツとこっちに向かってやってきた。私は現実の練習として、話しかけようと口を開いたけど。
「 ッッ…!? 」
有り得ない、喋れない。
そっちの少女も口を一生懸命動かしている。
金髪のウェーブヘアで、いい香りがする、赤いドレスに赤い瞳。あまりにも美しすぎて見入ってしまった。1つ…声が聞こえた。その時、私と彼女の声は一致した。
「「 貴方は誰…? 」」
…寝心地が良かった。背中にふわっとくる。パチッと目を開けるとピンク色に染まった天井があった。…ここは私の家じゃない。咄嗟に理解できた。でも寝ぼけてる可能性もある。日光を浴びようと、私は起き上がる。目にした光景は、100%の私の部屋じゃなかった。
可愛らしい、部屋に 可愛い制服。 ぬいぐるみもあり、本棚もぎっしり詰まってる。わたしが寝てた場所も全然違う。カーテンがあったから外の景色を見ようとした。…え?
下を見れば大きな噴水、左右を見れば城、真正面を見れば綺麗な花畑、上を見れば雲ひとつ無い空!
何…ここ?日光を浴びるどころじゃなくて自分の姿を第一に確認した。
「 これが私…? 」
明らかに私と声が違った。
金髪のウェーブヘアで、いい香りがする、赤いドレスに赤い瞳。この特徴…夢の中の子!
やっぱり、これは夢なのか…信じられなくてほっぺを常った。…痛い。じわじわと赤くなった頬が白い肌に戻っていく。どゆこと!?…まさか、入れ替わるとか…よく本で見る!!
ガチャ__
ドアの開く音がしてドアを見た。
すると、メイド服を来た背が高く上の方でお団子してるメイドさんが来た。
「 ルーチェお嬢様、朝食のお時間ですよ、あら、まだ寝起きじゃないの。 」
彼女は驚いた顔をして私を見た…ルーチェ?もしかして私のこと? なんか口に出さなきゃ…
「 あは…あはは…すみませんね〜、今日寝坊しちゃったのー! 」
人と話すのが慣れてなくてそういうしか無かった。ルーチェさんのキャラに合ってるかな?
「 どうしたのでしょう。そんな改まって。いつも口悪いお嬢様なのに… 」
ボソッとメイドさんは声を上げた。
「 おほん ッ 、 メイド! 今起きたところなの!せか…せかせかさないでくれる? 」
こんな感じ??違和感しかない??
「 私のこと…ナナって呼ぶのに、やはりおかしいですね。 」
ナナ…?ナナメイドさんは、困り顔をした。 「 いますぐ、朝食を食べますわ!だから早く出てきなさい! 」
「 はい… 」
ナナメイドさんは心配そうな顔をして部屋をあとにした。
どういうこと…?私は お嬢様(?)ルーチェさんになっちゃってこと!?