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「 行くわよ! ナナ ッ ! 」
あたしは、ぱっと手を広げた。
「 ルーチェお嬢様、ちょっと待ってくださいよ〜 」
ナナの焦り気味にあたしはため息をつく。
「 メイドなのに、こんな仕事遅いの?ありえないんだけどw 」
クスッと笑いを立てると「すみません…」と頭を下げるナナ。
あたしがかわいいかわいい令嬢だから、みーんな言うことを素直に聞き入れる。ルーチェに手に入らないものはなーんにもないんだもの♡だから、理想の恋人も作れるわけ。
あたしは車の助手席に座る。いつも通り進み始めた。
「 本当〜魔法学校ってだるいわ〜 」
あたしが、本音をポロリと出すと ナナはニコッとなり、
「 お嬢様魔法上手ですよね 」
と言った。
あたしは舌打ちを打った。
「 はぁ?お世辞はよしてくれないかしら?あたし1番階級低いのだわ、そんくらいナナもご存知よねぇ?お世辞ってのバレバレよ。 」
ほんと、令嬢ルーチェに素直にならない馬鹿もこの世には居るようね〜。
褒めて?なんて一言も言ってない。普通に頑張ってとかの方が嬉しいんですけど。馬鹿なメイドね。早くメイドやめて欲しいわ。
「 いや…お世辞じゃなくて!私には無理だから… 」
誤魔化すようにナナは言う。
「 誤魔化す必要なんて無いんだよ? 」
ニコッと笑顔の圧をかける。
これでいい加減…。
「 本当ですって!お嬢様は魔法を使いこなせてるだけで素晴らしいものよ! 」
呆れた。なんでかなあ。もう話すのめんどくさいわ。こいつと話すのダルすぎる。
「 もういいわ、もうナナに言わないわ、そういうこと 」
ナナのことを横目で見ながら外の景色を見る。
「 …つきましたよ? 」
「 はいはい… 」
きっと、ナナはショックを受けてるくせしてメイドだからって笑顔を作ってる。もう何もかもがバレバレ。令嬢のあたしには逆らえないね。
あたしは車を降りて 魔法学校へと向かった。
「 皆様、おはようございますわ、令嬢・ルーチェ様のお通りよ! 」
ドアを乱暴に開け、挨拶をする。
「 ルーチェちゃん、おはよう 」
にこっとミアが話しかける。
こいつは嫌い。
八方美人で、いい人って思われたいだけ。好かれたいだけでしょ?
こんなあたしにもおっと〜りさせていればいいねなんて思われるとでも思ってんのかしら。
異性からも人気あります♡的なウザさ。
いい人ぶって…。
まあ、あいつは所謂ライバルだもの。 だって、おなじ『 令嬢 』だから。
あたしと同じ豪邸に住んでいて、同じような生活を送っている。
なのになのに!あいつの方が人気あるじゃないっ!
だから…嫌いなのよ。
「 … 」
あたしは、嫌いですよアピールをするために、ミアの挨拶を無視する。
「 ミアちゃん、ルーチェちゃんなんかに話しかけなくていいんだよ? 」
ミアの友人らしき人がミアにコソッと話す。
「 あんたねぇぇ!! 」
ミアの友人、サリナの前に立つ。
「 悪口言ってんの聞こえてるのだわ、あたしとミアは仲良しなのよ!ミアそんなこと思ってないわ、やめなさい!ミアに関わるなクソ野郎!! 」
「 ルーチェちゃん…そんな事言わないで… 」
またミアのいい人アピールが始まった。
「 ミアもだよ!いい人アピしたいでくれる? 」
グサッと刺さるような言葉をあたしは発する。
「 そんなつもりじゃ… 」
次第にミアは涙まじりの声が溢れる。
「 悪かったわね、ミア…。 」
あたしもいい人ぶれば人気が出るのかな。
あたしは無言でみあを抱きしめた。
「 私こそ…ごめんなさい。 」
なんも悪くないミアが謝って来て気分が悪かったから声を出す。
「 ミアは謝る必要ないでしょ!あたしが言い過ぎたわ! 」
「 ありがとう…ルーチェちゃん 」
はあ、これであたしは「嫌われず」に済んだわ。
今日は、喧嘩があって疲れたのかベッドに入るとすぐ寝れた。眠くて、眠くて仕方なかったのか。
ん…?周りを見渡すと、白い殺風景。なにここ…。ってかあたし浮いてるし!?
ちょっと動いてみようかな、面白そうだし…。
あたしはコツコツと歩き始める。
すると、ストレートな黒い髪の毛、つり目よりの黒い瞳、清楚系の制服を着ていた。
彼女は美しかった。嘘のない、純粋な性格で、真っ直ぐで控えめで、お淑やかで。見るだけでわかった。凄い…あたしもこんな綺麗な子になりたい!!…それが本音だった。あたしはその子を褒めようと、口を動かす。
「 ッッ…!? 」
声が出なかった。一生懸命大きな口を開いても無理だった。彼女の方も一生懸命に話そうとしている。その時、声は重なった。
「「貴方は誰?」」
寝苦しかった。だからか、早く起きてしまった。背中が気持ち悪い感覚のまま起きる。伸びをして目をぱっちりと開けると見覚えのない光景が写った。
『 数学ワーク 』…?というようなものと、たくさんの本が散らかっていた。どこかで見覚えのある制服も置いてあった。
「 一体ここはどこなの? 」
明らかにあたしの声じゃない!こんな透き通っているような声してない!?おかしくて姿見があったから、そこに立ってみた。
ストレートな黒い髪の毛、つり目よりの黒い瞳。
夢の中で見た子になってる!?
どうしたらいいの?あたしをあの世界へ返してよ!時計を見た。ちょうど6を指していた。そして隣には 『 日本 東京 』と書いてあった。何…?なんて書いてあるの?でも、なんか読める気がする。にほん、とーきょー?なんで読めるの、?おかしいおかしい!
あたしはドアを空けて他の場所へ移動した。すると付箋が貼ってあった。『 今日もいつも通りのご飯です。いつもごめんね、理沙。 』なんでだろう、読める気がする。声に出して読もうとしてみた。
「きょーもいつもどーりのごはんです。いつもごめんねりさ。」
なんで!?読めるし、意味もわかる!?あたしは理沙という少女になっちゃったってことよね?夢だよね?疑いつつ頬を常る。
「痛い…」
夢じゃない。どうしよう。こんな世界で生きていけるかしら。食べ物もどこにあるか分からないわ…今日は空腹で…。あとあたしは何をするのが正解なの?ここには誰もいないし…。どういうことなのよ!?