「…気持ち悪い…。」
思わず口からそう溢れてしまった。
見れば見るほど吐き気を催す。
本当なら私が見る筈の無かったもの…。
彼女が、あんな事をしなければ、見なかったもの。
床に広がったそれを、ただ、目に映すだけで、
嫌悪感が込み上げてくる。
不謹慎かもしれないが、気持ち悪いとしか思えなかった。
カツンと音を立てて、手に握っていた物を落とした。
私がした事は、もう、後戻りの出来ない事。
彼女が私を決断させるのは、それ程難しい事ではなかったのだろうか。
「いま、いま何時…」
携帯を取り出そうと、彼女の鞄から、携帯を引っ張り出す。
18:21
「6時…。」
私自身にも、罰を与えないといけない
「けい、けいさつ。警察にでん…
!」
そう手を動かした瞬間、携帯が手から滑り落ちた。
咄嗟に拾い上げると、画面にヒビが入っている、
壊れたわけではないが、
かなりのダメージだ。
お菓子を我慢してまで、
貯めたお小遣いで買った、
大事な物だから。
視界が揺れ始める。
やっと自分の過ちに気が付いてきた。
「な、なにやってんだろ…私…」
禍々しい雰囲気があたりを充満させる。
その重々しい空気が、私の体の中を這いずり回る。
私は、思わず肩を震わせた。
もう、帰れないのだと
コメント
2件
きっと小説家だったんだよ(錯覚