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またまた完結してしまいました…やはりハッピーエンドは最高ですね…✨✨ 黒さんの借りてきた猫…ではなくポメみたいな反応からしても全員結ばれたのかなと思うともう嬉しい悲鳴が上がりそうです😖💓 青さんが桃さんを見たあと微笑むシーン…また描く手がとまらないかもしれません…そのくらい大好きです!!こっそりFAを描いていたらすみませんꉂ🤭︎💕 「Smile at me」も愛読させて頂きますっ😽💝
一話から見返してたら遅れた〜.ᐟ.ᐟ 終わるまでは待ち遠しくて長く感じたのに本当に終わったら急に短く感じてきますね🍀*゜ ついにこのドキドキな関係もENDですね🫶💕︎ この作品大好き過ぎて✨ いつまでも見てられそうです‼️ せ、フレもいいですね.ᐟ.ᐟ👀 すれ違いからちゃんとパズルのピースがはまる感じを見てるの本当に楽しいです♥️♥️毎回振り回されまくってたけど、最高でした〜…👍 ̖́-
これで終わりですか、、、😭 寂しくなりそうw これからも頑張ってください! ((毎回同じこと言ってるけど許し て、、
【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品となります
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ご本人様方とは一切関係ありません
最終話
手のひらに乗せた泡をふっと吹くと、その一部が目の前のまろの方に舞った。
「いや、やっぱり狭いて」
泡の欠片に眉を寄せながら、まろはまだそんなことを言っている。
「たまにはいいじゃん」
「しかも人んちの風呂に泡いれるし」
「前も入れたことあるじゃん」
今日はその時に持参した泡風呂用の入浴剤が残っていたから入れたんだし。
「後の掃除が結構めんどくさいんやて」
「はいはい、まろは怠惰だもんねー。いいよ俺がやるから」
あの後、何度果てたか分からない。
結局明け方まで抱き潰されるかのごとく行為に没頭して…今に至る。
少し休んでいる間に無性に泡風呂に入りたくなって、この家に置いたままだった俺の私物を浴槽に入れた。
「狭い」やら「泡なんかいらん」やらとぶつぶつ文句を言いながらも結局付き合ってくれるまろは、やっぱり今まで通りの俺に甘いまろだった。
「そう言えばまろ、『ないこよりもっと前』って何?」
風呂の上に浮かぶ泡を両手で掬っては戻してを繰り返しながら、俺は不意にそんな問いを投げた。
あの時玄関で、まろは確かにそう言った。
俺のことを好きだって言ってくれて、『多分ないこよりもっと前から』と。
「言葉通りやけど? ないこが俺のこと好きになったときより、多分もっと前」
「いやそんなん分からんやん。俺の方が早いかもしんないじゃん」
思わずエセ関西弁やら何やらが混ざった口調で言うと、まろはふっと笑う。
「何でそこで張り合うん」
…いや別に、張り合ってるわけではないんだけど。
「大体そんな前からその…そうだったんなら、早く言ってくれれば良かったのに」
「え、それお前が言うん?」
信じられないと言わんばかりにまろがわざとらしく目を見開く。
「う…いやでもさぁ…」
「そもそもそれやったら何でセフレやったん? それこそないこが最初にちゃんと言うたら良かった話やん」
やり返すように、まろは手に乗せた泡を俺に向けて吹き返した。
肺活量の違いか、俺のときよりぶわっと泡が四方に散る。
「いや、だって……それはさぁ…」
「え? 何?」
「〜っ、だって、思わないじゃん。まろが俺のこと好きになってくれるなんて」
だから好きな人ができるまでのセフレでも良かった。
最初は。
でも傍にいられたらどんどん欲が出てきて、どんどん怖くなった。
いつか離れてしまうかもしれない恐怖と、いつか後悔されるかもしれない不安と。
「じゃあ最近の辛そうな顔は何やったん?」
「そんなとこまで見てたのまろ!?」
「当たり前やん。だからもう終わりにしようって言うたんやから。誰か好きな相手ができて、やめたくなったんかと思った」
泡を散らしたまろの手が、湯の中で俺の手を握る。
指を絡めて甲を撫でながらそんなことを口にした。
「…言ったら、さすがに引くと思う」
目を逸して、俺は小さくそう答える。
だけど無言の間が先を促しているようにも感じられて、観念したように身を縮めた。
「だってまろ、リスナーに『大好きだよ』とか言うじゃん…」
渋々消え入りそうな声で答えると、まろはまた目を丸くする。
「そんなんないこも言うやん」
「いや俺はいいんだよ別に」
「何でやねん」
棚上げか、とまろは口の中で文句を転がした。
「あとほとけと仲良いし…」
「はぁ!? どこが!?」
「膝枕してた」
「あんなんあいつが勝手に…しかもあいつはしょにだと……っと」
何かを言いかけたまろが、ハッと我に返ったように自分の口を抑えた。
え?今なんて言った?
「しょうちゃん? ほとけとしょうちゃんがどうかした?」
「…何でもない」
「え何、なんか俺の知らない話!? どういうこと?」
がばっと湯船の中で身を起こし、向かいのまろと距離を詰める。
そんな俺の顎を軽くつかんで、まろはにこっと笑ってみせた。
「ないこ、ちゅーしよ」
「いやそんなんで騙されないからな!?」
え、しょうちゃんとほとけっち!? まろの言いかけた言葉から予想される展開は自分にとっては衝撃だった。
「何でまろが知ってて俺は知らないんだよ…」
「偶然知っただけやからなぁ。聞く? その時の話」
「…いや…なんか生々しそうだからやっぱいいや」
すん、と表情を戻して、俺はもう一度自分の定位置に身を戻した。
「でもヤキモチ妬くにしてもリスナーとほとけって…」
一番ないわ、と笑うものだから、俺はなんだか恥ずかしい気持ちになる。
「悪かったな。誰だろうと、まろとの距離が近いのは嫌なんだよ」
そっぽを向いて言ったけれど、耳まで赤くなっている自覚はあった。
「かわいいなぁ、ないこは」
「バカにしてるだろ」
「んーん、全然?」
指を絡めては離し、また別の角度で絡めて…をまろが繰り返す。
「ないこ、約束して」
急に真面目なトーンで言うものだから、俺は一瞬息を止めた。
「リスナーへの言葉はある程度我慢してもらわなあかんけど、それはまぁお互いさまやから」
繋いでいない方の手を、まろがこちらへ伸ばす。
いつもみたいに俺の頬を包み込んで、優しく撫でた。
「でも俺が好きなんはこの先ずっと、ないこだけやから」
だから…とまろは言葉を継ぐ。
「だから、約束して。もう嘘はつかんって。不安になったら全部ちゃんと言葉にして」
まろの真剣な目を見ていると、胸がきゅんと音を立てた。
絡めた指先をこちらからも握り返し、大きく頷こうとした…その時だった。
「ん?」
ふと思い当たったことがあって、眉を寄せてしばし考え込む。
それから訝しげな表情のまま、目の前のまろを見据えた。
「そもそも俺、嘘は一回もついてなくない? 本当のことを言わなかっただけで」
眉間に皺を寄せたまままろを凝視する。
「嘘ついたのお前の方じゃん。『好きな人ができた』って」
俺にそう言われたまろは、これまでのことを思い出しているのか目線を天井に向けた。
しばらく思案するように視線を泳がせた後、再び俺を見つめ返す。
「確かに」
「…はは! 目からウロコみたいな顔すんなよ」
真面目な顔で自分の非を認めるものだから、思わず俺は吹き出してしまった。
どこまでも締まらない2人ではあるけれど、まろの言葉が嬉しかったのも本当だった。
泡を流して風呂から出て、身支度を整えているときにインターホンが鳴った。
「ないこ出てー。多分宅配」
まだ洗面所でドライヤーをかけていたまろが、俺にそう声をかける。
キッチンでコーヒーを 淹れようとしていた俺は「はいはい」と言いかけてやめた。
宅配…? こんな時間に?
時計に目をやるとまだ朝8時にもなっていなかった。
怪訝な顔でインターホンのモニターに視線をやる。
そして俺は思わず「え!」と声を上げてしまった。
その声に気づいたのか、まろがこちらを覗き見る。
どうかした? と言いかけたらしい言葉を飲み込み、まろは「げ」と俺より露骨な声を出した。
ピッとインターホンの通話ボタンを押す。
「お引き取りくださ…」
『うぇるかむとぅーざいふまろはーうす』
モニター向こうに声をかけようとしたまろの言葉は、朝に似つかわしくないほどのデカい声にかき消された。
日曜のまだ朝早い時間にそこで騒がれるのも困ると判断したのか、まろは吐息まじりに解錠ボタンを押していた。
「おはようまろちゃん、ないちゃん」
「え、ホントにりうちゃんの言う通りだ! ないちゃんもいるじゃん」
「でしょ? りうらは全部分かっちゃうんだよねぇ」
部屋に上がってくるなり言いたい放題の子供組。
どうやら早朝からないこハウスに遊びに行こうとしたようだが、俺が留守だったためここに来たようだ。
…それにしたって朝早く来すぎじゃない?
「あ、ないちゃんコーヒー淹れてたの? ボクたちのも淹れてー」
ニコニコと笑顔でほとけが言う。
いつもならしょうがないなぁなんて言葉を転がすところだけど、今日は素直に頷いた。
くだらないヤキモチを妬いた、ほとけへの罪滅ぼしのつもりだったのかもしれない。
「まろちゃん、良かったなぁ。うまくいったみたいで」
なんだかわざとらしく涙を拭うフリをしながら、しょうちゃんはドライヤーを終えてこちらに来たまろにそう声をかけている。
「…りうらはともかく、何でしょにだまで知っとんねん」
何の話かは分からないけれど、まろは眉間に皺を寄せてそんな言葉を返していた。
「まろちゃん、うちに忘れて行ったタオルは今度また持ってくるな? あ、ないちゃんのやし僕からないちゃんに返した方が早いかなぁ」
「〜〜っ、あれかぁぁぁ」
しょうちゃんの言葉に、まろはうなだれる。
ニヤニヤと笑っているしょうちゃんの向こうからは、りうらがこちらに寄ってきた。
「ないくん、手伝うよ」
人数分のマグカップを出そうとしていた俺に、りうらはそう言う。
「ありがと」
うるさいしょまろとほとけを放置して、俺は手にしたマグカップを順にりうらに手渡した。
「…りうら」
まろの家にはコーヒーミルとか豆とかそんなシャレたものはなく、あるのはインスタントかスティックタイプのみ。
メンバーそれぞれの好みを思い出しながら用意し、俺は手を動かしたまま呼びかける。
「昨日はありがと。色々…」
事務所での会話を思い出しながら、そう口にする。
あの時りうらにああ言われていなかったら、俺はまだあそこで立ち止まったままだった。
「いえいえ。まぁりうらは全部の答えを知ってたからね。ちょっと背中を押しただけだよ」
かわいくて生意気な最年少は、そう言って軽くウィンクしてみせる。
「でも実際頑張ったのはないくんじゃん」
えらいえらい、と付け足しながら、りうらは子どもにするみたいに俺の頭を撫でるフリをした。
いつもは最年少という立場であるからこそ、こういう時に少し年上の真似事をしてみたいのかもしれない。
そんなりうらに、俺はさっきから気になっていることを尋ねる。
「なぁりうら、ところでさ」
カップにお湯を注ぎながら、会話の流れを改めた。
「さっきからあにきは何であんなに大人しいん?」
借りてきた猫…いやポメラニアンみたいに小さくなったあにきを顎で指し示しながら俺は尋ねる。
ここには4人で来たっていうのに、あにきはまだ一言も声を発していない。
体調が悪いわけでもなさそうなのに、なんだか心ここにあらずと言った感じでたまに遠い目で空(くう)を見つめている。
今日だって、こんなに朝早く訪問しようとする子供組を…普段のあにきだったら止めてくれていたんじゃないだろうか。
「さぁ」
首を傾げながら言うりうら。
でもその声音は、「何も知らない」と言った空気感ではなかった。
「天地がひっくり返るくらい、びっくりすることでもあったんじゃない?」
ニヤッと笑って言ったりうらは、その話はそれで終わりと言わんばかりに「ところでないくん」と呼びかけてきた。
「昨日言ってたないくんの望みは、叶いそう?」
言われた瞬間、昨日のりうらとの会話が鮮やかに蘇ってくる。
自分がその時口にした「それ」を、一つずつ心の中で繰り返した。
『傍に、いてほしい』
思い出しながら、俺はまだしょうちゃんたちと軽口の応酬をしているまろの方に目線をやる。
『好きな人を忘れて、俺だけ見てほしい』
それに気づいたまろが、こちらを振り返った。
『俺だけに笑ってほしい』
目が合った瞬間、まろが目を細めて小さく微笑む。
それにつられるように口元に笑みを浮かべて、俺は「うん」と頷いた。
「叶いそう、だよ」
りうらに向けて、俺は自信を持ってそうはっきりと返事をする。
「多分、これから先もずっと」
『smile at me』 -end-