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※一応、ホロックスのメンバーとして考えています。なので本家様とは名前が大きく違います。そこはご了承ください。
目が眩む。世界が一瞬で白黒に変わる。そんな中、雲ひとつなく澄んだ空の青さと赤い……。赤い、標識、そして……!その二色だけが強烈なコントラストを放ちながら網膜の奥に焼き付いていく。
今、目の前に広がっているこれは何だろう。
馬鹿みたいに鳴き喚く蝉の声が耳に突き刺さる。
鉄の匂いが君の香りと混ざり合う。
すべての感覚が認識を無視して脳内を直接殴るように刺激する。
横断歩道には焼き焦げたようなタイヤ跡と、小さな君の体と同じくらいの赤いラインが引かれていた。今更何ができるわけでもないのに近くに駆け寄ると、咽返る熱気が目に、鼻に、頭に、更に現実を叩き込む。
ここにいるのは君じゃない。
ついさっきまで話をしていた君じゃない。
ただの赤いなにかの塊だ。
誰に何と言われようと、これは、君じゃない。
……吐き気が込み上げ頭が酷く痛む。水中で目を開けているかのように視界が眩むと、ぽたぽたとアスファルトに水滴が垂れた。それはどうやら、私の両目から滴り落ちているようだった。
話し掛けようと口をパクパクと動かすが、蝉の声にかき消されてしまったのか、それとも声なんて最初から出ていないのか、全く何も聞こえなかった。
伝えなきゃ。
伝えようって決めたばかりなんだ。
早く伝えなきゃ。
ユラユラと揺れるカゲロウがやけに近くに立っていた。
嗤うように、私と君とを邪魔するように、ただただそこに立っていた。
邪魔をしないでくれ。今からやっと伝えるんだ。
後でいくらでも嗤ってくれていい。だから今だけは放っておいてくれ。
大分遅くなったけど、気持ち悪がられるかもしれないけど……
少し我儘な態度も
照れた時にすぐ殴る癖も
なびく髪の匂いも全部
__私は、君が大好きだった。