テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
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︎︎⚠︎︎注意⚠︎︎
・ご本人様方には一切関係がない
・捏造、妄想要素が激しい可能性あり
・特徴を捉えきれていない部分が多々あり
・投稿頻度がノロマかつ不定期
※GTA関連での設定を多少参考にしている
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皆様本当にお久しぶりです、こんぶです。
ぺんさんが主人公の短編新シリーズ、試作なしで出すので震えてます。積もりに積もった感謝、お話はまた別枠で……。
それでは久しぶりの、
いってらっしゃいませ〜⟡.·*.
お気に入りの黒いバケハがふわりと浮いたので、両手でつばを抑え込む。ちらりと空を見上げると、灰色の雲たちが異常な速さで流れていた。空が濁っていく様は、見ていて気持ちの良いものではない。
(うわっ、ひと雨降りそうだな〜)
そう思ったのがたった数分前のことである。
コンクリートに敷かれた水溜まりは、驚くほど不味かった。例えるならそれは鉄のような味がして、いや、紛れもなくそれは自分の血だった。横断歩道を渡ろうとしたところまでは覚えていて、気づけば道路に横たわり、体は雨に強く打ち付けられている。周囲の声は激しい雨音でかき消され聞き取れないが、救急車が近づいて来ているのは辛うじて分かる。今自分は、生死を彷徨っているのだろうか。状況を整理しようにも考える気力がなくなって、次に瞼が限りなく重たくなって、身体が水溜まりに沈んでいく。そんな最中、残っていた聴覚だけはある声を捉えた。
「助けて……お願い、─────」
▶ぺいんと宅
「…ぉーい、ぺんさーん。ぺいんとぉぉー!」
「うっせぇぇ!!なんだよらっだぁ」
「なんだよってなんだよ。お前が話したいことある、って俺を呼び出したんですやん」
「あそういえばそうだわ、へへっ」
「おいおい嘘だろ?な〜んか、この前事故ってからボケが加速してね?」
「オーーイ!!ボケ言うな。ちゃんと死にかけたんだよ俺」
「いやほんとにね、普通に心配。……もう身体は大丈夫なん?」
「おう、こいつのお陰でな(腕毛を見せる)」
「こんな時にうひょー!とはならん、さすがの俺も空気は読む」
「ウェイワー?」
空を切った腕毛をしまい、固唾を飲み込む。確かに、俺は数ヶ月前事故に遭った。軽く車体に当たった程度だが、足首の捻挫と擦り傷が至るところにできている。「普段の生活をする分にはほとんど支障がない」と医者には言われているが、日の当たらない生活ばかりしていた俺にとっては、かなりの大怪我だった。そして、それだけで済めばどれほど良かったか。
「…俺さ、あの事故で霊視が発現したっぽいんだよね」
“霊視”
幽霊の姿形が見える能力のことを言う。そして、俺にとってはただただ心臓に悪い能力でもある。この霊視は、生まれつき持っている者もいれば、何らかをトリガーに突如発現してしまう者もいるらしい。俺の場合は、まさに後者だった。大怪我を負った上に、変なものまで見えるようになったため、今じゃ普段の生活に支障しかない。
「見えんだ……幽霊が?」
「うん、結構はっきりね」
「ありゃ〜、なんか災難ばっかやねぺんさん」
「いやまじで…。てかこれさ、本当に申し出なきゃいけないの?」
「葬儀屋に?そりゃそうよ。そういうルールだから、しゃーなしやね」
「だよなー、俺葬送師になるマ?」
人が生まれるより多く死ぬこの世界で、快く逝く人なんてごくひと握りだ。この世を去る人たちは何らかの未練を残し、その対象に霊魂を無理やり結びつけて現世を彷徨う。その霊魂が現世に滞在し続ければし続けるほど、霊体となって生きている人間に干渉するようになり、実害を及ぼしかねない。それを防ぐために”葬送師”という職業があり、霊視が発現し次第、政府及び葬儀屋へ申し出る決まりとなっている。聞こえは選ばれし勇者のようだが、決して特別扱いを受けることはない。葬送師はこの世界で、ごく一般的な職業なのである。もちろん、霊体を成仏させる度に報酬は貰えるのだが、お世辞にも良いとは言えない。
(俺上手くやれんのかな〜、幽霊とか普通に怖いし怪我も完治してない…)
「てかさ、ぺいんとその怪我で葬送師やれんの?」
「いやそこなんだよ、やれるかな……」
「う〜ん、まぁ一旦やってみせないと分からんか……。ちょうどさっき対応要請があったし、一緒行く?」
「…ハ?対応要請?」
「そう、霊体が出たらしいからお仕事」
「…お仕事って、らっだぁが?待って、ほんとにどういうこと!?」
「いやだから、俺はとっくの昔に霊視が発現してて、葬送師の仕事やってんのよ。ほら、行くよぺんさん」
「ハッッ!?お前葬送師なの!?え、幽霊見えッ…ちょ待って、聞いてないんだけどォ!?」
「うるさッ。だって、言ってないもん(笑)」
衝撃の事実を知らされた俺は、しばらく放心状態が続いた。その間らっだぁは、「あいつに迎え来てもらって3人で行くか」などとスマホを取りだし連絡を取っている。どうしてそう冷静でいられるのか、俺は不思議で仕方がなかった。
(結構緊張したけどな打ち明けるの…。動揺するの普通あっちでしょ、マジで意味が分からん)
そうぶつくさ文句を言っていると、どうやら迎えが来たらしい。誰が来たかなんて、大体検討はついている。ため息混じりに捻挫した足を撫で、俺は自宅を後にした。
▶車内
「で、なんでとぅーんがここにいるわけ?」
「ん?この前の事故で霊視出来るようになったらしい」
「いやだから、まだ完治してないから安静にしなきゃで…エェーー!?霊視出来んのぺんさん!?」
「うるさッ(笑)前見て〜ご安全に!」
「はいはい…えッ?てことはもう葬送師の申請済ませたってこと?」
「いやぁ?一旦葬儀屋にメールだけして、なんとなく連れてきた〜」
「マジで何してんの?絶対ダメでしょ、まだ怪我も治ってないのに」
「まぁ俺らがいれば大丈夫っしょ。あ、ぺんさんぐちつぼも葬送師だからね」
「え、言ってなかったのかよ。」
「だってさっき知ったし、連れてくのも急に決まったし」
俺は再び、後部座席にて放心状態になっている。らっだぁのみならず、ぐちーつまでも葬送師だったなんて。ここまでの状況を整理するためにも、俺は落ち着いて考えをまとめることにした。まず俺たちは今、葬儀屋から対応要請があった場所へ、ぐちーつの運転で向かっている。葬送師は葬儀屋に雇用されていて、毎日のように対応要請が飛んでくる。それに応じるか否かは個人の都合次第だが、もし応じる場合は、複数人と組んで現場に向かうことが推奨されているらしい。とりあえず今回は、俺に職場体験をさせるという名目で現場に連れ込み、葬儀屋を納得させるようだ。
(そんな上手くいくかな、怖いな…。いや、別に幽霊にビビってるとかではないから!後で葬儀屋さんの方々になんて言われるかが怖いだけだからッ!)
「うい、現着だぜ」
「運転ありがとねぇ〜、じゃあ行こう」
「お、おう」
「あれ、とぅんさんビッてる?」
「イーヤ!?ビッてません!?」
「ははっ、まぁ大丈夫。危なかったらぐちつぼが守ってくれるから」
「はぁ、まーた他力本願かよ。まぁ、そりゃ守るけど」
▶とある河川敷
少し肌寒い季節だからか、葬儀屋の方々が事前に立ち入りを制限してくれているからか、周囲を見渡しても人の気配はない。俺らの視界に映るのは、遠くのビル群に夕日が隠れる様と、風に揺れる草原にぽつりと佇む黒い人影。少し近づけば肌は青白く、この世のものではない──霊視を通して視ている霊体だと、すぐに理解した。両隣から伝わってくる張り詰めた空気でも、俺がそう察するには十分だった。幽霊の女性はじっとこちらを見つめているだけで、俺たちに危害を加えようとはしていない。ただ俺には、力なく何かを伝えようと、微かに口を動かしているように見えた。
(何か喋ってそうだけど、遠いから聞こえないな…)
そう思って近づこうとする俺を、らっだぁが手を出して静止する。
「ぺいんとは、これ以上近づいちゃダメね。もう視えてるだろうけど、まずあれが霊体。で、何か白くて細長い管みたいなのがあると思うんだけど、あれが霊体をここに繋ぎ止めてるやつ。俺らはへその緒って呼んでる。現世にある未練の対象と繋がってるから、あれをこの特殊な刀で断ち切ってあげるんだよ」
「何か仕掛けてくる訳でもなさそうだし、ちゃっちゃと成仏させちまおうぜ」
「うん、でも一応、読経とお札ランチャーの準備はしといてね。ぐちつぼはぺいんとの守備が第一優先だよ」
「おう、任せな」
(へその緒? 未練の対象? お札ランチャー? それより……)
感覚を霊体の声に研ぎ澄ませるより前に、ぐちーつは何かをぶつぶつと読み始め、それを聞いたらっだぁが刀を持ち直し彼女に近づいていく。今にも消えそうなほど神秘的に揺らぐへその緒。何重にも霊体を取り巻くそれへ、らっだぁは舞うようにして刃を入れていく。つい魅入ってしまうこれが、葬送の儀式であることは一目瞭然だった。
────────大切な形見のネックレスがないの。あれがないと、私は死んでも死にきれない……
「待ってらっだぁ!!ストップ!!」
驚いてこちらを見る2人に、俺は続けて言う。
「その人は、”形見のネックレス”を探してる!!だからずっと彷徨ってて…、俺たちがッ無理やり断ち切っちゃダメ…なんだ、きっと。それが自分の命より大切みたいだったからッ、なんとか見つけてあげないと!」
伝えるのに必死だった。確かに聞こえた彼女の声は、驚くほど震えていて繊細で、今にも不安で押し潰されてしまいそうで。自分の命を落としても尚、こんな広い河川敷を1人で探し回っていた。そんなのは容易く想像が出来て、形見のネックレスが彼女にとってどれだけ大切なのか、俺でも分かった。
「とぅーん、落ち着いて。えっと、どういうこと?それはあの霊体が言ってたってことか?」
「そう!早く、早く見つけてあげればきっと…」
「ぺいんと、なんでそんなことが分かるの?」
「な、なんでって。そう聞こえた、から?」
「あのね、霊視って幽霊の姿形しか分からないの。つまり、声は聞こえるはずないんだよ」
「でも……」
怪訝な顔をするらっだぁに、俺は思わず口を噤んだ。しかし、俺の聞いた声に間違いはなかった。この世のものではないはずの霊体が、恐らく生前と同じように顔をほころばせているのだ。必死に伝えようとした熱量のせいか、彼女の表情に安心したのか、俺の身体はとても温かい。───呼吸を整える。
「と、とりあえず成仏させるのは後にしない?あの人は…長い間、独りで助けを待ってたはずなんだよ。その声を俺は無視したくない、助けたい」
俺たちの間を風が通り抜ける。一瞬の静寂がやけに長く感じ、コオロギの鳴き声は鮮明に聞こえた。そろそろ夕日が暮れる頃だ。
「声ねぇ…。まぁ、やってみようぜ。探すの時間かかるだろうけど、それが見つかったら切らなくても成仏させられるかも」
「……ふぅ、一旦ね?でも、危険だと思ったら俺の判断で通常通り葬儀するからね。その形見のネックレスってやつ、どこにありそうかとか聞ける?」
「き、聞いてみるわ!」
葬送師の仕事をこなせる自信なんて微塵もない。初めてだし、幽霊とか苦手だし、とにかく不安でいっぱいだった。でも、2人が居てくれるなら、どうにかなるような気がしていた。そして、何かと真面目な彼らは、葬送師にならなきゃいけない現実ときちんと向き合って、ここまでやってきているはずだ。でないと、あんなに手際よく葬儀なんてこなせない。大怪我を負ったビビりな俺は、どうせしばらく役に立たないし、幽霊にすら近づけないだろう。
(なら……!)
「あの、形見のネックレス俺探すの手伝います!どこら辺で失くしたッ、とか分かりますか…」
『(首を横に振る)…。でも、あそこ、探してない』
彼女は遠くの川沿いを指す。2人に共有するより先に俺は草をかき分け、おぼつかない足をどうにか進めた。形見のネックレスがどれくらいの大きさで、どんな形状のものなのか。指された場所に着いて初めて、特徴を聞き忘れたことに気が付いた。「あ、やべっ」そう振り向いた頃には、俺の頭にげんこつが落ちてきた。
▶車内
「くっそやられた。足、めっちゃ蚊に刺されたわ。カイー」
「俺も結構いかれた。てか、意外とあっさり見つかったなぁネックレス」
「な。しかも、刀なしで本当に成仏させられるんだもんな。とぅーん曰く、霊体凄い喜んでたって言ってたし」
「どっちにしろ、今回の件は上に報告かな。いやメールすんのめんどくせぇ〜」
正式に葬送師になった訳でもないのに、俺は霊体を成仏させた。彼女の嬉しそうな顔。誰かの力になれた達成感。普通ではない、幽霊の声が聞けるという能力。どれもまだ上手く咀嚼しきれていない。それは、成仏する前に遺した彼女の言葉がつっかえているからでもあった。
────『あなたも早く見つけてあげて』
(俺は、何かを探している…のか?)
答えを探そうにも、緩やかな車の揺れと前から聞こえてくる2人の会話が心地良く、眠気を誘う。張り詰めていたものが少しずつ解けていき、次第に瞼が重くなっていく。
薄闇に浮かぶ半月は、あっという間に雲に隠れた。
りちこ
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コメント
1件
こんぶ。さん、第1話読ませていただきました! 事故から霊視が発現して、葬送師としての第一歩を踏み出すぺんさんの心情がすごく丁寧に描かれていて、読み応えがありました。特に「幽霊の声が聞こえる」っていう設定が、普通の霊視とは違う特別なものだと分かって、これからの展開がすごく気になります。らっだぁとの軽妙な掛け合いも好きです! 続き楽しみにしています🌷