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気が付くと、何やら風だけが吹く、暗闇の中にいた。
自分が「居る」ものだと初めて認識した時が、今だ。
自分は一体、なんだろうか。
意識の中に、言葉だけが入ってくる。
「助けて」「救って」「どうにか」「常に平和を」
「私に都合のいい世界を」「あの人に気づかせて」
何で誰の言葉だろう。周りのことを気遣っているようで、全て自分中心の言葉たちだこと。
そんなことより、私は・・・。
誰なのかと考えた。
イメージが言葉としてうかんで、沢山、たくさん。
意識を向けたら束になって、羽虫のようにうじゃうじゃと。
私の周りを囲って、黒黒とつつんでいる。
かえって、「私」など見えぬようになる。
自分の中をのぞけど、空だ。
それなのに、ただ、黒と、誰かの言葉のみがあって、救いなどという確かに存在などせず、その者の中にあるものを求められていて、
・・・やっと気づいた。
何だ、私は・・・。そうか。
そして私はまた、黒く白く空で、名前などというのも確かでない、言葉をきくだけの存在に戻った。
意識も、言葉も、自らのものは、一つとして私にはいらない。
在るだけでいい。
だって私は世界一有名な、匿名様だから。