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#ゐト。の宝庫
#ハンドレットノート〇〇説
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#名探偵コナン
サンフラワー
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1. 孤独な幽波紋使い
幼い頃から孤独だった。いや、自ら孤独になるべくしてなっていた。僕……こと花京院典明は生まれついての幽波紋使いだった。自身の幽波紋である法皇の緑は、僕の最も近しい友であり、相棒であり、家族である。 緑色に光る身体に多くの触手。幽波紋なので勿論人間離れした見た目ではあるが、僕からすると家族としての認識も強かった。夜が怖い時は一緒に床につき、抱きしめて貰ったな。心が暖かくなって、深い眠りにつくことが出来たんだ。初めて人と話した時、幽波紋が非幽波紋使いには見えないという事実を知り、酷く落ち込んだ。一番の親友が、他人からは見えないのだ。それはもう納得出来るはずが無く、どれだけ仲良くなり、親友と呼べるに相応しい人物になったとしても見えなければ意味が無いのである。それ故、人とはあまり話さなかった。友達もつくらなかった。幼く断片的な判断を下す脳は、“法皇の事を認識していない、すなわちそれは僕自身を認識していないと同義”、そう解釈したのだ。友達というものは、実際は喉から手が出る程に欲しい。心から笑い合える、僕を理解してくれる人が欲しい。
夜更け、窓の外に輝く星々にそう願った。
2. 悪夢への誘い
高校生になってからもその考えは相変わらずなもので、もうその時には孤独にも慣れつつあった。そんな代わり映えの日々の中、両親と家族旅行に行くことになった。……それが大きな転機とは、まだ僕は知りもしなかった。
行き先はエジプト、ピラミッドの観光ツアーで半日を過ごし、もう半日はカイロの街並みを眺め食事を楽しんだ。一通り今日という日を終えて、ホテルのチェックインを済ませたら、思わずまだ早いとも思える時刻に眠りについてしまった。
観光による疲れなのだろう、僕は深く、深く眠っていた。
僕は夢を見た。それもとても奇妙な。今思えば、それはあの方に巡り逢う暗示……いわばある種の予知夢というものだったのだろう。 暗い暗い闇の中で、あの方だけが救いの様に手を差し伸べてくれた。だがその時の愚かな僕は、その魅力を恐れ飛び起きてしまった。空はとうに暗くなり、両親も既に眠りについていた。 その日は夢に出てきた人物の事が気になりながらも、仕方なく眠った。 夢の続きは見なかった。
二日目の夜、僕は両親と共に散歩に出掛けていた。日本ならば兎も角、治安が良いとは言い難いエジプトでなんて危機感が足りていないのじゃあないか。なんて思いもしたが、ホテルにいっぱなきというのも暇なもので、仕方無く両親の誘いのまま後ろを着いていった。 外は暗く、街灯が無い路地裏は闇に吸い込まれるようだ。よそ見をしてるも束の間、気付けば両親は何処かに消えてしまっていた。 つまるところ僕は迷子になったのだ。ホテルに帰れば良いと思うかもしれないが、生憎地図を持っているのは父で、その父は既にはぐれてしまっている。 どうしようも無い事である。自身の幽波紋、法皇の緑で追跡は出来ないのだろうかと路地裏を彷徨う。暗闇の中、妖しげな影が見えた。
3.融解する精神
辺りが暗いからか、その人物の姿は輪郭さえ捉えることが出来ず黒い闇と同化していたようだった。その人物は僕を領域に引き摺りこむかのごとく闇へと引き込んだ。茨と共に薔薇が咲き乱れ、冷たい瞳が僕を映し出す。僕はこの状況を恐れた、非常に恐れた、もう殺されてしまうそんな命の危機を感じた。囁く声が聞こえた、「……花京院くん。恐れることはないよ、」その声は優しく、まるで子供に言い聞かせるかのように僕の脳髄に染み渡る。その優しげな声と裏腹に感じる未知なる畏怖が全身の毛を逆撫で、僕の拒否反応を最高潮に達させた。胃液が逆流し、口に流れ出して仕舞うほどだ。そんな僕を構いもしない様に彼は続けて、「友達になろう。」と言い切った。その言葉には恐ろしさと同時に安心とも言える懐かしさを含んでおり、僕の中の小さな子供が泣き止み、安堵の眠りについたような気がした。僕は表現し得ない歓喜と恐怖で身体を震わせていた、今の今まで死を覚悟までしていたのが嘘のように。濁った感情に澄んだ狂気が合流しても混濁したままであるように、もう僕の頭の中の純粋な心持ちは見事に踏み荒らされ、靴の跡が僕を笑うかのように壊れかけの精神を見下した。声の主は髪の隙間からとある装置を取り出し、僕の額に近付ける。それは僕の脳天を目指し針山に刺す針の如く真っ直ぐと皮膚を抉った。頭蓋を貫き内部へ到達したその時、僕の脳は痛みと神経細胞の破壊で惨く赤黒い叫びを上げるはずであった。けれども感じた感覚は全く異なるもので、激しい荒波のように迫り来る快楽、そして安寧が僕の全身を包み込んでいた。額から流れる血に汗、それらを彼は優しく舐め上げ、僕の髪を撫でた。捕食者の瞳、それは救世主の眼差しとして映り、もはやこれが正しい事なのかはどうでも良かった。安らかな気持ちのまま、僕の意識は途切れた。 「グッナイ、花京院。」 その言葉は僕には届かなかった。
コメント
1件
ああ、読み終わりました……。花京院くんの孤独がすごく繊細に描かれていて、胸がぎゅっとなりました。「法皇の緑」が唯一の友達で、夜は一緒に寝て抱きしめてもらうっていうエピソード、切なくて大好きです。そこに出てくるDIOの「友達になろう」が、優しさと狂気が混ざり合っていて──読んでるこっちまで混濁した気持ちになりました。次が気になります!