『ねーねーロト〜、そーいやお金どうすんのー?俺一文なしだよ?』
「ふっふっふ、町長からこの町での買い物は無料って言わせた」
『言わせたんだ…まぁいっか、買いに行くか!』
『ありがとーございやしたぁ〜』
「…マジで無料だった」
『すげぇな勇者パワー』
「これを勇者パワーと呼ぶのはどうかと思うが…ま、これでいつでも行けるな!」
『どいてどいてどいて〜!!』
「ん?なんだ?」
声がした方を見ると、紺色の髪をしたショートカットの女がいた。
『あ、オニーサンいいもん持ってんね、貰ってくワ』
「…は?」
『あ〜、あの子確かあれだね、巷で噂の窃盗犯』
「取り敢えず追いかけるぞマーニー!俺らの堕落生活の命運があのバックには掛かってんだ!!」
『あいあいさー』
あの女に盗られたバックには、怪我をした時用のポーションや食料等々、重要なモンが沢山入ってる。あれを盗られたままだと俺ら魔王討伐に向かえねえ。
向かえねえってことは俺らのニート生活の未来は消えるってこった。
もう一回買えばと思ったが、店にあるだけ俺らが買い占めたから買い直しもできないと。
「そこの女!!待てやゴラァ!!」
まぁ巷で噂の捕まったことのない窃盗犯と今日外デビューしたニートじゃ結果は歴然だよな。
「サヨナラ俺らの堕落生活…」