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「焦れったい」 krsd
両片思い|ご本人様には一切関係ありません。
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︎︎⟡ Kr side ︎︎⟡
「…好きだなぁ」
口にごく、と1口酒を含んで小さくそう呟いた。時計の針は既に1を指していて、外は真っ暗。いつから2人で晩酌を始めたかなんてもう覚えていなくて、己の足元には酒の空き缶が何本も転がっている。
「…ほんとに寝てんのかー?こいつ。」
隣で静かに寝ている彼の頬をつん、と優しく指で突く。すると少しモゴモゴして反対方向に顔を逸らしてくる。そんな彼_シードを見て俺は自然と頬が緩む。
ふわりとしていて、少し傷んだ淡い水色の髪。長いまつ毛に整った顔立ち。隣にいれば、香ってくるタバコの匂い。
「はー…早く俺のシードになんねぇかな。」
今度はハッキリとそう声を出した。コイツが実は起きてて、これをきっかけに意識してくれねぇかなー、なんて考えて。
初めてこいつと話したのは1年とか、2年とか前で、こいつに惚れたのも1年とか2年前。一目惚れだった。一目見て、一言会話を交わしただけでこいつに惹かれてしまった。離れあったN極とS極が引かれ合うように。
「…なんで、お前なんだろうなー、ほんと。」
俺、そんな簡単に人を好きになる奴じゃないんだけどさ。動画でも、こういうの批判するようなキャラでいってるし。そう眠っているシードに問いかけるように一人言を漏らす。
「……好き。」
そう言って俺はこいつが起きていた事も知らずにそっとヤツの頬に口付けをした。
︎︎⟡ Sd side ︎︎⟡
「はー、早く俺のシードになんねぇかな。」
その言葉と共に俺は意識を取り戻した。晩酌を初めて一体何時間経っただろうか、終電には間に合うだろうか。そんな事が頭を過ぎる。でも、そんな事はどうだって良かった。何より先に考えたのは自分の目の前で己の想い人と両思いだということを突然知ったのだから。
好きなった理由は覚えていない。でも、今好きな理由は何個だって言える人だった。第1印象は、なんか変に先輩面してくるウザイヤツで、正直に言うとあんまりいけ好かないタイプだった。でも今思うと、あれも全部自分を思ってくれてからの発言だったんだなぁ、っと心底思う。
意外と、仲間思いの良い奴で強気な癖に繊細で、思ったより活動者してるし。 やけに俺にちょっかいかけたりして、意外とかまちょなところ。
キルシュトルテという男は、ギャップがすごい男だった。
ここのギャップだけ見たら「意外と可愛いヤツ」に見えるかもしれないけど、実はキルは「意外とかっこいいヤツ」で、俺が編集とかのストレスで寝込んだ時も最初に家に来てくれたのはキルくんだったっけな。コンビニに行く時は必ず俺の分のコーヒーと煙草買ってきてくれる。意外と気遣いのよくできる男だった。
そして、俺にやけに優しくしてくれる変なヤツだった。俺が何かやらかす度に叱ったりするんじゃなくて、いつだって優しく俺に一から教え直してくれた。馬鹿にされる時もよくあるけど、それは全て俺をよく知っているからこそできる物が多くて、なんだか嬉しくなる。
そんなキルくんを俺はいつの間にか好きになっていた。
「…なんで、お前なんだろーな、ほんと。」
酒の入ったガラスの中で氷がカラン、と音を立てる。どうやらもう飲み干したようだ。普段中々酔わないキルの頬が少し赤く染っている。
俺はまだキルくんと両思いだという事実を飲み込めないままでいた。初めてこんなに人のことをちゃんと好きになったもんなので、こういう時どうすればいいのか分からない。突然起き上がって「キルくん、愛してるよ」とでも言ってやろうか。…いや、それはダメだな。俺がダメかもしれんわ。
そんなことをずっとごちゃごちゃと考えていると頬に生暖かい感触と共に、ちゅっとリップ音が鼓膜を震わせた。
「……好き。」
口が空いた。ずっと隠すように閉じていた目立ってガン開きにした。キルくんの顔を見ると、どうやら目を瞑っているようだ。
「……焦れったいんよ、お前は。」
ばっと口を覆った。無意識に声を出してしまった。完全にキルくんが驚いた顔をしてこちらを見つめている。確実に起きているのがバレている。
「…はは、何、お前寝たフリ盗み聞きしてたの?」
頭を抱えてキルくんはそう言う。小さく「最悪」と言ったのが微かに聞こえた。
「…気持ち悪いとか、思っても絶対言うなよ。」
「言わないよ。」
咄嗟にそう口にした。するとキルくんはぽかんとした顔をしてこちらを見つめる。
「…俺も」
_俺も、キルくんと同じ気持ちだから。
「…は?」
キルくんは相変わらずこちらを見るなりあほ面をぶっかましていて思わず笑みが零れる。
困ったな。ここは俺がリードしたいとこだけどさ、心臓の鼓動が加速してってる。今俺の顔が熱いのは、きっと酒のせいだけではない。
「……じゃけぇ、好きなんよ、キルくんのこと、俺、あんま言わせんで…」
やっとの思いで伝えようと口を開くて自然と早口になってしまう。口辺りを手で隠して目を逸らす。多分今、これまでに無いくらい不細工な顔をしているだろうから。
「……」
お互いに沈黙が続く。どことなく気まずくて、熱を持った空気で、息がしずらい。
「……今の聞かんかったことに、…」
「まって。」
パッと手を握られて、少し驚いてキルくんの目を見つめる。どうすればいいのか分からなくて、手を握るだけ握って黙るキルくんの様子を伺う。
「…キルくん?」
「…今度、2人で。宅飲みじゃなくて、いいBARに連れてくから。」
約束。_小指を絡め合わせる。また今度、かっこよく好きだということを伝えさせてくれってか。
そういう所も大好きだよ。キルくん。
「喜んで。笑」
______
END
コメント
1件
待って好きです愛してます。マジで