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このまま努力をしたってどうにもならないのではないか。
結局、両親の指定した相手と結婚して、それで終わりならもうなにもしたくない。
リーナはそんな脱力感に襲われていたのだが、アデルだけは違った。
「リナルディくん、本当によくやったな。ここまで成績が上がるなんて、かなりのことだよ。たったこれだけの期間で、ここまで魔術を使いこなせるなんて。君は努力の天才だね。
その諦めの悪さは、魔術にぴったりだ」
ただただ、手放しにリーナを褒めたのだ。
「おいおい、どうした? 泣くようなことか?」
こう言われるが、もう止まらない。涙は勝手にあふれてくる。
表面上の成績だけではなく、やっと本当の意味で自分を見てもらえた気がした瞬間だった。
なにより嬉しかったのは、自分の未来に期待をしてくれたこと。
一本道に決められていた未来が、その言葉だけで一気にいくつも広がった気がした。
アデルが可能性を広げてくれたのだ。
それからというもの、リーナはより一層、魔術の鍛錬に励んだ。
そうして一年以上、やがて『魔法実技』においても一流の成績を残せるようになる。
そうなってもなお、リーナはアデルにずっと感謝していた。
広がった選択肢をすべて捨てて、彼のために人生すら捧げられるくらい。
だから、アデルが追放された以降も常に彼を探し続けていて、今。
ついに再会することができた。
いつか彼が言っていたように、それはリーナの諦めが悪かったからかもしれない。