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そう聞き返せば、視線が鋭く尖る。
「私は何も知らないわよ。知ってるのは、あの子の証言だけ」
「あの子というのは、穂波さんですか?」
「そうよ。あの子のポケモンが傷付けられた時の証言を、私は直接聞いたわ」
「…それを教えていただくことは出来ませんか」
雪乃がそう言えば、ニルルは余裕の笑みで言葉を返す。
「良いわよ。話してあげましょうか?」
そして雪乃は事件の全容を聞いた。
「その日の放課後、穂波は噴水のそばをポケモンと共に歩いていた。すると後ろから石が飛んできて、隣にいたポケモンに当たった。…後ろを振り向いた時そこにいたのが、立花美希だった」
これが穂波の証言よ、とニルルは言う。
「…本当にそれは本人が言った証言なんですか」
「疑ってるの?なんなら本人に確認してきたら?まぁもう何度も聞かれてうんざりしてるだろうけど」
ふふふ、と笑うニルル。
雪乃はスッキリせず、立ち尽くす。
「本人がそう言ってるんだから、もう犯人は立花美希しかいないのよ。…処罰の日が楽しみね」
クスクスと笑いながら、ニルルは去っていった。
…本当に、そうなのか?
本人がそう言ってるからって、それが真実なのか?
どうしても信じられず、グルグルと頭を巡らす。
結局あの張り紙をばら撒いた犯人も分からないし…。
「ーーー!!」
そんな時、突然背筋に電流が走った。
この感覚は…。
雪乃は咄嗟に走り出し、その場を後にした。
走ってたどり着いたのは、噴水の前。
事件が起こったとされる場所。
…さっきの感覚、多分近くに緑の悪魔がいた。
勘付けて良かった、と噴水に視線を移す。
「マァリ?」
そこには変わらずアシマリがいた。
「…ねぇアシマリ、あなたずっとここにいるんだよね?」
雪乃は話しかけながらアシマリの前にしゃがみ込む。
「マリマリ!」
「…あなたもしかして、犯人を見てるんじゃない?」
突拍子もなくそう聞けば、首を傾げるアシマリ。
まぁそうだよね、と項垂れていると、
「草凪さん?」
背後から声が聞こえ、勢いよく首を捻る。
そこにいたのは、瀬戸だった。
「瀬戸…」
「どうしたのこんな所で」
瀬戸の姿を見た瞬間、何故か安心して力が抜けた。そして再び蹲る。
「…瀬戸、今私に近寄らない方がいい」
「…え?どうして?」
「絶賛心折れ中だから。めんどくさいから」
「…立花さんのことでしょ?」
ピク、と肩を揺らす。
「あんな事があったんだから、無理もないよ。僕に出来る事があればいくらでも協力するよ?」
蹲る雪乃の側に近寄り、肩に手を置く。
「でも、仕事忙しいんでしょ?」
「何を優先させるべきかは僕が決めるよ」
だから話して?と言い切られる。
…何こいつ、かっこいいかよ。
雪乃は泣きそうになりながら、事の経緯を話した。