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若井 side
俺が病院に到着するとすぐに看護師さんが元貴の場所へ案内してくれた 。
〈 こちらです !! 〉
看護師さん自身も物凄く焦っていたのか歩くのが早かった 。
『 はあ 、、 はあ … はあ 。 』
走ってきたせいで呼吸が荒い 。 どうにか正常にしないと …
〈 こちらの集中治療室にいらっしゃいます … 〉
案内された集中治療室へ入室する 。
そこには今まで見たこと無かった元貴の残酷な姿があった
『 も … とき 、、 。 』
俺は言葉を失った 。
昨日まで笑いかけてくれていた可愛い笑顔はかき消され静かに目を瞑る元貴。
元貴の白く綺麗な腕には昨日よりも点滴が刺さっており酷く痛々しい 。
『 元貴ってこんなに細かったけ … 』
よく見てみると顔も青白く全体的に血色が良いとは言えない 。
俺はただただ元貴の痛々しい姿をぼーっと眺めることしか出来なかった 。
酷く無音な世界に元貴の心音のみ脳に響く 。
元貴が苦しんでる間 、 俺は何も出来なかった 。
そんな自分に無力さを感じた 。
一度 、 元貴のことを考えると止まらない … 考えていると突然元貴の心音が乱れ始めた 。
『 元貴 … ?? 元貴 っ !! 』
俺はすぐにナースコールを押し 、 廊下を歩いていた医師に声をかけた
医師は焦った表情で元貴に心臓マッサージをし始めた
『 元貴 っ !! 』
『 起きろ っ !! 』
『 まだ寝ちゃダメだ !! 』
医師やナースの人が処置をしている中 、 俺は声をかけることしか出来なかった 。
非常事態であっても何も出来ない自分にまた無力さを感じ思わず涙が流れた 。
『 … ぅ 、、 ぐ 。 』(( 泣
出来る限り声を押し殺して泣いた 。
心臓マッサージを開始して少し経ってから医師から詳しい説明をされた 。
医師によると 「 もうこれ以上の施しようがないです … 後は彼の体力したいです 。 」 とのこと 。
俺はその後、医師の説明で初めて元貴が余命宣告されていたことを聞かされた
『 … なんで っ 、、 言ってくれなかったんだよ 、 。 』
元貴の心音は先程に比べたら正常だ。
なのに元貴はなかなか目を覚ましてくれない。
もう逝ってしまったのか不安になるが心音は動いている 。 手もまだ温もりがある 。 それだけが今の安心出来る状況 。
『 元貴 … っ 。 』
俺がそっと元貴の手を握りしめると弱々しい握りが返ってきた 。
『 っ !! 元貴 … ?? 』
「 若井 … ごめんね 。 」
「 若井と 、、 一緒に … っ 、 桜見たかった 、、 」
その瞬間元貴の手が俺の手を抜けするりとベッドへ落ちた。
きっとこれが彼の最期の気力だったんだろう 。
彼は綺麗な涙を1粒流し、息を引き取った。
午前7時48分 。 元貴がこの世を去った 。
『 元貴 … 』
名前を呼んでも 、 もう元貴の元気な声は返ってこない 。
『 … 元貴 、、 大好きだよ 。 』
朝の日差しが俺と元貴を照らした
外を見ると先日まで蕾だった桜が咲いていた 。
医師から初めて聞いた余命宣告は酷く悲しいものだった 。
〈 彼の余命は桜が咲く頃なんです 。 なのでもう長くないかと … 〉
でも 、 同時に思ったよ 。 元貴にぴったりな季節だなって …
風に乗って桜の花びらが揺れる。
『 … 元貴見て 、、 桜だよ 。 綺麗だね 。 』
そっと手を握るとまだほんの少しだけ貴方の 、、 元貴の温もりを感じられた 。
次の “ 桜が咲く頃には “ 会いに行くよ。
ー fin ー