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私とあなただけで十分だった。あなた以外いらない、そうあなたに言ってしまいそうな私が憎らしい。
あなたは弱さを見せない。どんなに自分が辛くてもそれを隠して私に微笑む。たまには私に頼ってよ、そんなこと言える筈もなかった。言ってしまったら私は……
どうして私は言葉を口に出せないのだろう。周りに嫌われたくなくて、ひとり取り残されるのが嫌だから?
それならいっそ二人だけの世界で、楽園で、静かに暮らしてみたい。永遠に、ずっと。
目が覚めたそこは知らない場所だった。
真っ白な空間が広がって、まるで夢の中にいるような感覚がした。
不思議にも不安にはならなくて、むしろ安心感がした。
その空間を歩いた。無音の中、私の足音だけが響き渡った。
私、このまま一人で歩き続けるのかな。
どんなに歩いても疲れを感じない脚に違和感を覚えながら進む。目的地はないけど。
何時間経ったのだろう。時計も何もかも持ち合わせていないので時刻が分からない。
立ち止まり、疲れてもいない体を休める。
床に寝転がり、天井を眺める。
広く白い空間に私だけがいる。
これは壮大な夢なんだ。違いないよね。
そんな事を考えていると足音が響いた。私以外に人がいる…?それとも遂に幻聴まで聞こえる様になってしまったのかな。
「…__?やっぱり__だ!」
私の顔を覗き込んで明るく喋るのはいつも通りのあなた。いや、薫。
「薫…。どうしているの?あなたも目が覚めたら此処に……」
「目が覚めるもなにも…元から僕達此処にいるじゃん」
あれ…そういえば…私、何処から来たんだっけ…思い出せない…。記憶がない。
薫の言った通り私達は元から此処にいたんだろうか。きっとそうだ、薫が言うから。
「ごめん…薫が正しいよ」
「そんな謝る事じゃないよ。隣、座ってもいい?」
頷くと薫は私の横に座った。安心感で少しだけ薫に体を倒した。
薫はそのことが分かると何も言わずに私の肩を引き寄せた。
ああ、私はこの人が好きなんだな。そう思ってしまう。ただ、その好きをどう表して良いのか分からない。
広い空間で二人、肩を寄せながら時間を過ごす。
薫は私の手を握った、心地が良い。私の冷たくて白い手を温めてくれる。
そのまま私は眠りについた。
眠りについた__にそっと自分の上着を掛ける。安らかに眠った顔を見ながら、こんな顔誰にも見せたくないな、と独占欲が溢れる自分が恥ずかしいと思った。
__はあまり自分の意見を言葉に出せない。多分、嫌われたくないのだろう。嫌いになんてなる筈ないのに。
僕はそんな__が好きだった。精神を病んで、全て終わりにしようとした自分に声を掛けてくれたのは__だけだったから。
私がずっと側にいるよ、その言葉が僕を救った。
でも恋人の様な関係にはなれないと思う。それはお互い思っていると僕は思っている。僕はその好きの意味が一般的なものと違う。
多分、一生言えないんだろうな。この空間で永遠に一緒でも、__に想いを伝えられない自分が憎らしい。
考えすぎて疲れた。少しは休もう。そう思い僕は眠った。
二人だけのゆうとぴあ。