テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
柔太朗side
もともと季節の変わり目や気圧の変化であった頭痛。
市販の鎮痛薬で騙し騙し生活してた。
だんだんひどくなってる自覚はあったけど、仕事に追われて気にする余裕はなかった。
職場の健康診断でC判定をもらい念のためにした検査。
親を呼ぶように言われて、大袈裟だなって鼻で笑ってたらまさかの結果だった。
悪性の脳腫瘍。
『グリオーマ』だって。
初めて聞いた。
ラスボスみたいに強そうな名前じゃん…
俯いて黙る父と泣き崩れる母。
その横でぼんやりそんなことを思った。
これから検査して化学療法をしてから手術になるらしい。
まだ人ごとみたいな感じだけど。
でも…
舜太に言わないと、ダメだよな。
家に帰ると玄関から寝室まで落ちている舜太の抜け殻を拾い集める。
寝室へ行くとベッドに舜太が倒れ込んでいた。
手には何かの資料を握られている。
舜太は何かに没頭すると、そのことばっかり考えて生活が疎かになる。
天才ってこんな感じなのかな…
最初は注意してたけど、いつまで経っても直らないからそのうち諦めた。
寝顔をしばらく見つめてから、ふと思いたって写真を撮る。
夕日に照らされた可愛い寝顔。
よだれ、めっちゃ垂れてるやん。
未来のことはわからないけど…
俺、あと何回この顔を見ることができるんだろ。
そんなことを考えてちょっと切なくなったりして。
いつもは惣菜やUberで済ませちゃうけど、今日は思い立って夕飯を作ってみる。
味噌汁を作ってたら起きてきた舜太が後ろから抱きついて来た。
寝起きはいつまで経っても甘えん坊な舜太。
「ねぇ、明日何食べたい?」
❤️「今日のご飯も終わってへんのに。そんなん、明日にならんとわらへんよ…」
「そりゃそうだよね」
❤️「それより柔、今日…したい」
「…え?」
❤️「昨日もしたけど…今日もしたら、ダメ?」
ぎゅっと抱きつく腕に力が入る。
こんな風に甘えられたらさ、断れないじゃん。
病気とかさ、死ぬかも知れないとかさ…
もう、どうでもいいや。
「いいよ。俺も、したい」
❤️「やった!」
コンロの火を止めて舜太の首に手を回すと少し背伸びして口付ける。
いつもへにゃって笑ってるのにこう言う時だけ急に雄の顔するの、ズルい。
なんか最近俺ばっかりドキドキしてる気がする。
舜太は、キスをあんまりしない。
なんでかな?
聞いたことないけど。
キスすると嬉しそうにするのに、変なの。
あと、たぶん後ろからするのも好きじゃない。
その…してる時、すごい視線感じるから
俺の事嫌いじゃないと思うけど…
何考えてるんだろ。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!