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#再会
#一途な思い
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シャワーのお湯を出し、浴槽の淵に腰を下ろす。確かにシャワーだけでは今日の疲れは癒えないだろう。
久しぶりに会ったからというのもあるけど、なかなかペースが掴めない。こんな感じで一週間も保つのかしら──。
ドレスを汚さないように脱ぎ、下着も取り去る。どうなるかわからないから、とりあえず洗っておこう──そうして彼が持っていた自分の下着を見て、やはり不思議な感覚になる。
普通いなくなった女の下着をずっと持ってたりする? 怖い想像をしかけて、慌てて頭から追い出す。いやいや、さすがにそれはないと思いたい。それにしたって、まるで今日こうなることがわかっていたかのような準備の良さよね──。
シャワーのお湯は温かく六花を包み込み、さっき宗吾が触れた場所は六花の意思に反して熱を帯びている。心と体の奥の方が甘くキュンと疼くのを感じた。
相変わらず魅力的だった……それに私を煽るのが上手なところも変わってない。もう性欲なんてなくなったと思っていたのに、宗吾はいとも簡単に私のスイッチを押してしまう──それは初めて体を重ねた日も、再会した日も同様だった。
そんなに気になるなら、たとえ愛がなくたって契約結婚を受け入れたっていいじゃない──六花は頭を横に振り、唇をギュッと結ぶ。
頭が混乱し、もうすでにこんなに気持ちが揺らいでる。
ここまで意地を張ろうとするのは、やはり"アサカさん"が気になるから? それとも娘を受け入れてもらえないかもしれない不安から──?
* * * *
浴室から出ると、宗吾はベッドに座ってスマホの画面をじっと見つめていた。しかし六花の姿を確認すると、顔を上げて笑顔を向ける。
「近場でいい温泉宿を見つけた」
宗吾がスマホの画面を見せてきたので、六花は彼の隣に腰を下ろして覗き込む。そこは有名な観光地で、画面に表示された宿はテレビでも紹介されるほどのリゾートタイプの温泉宿だった。
「えっ、こんな場所に泊まれるほど所持金ないんだけど」
「何言ってんの。俺を誰だと思ってるんだよ。それに誘ったのは俺だし、六花は何も気にしなくていいから。ただ楽しんでくれればそれでいい」
まるで初めての旅行にウキウキする恋人のような宗吾の様子に、六花は戸惑いを隠せず眉を|顰《ひそ》めた。
「宗吾もシャワー浴びてきたら?」
「うーん、もう少し調べたいことがあるから。六花は先に寝てていいよ」
「そう? じゃあお言葉に甘えて」
六花は奥のベッドに入り込むと、宗吾に背を向ける。明日の朝になったら、全て夢だったってことになればいいのに──そう思いながら、すぐに眠りの世界へと誘われていった。