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お風呂事件2連続!
(※いつもよりちょーっと大人🤫な展開です)
夜。
リビングの時計は、もうすぐ22時を指そうとしてた。
ソファに寝転びながら、スマホをいじってる×××は、ちらっと廊下の方を見る。
(……そろそろ、出る頃じかな?)
さっきまで、バスルームからシャワーの音が聞こえてた。
=キルア入浴中。
今はもう、水の音が止まってしばらく経ってる。
(……ドライヤー取ってきてあげよっかな)
キルア、風呂上がりぼーっとしてること多いし。
髪乾かすの面倒くさがるし。
風邪ひくし。
……放っとくと絶対自然乾燥で寝る。
「……よし」
小さくつぶやいて、×××は立ち上がる。
脱衣所にあるドライヤーを取りに行くだけ。
ただそれだけ。
何も考えず、いつも通り。
廊下を歩いて、洗面所の前に来て、ドアノブに手をかけた――
その瞬間。
ガチャ。
同時。
ほぼ“同時すぎる同時”。
中からも、外からも。
まるで示し合わせたみたいなタイミングで、ドアが開いた。
「……」
「……」
一瞬、時間が止まる。
湯気がふわっと流れてきて。
シャンプーの匂いがして。
濡れた髪のキルアが、そこに立ってた。
タオル首にかけて。
上半身はまだちょっと湿ってて。
頬ほんのり赤くて。
……完全に風呂上がり直後。
「……あ」
キルアが先に声を出す。
「×××?」
×××は。
固まってた。
脳が処理落ちしてた。
(……あ、出た)
(……え、近い)
(……ちょ、ま)
で。
なぜか。
なぜか無意識に。
視線が。
すー……って。
下に。
落ちた。
ほんの一瞬。
0.3秒くらい。
でも。
見えた。
はっきり。
(……え)
(……まって)
(……は????)
思考停止。
脳内フリーズ。
心臓が「ドクン!!!」って跳ねる。
顔が一気に熱くなる。
耳まで熱い。
(……な、なに見てんの私)
(……ばか)
(……ばかばかばか)
でも、×××の表情は。
無。
完全無表情。
いつものクール顔のまま。
感情ゼロの顔。
なのに中身は大パニック。
(無理無理無理無理)
(見た)
(見ちゃった)
(なんか…想像以上だった)
(いや何考えてんの私!!!)
キルアはというと。
×××の視線に気づいてない。
まだ普通に、
「ドライヤー使う?」
とか言おうとしてた。
「……?」
「×××?」
そのとき。
×××は決断した。
逃げよう。
今すぐ。
何も言わずに。
存在を消そう。
「……」
無言。
無表情。
くるっ。
方向転換。
スタスタスタ。
全力ではない。
でも迷いゼロの早歩き。
廊下の向こうへ。
フェードアウト。
「…………え?」
取り残されるキルア。
脱衣所前。
一人。
ぽつん。
「……は?」
状況が理解できない。
今、確実に目が合った。
……よな?
普通に来た。
見た。
下見た。
……逃げた。
「……え?」
キルア、フリーズ。
「なに……今の……?」
首をかしげる。
「え、俺なんかした?」
記憶を巻き戻す。
出る。
ドア開ける。
×××いる。
目合う。
……下見てた?
……下?
「……」
数秒後。
理解。
「……あ」
一気に顔が赤くなる。
「……え、ちょ……」
「うそ……」
耳まで真っ赤。
「ま、まさか……」
自分の状況を思い出す。
風呂上がり。
薄着。
……いろいろ無防備。
「……見た……?」
「……見たよな……?」
心臓バクバク。
「うわあああああ……」
頭を抱える。
「なんで今出たんだ俺……!!」
その頃。
×××の部屋。
ベッドの上。
×××は。
布団にくるまってた。
「………………」
無言。
顔だけ真っ赤。
(無理)
(無理無理無理)
(死ぬ)
(記憶消したい)
布団の中でゴロゴロ転がる。
「……最悪……」
小声。
「なんで見た……」
「なんで下……」
「ばか……」
心臓がまだ速い。
思い出すたびに熱くなる。
(……キルア……)
(あんなの……反則だろ……)
(無意識に見ちゃうじゃん……)
スマホを掴む。
でも。
LINE開いて。
閉じる。
(無理)
(今なに送るんだよ)
(『さっきごめん見ました』とか無理)
(死ぬ)
10分後。
コンコン。
ドアをノックする音。
「……×××?」
キルアの声。
×××、固まる。
(来た)
(来た来た来た)
「……いない?」
「……寝た?」
沈黙。
でもキルア、諦めない。
「……さっきのさ」
「……なんかあった?」
「俺、変なことした?」
ドア越し。
×××、ぎゅっと布団を握る。
(無理無理無理)
(顔見れない)
でも。
逃げ続けるのも無理。
深呼吸。
「……いる」
小さく返事。
「……今……出れない」
「……え?」
キルア、困惑。
「なんで?」
「体調悪い?」
「……違う」
沈黙。
数秒。
そして。
「……キルアが……」
「……悪い」
「……悪いから……」
「……しばらく来ないで」
キルア、ますます混乱。
「え!?俺!?」
「なにした俺!?」
「マジでわかんないんだけど!」
×××、布団の中で悶える。
「……だから……」
「……顔……見れない……」
「……今……」
「……恥ずかしくて……」
キルア、固まる。
「……え?」
「……恥ずかしい?」
理解。
点と点が繋がる。
「……あ」
「……もしかして……」
顔、また真っ赤。
「……さっきの……」
「……見た……?」
ドアの向こうで。
×××、無言。
肯定。
キルア、壁に頭コツン。
「……ごめん……!!」
「ほんとごめん!!」
「タイミング最悪すぎた!!」
×××、小さく。
「……こっちも……ごめん……」
「……見ないつもりだった……」
「……無意識……」
しばらく沈黙。
そのあと。
キルアが照れた声で。
「……その……」
「……嫌じゃ……なかった?」
×××、心臓跳ねる。
「……ばか」
「……嫌だったら……逃げない……」
キルア、ちょっと笑う。
「……そっか」
「……よかった」
「……いやよくないけど」
×××も、布団の中で小さく笑う。
「……明日まで……忘れて」
「……今夜は……無理」
「……直視できない」
「……顔も……」
キルア、優しく。
「……うん」
「じゃ、今日はそっとしとく」
「……おやすみ」
「……おやすみ」
ドア越し。
二人とも。
同じくらい赤い顔で。
同じくらいドキドキしながら。
眠りにつく夜だった――。
翌朝。
朝7時。
リビング。
ゴンはパンをかじりながらテレビ。
クラピカは新聞。
レオリオはコーヒー。
いつも通りの朝。
……ただ一つ違うのは。
キルアが。
異様に落ち着きがない。
ソファに座ってるのに。
5秒おきに廊下を見る。
キッチンをチラ見。
×××の部屋をチラ見。
「……」
ソワソワ。
ソワソワ。
ソワソワ。
ゴンが気づく。
「キルアさ〜」
「さっきからキョロキョロしすぎじゃない?」
キルア、ビクッ。
「は!?してねーし!」
「普通だし!」
ゴン、ニヤ。
「え〜?なんか怪しい〜」
「×××待ってる感じ?」
「……っ!」
キルア、顔赤。
「ち、ちげーよ!!」
クラピカもちらっと見る。
「……確かに様子がおかしいな」
「昨日なにかあったのか?」
「っ!?な、なんもねーよ!!」
必死。
逆に怪しい。
そこへ。
カチャ。
×××の部屋のドアが開く音。
全員の視線が一斉に向く。
トン、トン、トン。
廊下を歩いてくる足音。
そして。
×××登場。
パーカーに短パン。
寝ぐせちょっと。
いつも通り無表情。
……だけど。
キルアと目が合った瞬間。
スッ。
視線そらす。
即。
0.1秒。
超高速回避。
キルア、固まる。
(避けられた……)
(やっぱ気まずいままじゃん……)
×××は何事もなかったように冷蔵庫へ。
牛乳出す。
コップに注ぐ。
ゴク。
無言。
でも。
耳、赤い。
レオリオ、見逃さない。
「……なぁ」
「なんか空気おかしくね?」
ゴン、ニヤニヤ。
「ね〜!」
「2人とも目合わせないし!」
「ケンカ?」
クラピカ、腕組み。
「……いや」
「ケンカというより……」
「照れているように見えるが」
キルア&×××
「「ちがう!!」」
ハモった。
完璧に。
全員、沈黙。
次の瞬間。
ゴン爆笑。
「ええええええ!?なにそれ!」
「息ぴったりじゃん!」
レオリオもニヤ。
「ははーん?」
「なんかあったな?」
クラピカ、鋭い目。
「……正直に言え」
「隠すと余計怪しい」
キルア、真っ赤。
「う……」
×××、視線下。
「……言うな」
小声。
キルア「……っ」
ゴン「えー聞きたい!」
レオリオ「俺も!」
クラピカ「説明しろ」
キルア、観念。
「……昨日……」
「風呂上がりに……」
「……鉢合わせして……」
「……ちょっと……」
×××、遮る。
「ちょっとじゃない」
「事故」
「事故案件」
キルア「……」
ゴン、首かしげ。
「???」
「なにが?」
キルア、爆死覚悟。
「……俺……」
「……×××に……」
「……見られた……」
「……その……」
間。
「……下……」
一瞬の静寂。
次の瞬間。
「「「あーーーーー!!!!」」」
全員理解。
ゴン「ええええええ!?」
「それは恥ずかしい!!」
レオリオ「うわ最悪タイミング!」
クラピカ「……なるほど」
「それでか」
×××、顔真っ赤で机に突っ伏す。
「……忘れて……」
「ほんと……」
ゴン、悪魔の笑顔。
「え〜でもさ〜」
「キルアのキルア見たんでしょ?」
「感想は?」
×××「……殺す」
低音。
レオリオ爆笑。
「こえーよ!!」
キルア「やめろおおおお!!」
「聞くな!!」
ゴン「えー!」
「気になるじゃん!」
クラピカ、ため息。
「……くだらない」
「2人きりで話せ」
「周囲を巻き込むな」
キルア、ハッ。
「……×××」
「……あとで……話そ……」
×××、小さく。
「……うん」
――――――――――――――――――
午後。
ベランダ。
洗濯物を干す×××。
そこにキルアが来る。
「……なぁ」
「……昨日と今朝……」
「……ごめん」
「ほんと……」
×××、洗濯物干しながら。
「……私も」
「……見たの……悪かった」
「……不可抗力だけど」
キルア、苦笑。
「……不可抗力だよな……」
沈黙。
風が吹く。
洗濯物が揺れる。
キルア、意を決して。
「……なぁ」
「……嫌じゃなかった?」
昨日と同じ質問。
×××、止まる。
ゆっくり振り向く。
「……嫌なら」
「……今ここにいない」
キルア、ドキ。
「……そっか……」
×××、続ける。
「……ただ……」
「……意識しすぎて……」
「……直視できないだけ……」
キルア「……俺も」
「……めっちゃ意識してる」
2人、目が合う。
今度は逃げない。
×××、小さく言う。
「……キルア」
「……今度から……」
「……出る前……声かけて」
キルア、即。
「する!!」
「絶対する!!」
「毎回!!」
×××、くすっと笑う。
「……必死すぎ」
キルアも笑う。
「……好きなやつに」
「変なとこ見られるの」
「死ぬほど恥ずいんだよ」
×××、少し近づく。
「……でも」
「……私のだから」
キルア「……っ!?」
「ちょ……!」
耳真っ赤。
×××、平然。
「……事実」
キルア、照れ死に。
「……反則……」
×××、そっと袖をつかむ。
「……もう逃げない」
「……から」
キルア、優しく頭に手を置く。
「……俺も」
「……逃がさない」
それは、あの“脱衣所事件”から二日後。
平和だった。
ほんとに。
何事もなかったかのように。
キルアと×××は、普通に話して、普通に並んでご飯食べて、普通に笑ってた。
……ただし。
お互い、脱衣所には異常に慎重になってた。
「入るぞー」
「出るぞー」
「今いい?」
「あと3分待って」
ほぼ業務連絡。
事故ゼロ。
完璧。
……のはずだった。
その日。
午前10時。
休日。
ゴンたちは買い出しで外出中。
家には、キルアと×××だけ。
×××は朝からちょっと汗かいてた。
トレーニング後。
髪もべたっとしてる。
「……気持ち悪……」
小さくつぶやく。
時計を見る。
(まだ午前だけど……いっか)
(誰もいないし)
(今のうち入ろ)
そう思って。
何も言わずに。
静かにお風呂へ。
シャワー。
さっぱり。
すっきり。
髪もちゃんと洗って。
タオル巻いて。
「……よし」
気分最高。
一方その頃。
キルア。
自室。
ゲーム中。
イヤホン装着。
集中。
完全に外界シャットアウト。
(……くそ、負けた)
コントローラー置く。
時計を見る。
「……もう10時か」
伸び。
「……喉乾いた」
キッチン行こう。
その途中。
洗面所の前を通る。
(……ん?)
ドア、閉まってる。
でも。
電気ついてる。
湯気、ちょっと出てる。
キルア、首かしげ。
「……?」
(誰か入ってんのか?)
(……ゴンたちまだだよな)
(クラピカ?……いないよな)
深く考えず。
「……まぁいっか」
喉乾きすぎてて、判断力ゼロ。
キッチン行こうとして――
その瞬間。
ガチャ。
中からドアが開いた。
同時。
ほんとに、また。
奇跡的タイミング。
「……」
「……」
時間停止。
湯気ふわっ。
いい匂い。
タオル巻いた×××。
濡れた髪。
頬ほんのりピンク。
完全・風呂上がり。
「……え」
×××が先に固まる。
(……キルア?)
(なんでいる)
(聞いてない)
(最悪)
キルアも固まる。
「……×××?」
「……風呂……?」
理解が追いつかない。
そのとき。
キルアの視線が。
……すー……
無意識に。
下に。
落ちる。
タオルの上。
胸元。
ぴったり張りついてて。
ラインくっきり。
水滴きらっと。
(……)
(……え)
(……は???)
脳停止。
視線ロック。
完全に。
ガン見。
3秒。
5秒。
10秒。
動かない。
×××。
最初は気づいてなかった。
でも。
だんだん。
違和感。
(……あれ)
(……目線……)
ちらっと見る。
……一致。
「………………」
理解。
一瞬で顔爆発。
「……っ!!?」
「な、なに見てんの!!」
両腕で胸押さえる。
真っ赤。
耳まで真っ赤。
キルア。
じーっ
「キルア?」
じーっ
「キルアさん??😅」
じーっ
「キルアさーん??(圧)」
ハッ!!!!!
我に返る。
「……っ!!!?」
「ち、ちが!!」
「違う!!」
「いや違わないけど!!」
「無意識で!!」
「反射で!!」
意味不明。
×××、震え声。
「……この前……」
「……私がやったやつ……」
「……今度は……」
「……キルアが……」
キルア、顔真っ赤で頭抱える。
「ごめん!!」
「ほんとごめん!!」
「見ようと思って見たんじゃない!!」
「勝手に!!目が!!」
×××「最低……」
「……でも……」
「……ちょっと……」
「……恥ずかしすぎ……」
俯く。
指先でタオルぎゅって握る。
「……そんな……」
「……見られると……」
「……意識する……」
「しかも声かけても…ガン見なんだもん…」
キルア、心臓ドクン。
「……ご、ごめん……」
「……でも……」
小声。
「……すごい……」
×××「……っ!!!」
顔さらに赤。
「……言うな!!!」
「死ぬ!!!」
キルア「うわ!ごめん!!」
×××、逃げる準備。
「……もういい……」
「……部屋戻る……」
くるっ。
スタスタ。
でも。
途中で止まる。
振り返る。
「……キルア」
「……次……」
「……ほんとに……」
「……声かけて……」
キルア、即。
「する!!!」
「絶対!!!」
「もうメガホン使う!!!」
×××、吹き出す。
「……ばか……」
「……でも……」
小さく。
「……嫌じゃないけど……」
キルア「……っ!!?」
「……反則……」
そのあと。
部屋に戻った×××は。
ベッドで悶絶。
「……無理……」
「……見られた……」
「……しかも……」
「……ガン見……」
一方キルアも。
自室で。
布団にダイブ。
「うわああああああ……」
「俺なにしてんの……」
「二回目……」
「しかも今度は俺……」
でも。
どっちも。
なぜか。
少しだけニヤけてた。
その日の夜。
リビング。
ゴンたちはまだ帰ってこない。
テレビついてるけど、誰もちゃんと見てない。
キルアはソファ。
×××は床に座ってクッション抱えてる。
……距離、微妙にある。
近いような。
遠いような。
さっきの“午前風呂事故”のせい。
空気が。
気まずい。
というか。
照れすぎて変。
キルアは、テレビ見てるフリして。
全然見てない。
頭の中。
ずっと。
(……さっきの……)
(……やばかった……)
(……なんなんだよ……)
ちらっ。
無意識に。
×××を見る。
パーカー着てる。
ちょっと大きめ。
前より。
……なんか。
ライン気になる。
(……)
(……いや)
(……でけー……)
思った瞬間。
(……は!?!?)
(俺なに考えてんの!?)
(最低!!)
(変態か!?)
顔、じわっと赤くなる。
急に咳。
「っ、ゴホッ!!」
×××、びくっ。
「……大丈夫?」
キルア「だ、大丈夫!!」
「なんでもない!!」
必死。
×××、じーっと見る。
「……怪しい」
「絶対なんか考えてた」
キルア「考えてない!!」
即否定。
速すぎて逆に怪しい。
×××、目細める。
「……ほんと?」
「……じゃあ……」
少し近づく。
ソファに寄る。
「……何見てたの」
キルア「っ!?」
(近い!!)
(距離!!)
(近い!!)
心臓ドクドク。
「み、見てねーし!!」
「テレビだし!!」
×××、テレビ見る。
「……ニュースだけど」
「……キルアさん?」
キルア「……う」
詰んだ。
沈黙。
気まずい。
耐えきれなくなったキルア。
ぽろっと。
「……その……」
「……さっき……」
×××「……さっき?」
キルア、目そらす。
「……見ちゃったの……」
「……悪かったけど……」
「……その……」
「……思ったより……」
止まる。
言いかけて後悔。
(やば)
(やばいやばいやばい)
×××「……なに」
低音。
キルア「……っ!!」
「いや!!」
「今のなし!!」
「忘れて!!」
×××、じっと見る。
「……思ったより?」
「……なにが?」
詰める。
キルア、観念。
耳真っ赤。
「……おっ……」
「……おっき……」
声小さすぎて聞こえない。
×××「……は?」
キルア「……おっきかった……」
「……です……」
沈黙。
3秒。
5秒。
×××。
「………………」
顔。
爆発。
「……っ!!!?」
「ななななななに言ってんの!!!」
クッションで叩く。
バシバシ。
キルア「ごめん!!」
「ごめんって!!」
「正直すぎた!!」
×××、真っ赤で叫ぶ。
「考えるな!!」
「そういうこと!!」
「変態!!!」
「むっつり!!」
「スケベ!!」
キルア「違う!!」
「好きだから気になるだけ!!」
×××「……っ!!?」
ピタッ。
止まる。
「……いま……」
「……なんて?」
キルア、はっとする。
(言った)
(言っちゃった)
逃げ場ゼロ。
小さく。
「……好きだから……」
「……意識するだけ……」
×××。
クッションぎゅって抱えて。
俯く。
「……ばか……」
「……そんなこと……」
「……言われたら……」
「……余計……」
顔隠す。
「……恥ずかしい……」
キルア、そっと近づく。
隣に座る。
肩、ちょん。
「……じゃあ……」
「……俺も……」
「……意識される側になるよう……」
「……頑張る……」
×××「……なにそれ」
くすっと笑う。
「……意味わかんない」
キルアも笑う。
「……でも……」
「……×××がかわいいのは……」
「……事実だから……」
×××「……もう……」
「……反則……」
2人。
並んで。
ちょっと距離近めで。
同じ画面見ながら。
ドキドキしてた。
その日の午後。
家には。
キルアと×××だけ。
ゴンたちは買い物。
クラピカは外出。
レオリオは病院。
=完全なる二人きり。
静か。
テレビもついてない。
窓から入る風の音だけ。
リビングのソファで。
キルアはスマホいじってた。
……けど。
正直。
全然集中してない。
頭の中。
(……最近……)
(×××……なんか……)
(無防備すぎじゃね……?)
午前中の事故。
昨日の話。
いろいろ思い出して。
勝手に赤くなる。
「……俺なに考えてんだ……」
小さくつぶやく。
その頃。
×××の部屋。
クローゼットの前。
×××は。
鏡の前で悩んでた。
手に持ってるのは。
白いタンクトップ。
体のラインが、ちょっと出るやつ。
「………………」
鏡を見る。
正面。
横。
ちょっと角度変える。
(……目立つ……よな……)
(……これ……)
(……普通に恥ずかしい……)
少し眉をひそめる。
(……でも……)
昨日。
キルアが。
「おっきかった……です……」
とか言ったの。
思い出す。
「……っ」
顔熱くなる。
(……言わせっぱなしは……)
(……悔しい……)
(……仕返し……)
小さく決意。
「……今日は……」
「……やる……」
タンクトップを着る。
鏡もう一回。
鎖骨。
少し見える。
胸元。
自然に影。
(……うわ……)
(……破壊力……)
(……これ……)
(……キルア死ぬな……)
でも。
逃げない。
上から薄いカーディガン羽織ろうとして。
……やめる。
(……意味ない)
脱ぐ。
そのまま。
深呼吸。
「……仕返しだから……」
「……仕返し……」
言い訳しながら。
ドアを開ける。
――――――――――――――――――
リビング。
キルア。
ソファでスマホ。
ぼーっと。
そのとき。
足音。
トン。
トン。
トン。
振り向く。
「……×××?」
そこにいたのは。
タンクトップ姿の×××。
髪はゆるくまとめてて。
首元すっきり。
鎖骨ちらり。
ラインはっきり。
完全に。
いつもと違う。
「………………」
キルア。
固まる。
(……え)
(……は)
(……なに)
(……かわ……)
(……いや違う違う)
(……破壊力……)
思考停止。
目が。
勝手に。
ちら。
……ちら。
……ちら。
無意識。
完全無意識。
×××は。
ちゃんと気づいてた。
全部。
(……見てる……)
(……めっちゃ……)
(……わかりやす……)
わざと。
ソファの前を通る。
テーブルに飲み物置く。
かがむ。
……ちら。
キルア「……っ!!」
目そらす。
必死。
×××、内心ニヤ。
(……よし……)
(……効いてる……)
でも。
知らん顔。
普通の声で。
「……なにしてたの?」
キルア「え!?あ!?スマホ!!」
「ニュース!!」
即答。
速すぎ。
×××、横に座る。
距離近め。
「……ふーん」
沈黙。
キルア。
落ち着こうとする。
(見るな)
(見るな)
(見るな俺)
……でも。
ちら。
(無理)
(視界に入る)
×××、ぽそっと。
「……そんなに……」
「……見たいなら……」
「……見ればいいのに」
低めの声。
挑発😈
キルア「っ!?!?!?」
「み、見てねーし!!」
「全然!!」
「一切!!」
必死。
×××、首かしげ。
「……さっきから……」
「……3回見てるけど」
キルア「数えるな!!!」
×××、くすっと笑う。
「……かわいい」
キルア「かわいくねー!!」
×××、さらに追撃。
「……で?」
「……何の話してたの?」
キルア「え?」
×××、ニヤ。
「……昨日……」
「……おっきいって……」
「……言ってた話」
😈
キルア「!!!!!!」
爆死。
「なななななななな!!」
「それ言うな!!!」
顔真っ赤。
耳真っ赤。
×××、腕組み。
「……私は……」
「……見ただけで……」
「……逃げたのに」
「……キルアは……」
「……ガン見だったよね?」
キルア「ぐっ……」
反論できない。
「……俺のも……」
「……見たじゃん……」
ぼそ。
×××「……あ」
一瞬ひるむ。
でも。
すぐ立て直す。
「……不可抗力」
キルア「ずるい!!」
×××、さらに近づく。
顔近い。
「……で?」
「……今は?」
「……どう思ってるの?」
キルア「………………」
詰み。
逃げ場ゼロ。
小声。
「……かわいい……」
「……です……」
×××「……っ」
今度は×××が赤くなる。
「……ばか……」
「……言わせるな……」
キルア、苦笑。
「……×××の方が……」
「……反則だろ……」
「……そんな格好……」
×××、満足げ。
(……勝った……)
しばらく沈黙。
ドキドキ。
空気甘すぎ。
そして。
×××、立ち上がる。
「……ん」
「……今日は……」
「……ここまでかな」
キルア「え?」
×××。
そのまま部屋へ。
数分後。
戻ってくる。
今度は。
大きめパーカー。
全部隠れてる。
完全ガード。
「……はい」
「……終了」
キルア「ええええ!?」
「ちょ、なんで!?」
×××、にやっと。
「……これ以上やったら……」
「……私が死ぬから」
キルア「……ずる……」
×××、ソファに戻る。
肩もたれる。
「……でも……」
小さく。
「……仕返し……成功でしょ」
キルア、ため息混じりに笑う。
「……完敗……」
心臓。
まだうるさいまま。
パーカーに着替えた×××。
完全防御モード。
さっきまでの破壊力ゼロ。
リビングの空気も、ちょっと落ち着いた。
……はずだった。
ソファ。
並んで座る2人。
テレビついてるけど、誰も見てない。
×××は内心。
(……よし……)
(……仕返し成功……)
(……キルア、完全にやられてた……)
ちょっと満足。
キルアは。
……静かだった。
やけに。
さっきまでワタワタしてたのに。
今。
無言。
肘ついて。
×××をじっと見てる。
「……?」
×××、気づく。
「……なに」
キルア「……んー」
「……別に」
でも。
目が意味深。
×××、警戒。
「……その顔やめて」
「……なんか怖い」
キルア、ふっと笑う。
「……さっきさ」
「……仕返しって言ってたよな?」
×××「……言ったけど」
キルア「……あれ」
「……ズルいと思うんだけど」
×××「は?」
「……なにが」
キルア、少し近づく。
距離、縮まる。
「……見せて」
「……焦らせて」
「……満足して」
「……終わりって」
×××「……なにそれ」
キルア、ぽつり。
「……俺だけ……」
「……やられてね?」
×××「……っ」
一瞬、言葉詰まる。
(……図星……)
キルア、続ける。
「……だからさ」
「……今度は……」
「……俺の番」
×××「……え」
次の瞬間。
キルア。
そっと。
×××のパーカーの襟に。
指、かける。
くい。
軽く。
ほんの少し。
引く。
「……っ!?」
×××、一気に心臓跳ねる。
「ちょ……」
「な、なにして……」
キルア、低めの声。
「……見せてよ」
「……全部」
意味深。
爆弾発言。
×××「!!!!?」
顔。
一瞬で真っ赤。
「……ば、ばか!!!」
「なに言ってんの!!!」
キルア、目そらさず。
「……さっき」
「……俺に言ったじゃん」
「……見たいなら見ればって」
×××「……っ」
キルア、少し笑う。
「……だから」
「……俺も言ってるだけ」
「……同じこと」
×××「……同じじゃない!!!」
「レベル違う!!!」
キルア「そう?」
さらに少しだけ。
襟、引く。
鎖骨。
ちら。
見える。
×××、完全フリーズ。
「……や……」
「……やめ……」
声ちっちゃい。
キルア、ハッとする。
すぐ止める。
指、離す。
「……っ」
「……ご、ごめん」
「……嫌だったら……」
×××、慌てて首振る。
「……ち、違う……」
「……嫌じゃ……ないけど……」
「……心の準備……」
キルア「……準備?」
×××「……いるでしょ……!!」
耳まで真っ赤。
キルア、吹き出す。
「……かわいすぎだろ……」
×××「笑うな!!!」
クッションで叩く。
バシッ。
キルア「いてっ!」
でも笑ってる。
「……でもさ」
少し真面目に。
「……×××が……」
「……俺のこと……」
「……からかうのも……」
「……誘惑するのも……」
「……嫌じゃない」
×××、静かになる。
「……ほんと?」
キルア、うなずく。
「……むしろ……」
「……嬉しい……」
「……好きなやつに……」
「……意識されるの」
×××、ドキ。
小さく。
「……私も……」
「……同じ……」
沈黙。
空気、甘すぎ。
キルア、照れ隠しで。
「……でも……」
「……今日は……」
「……ここまでな」
×××「……うん」
「……これ以上……」
「……やばい……」
2人、同時にため息。
そして。
×××が。
キルアの袖つかむ。
「……でも……」
「……さっきの……」
「……“全部”は……」
キルア「……ん?」
×××、小声。
「……いつか……」
「……ちゃんと……」
「……見せるから……」
キルア「……っ!!!?」
脳停止。
「……ま、まじ……?」
×××「……だから……」
「……気長に……」
「……待て……」
キルア、顔真っ赤で即答。
「待つ!!!」
「いくらでも!!!」
×××、笑う。
「……必死すぎ」
2人。
肩寄せて。
ソファで並んで。
まだドキドキしながら。
夕方を迎えた――。
夜。
窓の外では、まだ虫の声がしてる。
家の中は静か。
みんな、もう寝てる時間。
……のはずだった。
×××は。
自分のベッドで。
ごろごろしてた。
「……暑い……」
扇風機は回ってる。
でも。
なんか寝れない。
暑さと。
考え事と。
胸の奥のそわそわで。
目が冴えてる。
「……無理……」
小さくつぶやいて。
ベッドから起き上がる。
パジャマは。
涼しめのタンクトップ。
下は、かなり短いショートパンツ。
家だから。
誰も見ないし。
気にしてない。
(……ちょっと……風当たろ……)
そっと部屋を出て。
音立てないように。
ベランダへ。
ガラッ。
小さく窓を開ける。
夜風が、ふわっと入る。
「……気持ちいい……」
手すりにもたれて。
空を見る。
月、出てる。
明るくて。
優しい光。
髪も。
肩も。
鎖骨も。
全部、淡く照らされる。
×××は気づいてない。
自分が。
どれだけ無防備で。
どれだけ綺麗に見えてるか。
ただ。
ぼーっと。
夜空を見てるだけ。
(……キルア……)
ふと思い出す。
(……今日も……優しかったな……)
(……ばかみたいに照れて……)
小さく笑う。
――――――――――――――――――
同じ頃。
キルア。
自室。
ベッドで寝返り。
「……喉かわいた……」
口の中カラカラ。
起き上がって。
そっとドア開ける。
キッチン行こうと廊下歩く。
……途中。
ふと。
ベランダの方を見る。
(……あれ?)
うっすら明かり。
人影。
「……×××?」
小さくつぶやく。
そっと近づく。
音立てないように。
カーテンの隙間から。
ちらっと。
見えた瞬間――
「………………」
キルア。
完全に。
止まる。
そこにいたのは。
月明かりに照らされた×××。
タンクトップ。
細い肩。
綺麗な鎖骨。
風で少し揺れる髪。
夜風に揺れる影。
無防備。
静か。
綺麗すぎる。
(……え……)
(……なに……)
(……やば……)
言葉が出ない。
心臓。
ドクン。
ドクン。
うるさい。
(……こんな……)
(……反則だろ……)
(……俺の……)
(……好きな人……)
じっと見てしまう。
目、離せない。
×××は。
まだ気づかない。
ただ。
夜空を見てる。
その横顔が。
また綺麗で。
キルア。
胸ぎゅっとなる。
(……守りたい……)
(……大事……)
(……好き……)
自然に。
そんなことばっか考えてる。
――――――――――――――――――
少しして。
×××が。
小さくため息。
「……眠れないな……」
その声で。
キルア、ハッとする。
(……やば)
(……見すぎた……)
でも。
今さら戻れない。
覚悟して。
小さく。
「……×××……?」
声かける。
×××、びくっ。
「……っ!?」
振り向く。
「……キルア!?」
「……なんで……」
キルア、照れながら。
「……水飲みに……」
「……行こうとしたら……」
「……いた……」
×××、ちょっと焦る。
(……え)
(……この格好……)
今さら気づく。
腕で少し隠す。
「……み、見てた……?」
キルア。
正直に。
「……うん……」
「……ごめん……」
「……でも……」
×××「……でも?」
キルア、目そらして。
小声。
「……めっちゃ……」
「……綺麗だった……」
×××「……っ!!!」
顔、一気に赤。
「……ば、ばか……」
「……急に言うな……」
キルア、苦笑。
「……だって……」
「……ほんとだから……」
沈黙。
夜風。
虫の声。
2人の距離、近い。
×××、小さく。
「……眠れなくて……」
「……来ただけ……」
キルア「……俺も……」
「……なんか……」
「……目覚めちゃって……」
少し間。
キルア、ぽつり。
「……一緒に……」
「……涼んでく?」
×××、うなずく。
「……うん……」
並んで。
手すりにもたれる。
肩、ちょっと近い。
キルア、内心。
(……さっきより……近い……)
ドキドキ。
×××も。
(……キルア……隣……)
ドキドキ。
月の下。
2人で。
静かに涼む夜。
言葉なくても。
幸せな時間だった――💙
「……眠れないならさ」
「?」
「クーラー強めにして、一緒の部屋で寝よ」
「えっ」
「暑いし」
少し照れながら言う×××。
キルアも内心ドキドキしつつ、
「……い、いいけど」
結局、二人でキルアの部屋へ。
クーラーを強めにして、布団を並べる。
―――――
しばらくして、深夜。
キルアはまた目が覚めた。
「……ん……」
寝返りして、なんとなく横を見る。
そこには、ぐっすり眠る×××。
……そして。
タンクトップの紐が、少しだけずれている。
肩がちらっと見えてて、鎖骨も。
キルア、一瞬フリーズ。
「……っ」
顔が一気に熱くなる。
(やば……起きてないよな……)
そーっと確認。
×××は、すーすー寝息立ててる。
無防備すぎる。
キルア、布団をぎゅっと握る。
(なんでこう……無意識で攻撃してくんだよ……)
視線を逸らそうとするのに、なぜか戻ってしまう。
「……見てねーし……」
小声で言い訳。
でもまたチラッ。
(……かわいい……)
気づいた瞬間、自分でびっくり。
「……俺、何考えてんだ……」
そっと、×××の肩に布団をかけ直す。
起こさないように、慎重に。
「……風邪ひくぞ」
小さく呟いて、自分も横になる。
でも――
しばらく、全然眠れない。
心臓うるさすぎ。
(昼のこともあるし……夜もこれだし……)
(無理だろ……)
横で安心しきって眠る×××を見ながら、
「……好きにならない方が無理だろ……」
ぽつっと本音。
もちろん×××は聞いてない。
そのまま、キルアはやっとウトウトしていった。
―――――
翌朝。
「……ん……」
×××が目を覚ます。
横を見ると、キルアが先に起きてスマホいじってる。
「……おはよ」
「お、おはよ」
なぜか目を逸らすキルア。
×××、じっと見る。
「……なんで目合わないの」
「別に」
「怪しい」
近づく。
キルア、さらに赤くなる。
「ち、近いって!」
「なにかあったでしょ?」
「……なにも」
でも耳まで真っ赤。
×××、肩の紐が落ちてることに気づいて
ニヤッ。
「……昨日、見た?」
「っ!?」
「夜」
「み、見てない!」
「絶対嘘」
「嘘じゃねー!」
×××、楽しそうに笑う。
「ふーん……じゃあいいや」
そう言って、わざとタンクトップ直しながら立ち上がる。
キルア、思わず視線が動く。
「……っ!!」
「今見たでしょ」
「……」
「ねぇ?」
「……ちょっとだけ……」
正直すぎ。
×××、顔赤くしながらも小悪魔っぽく。
「……ばか」
でも嬉しそう。
キルアも照れながら、
「……お前が無防備すぎなんだよ」
「知らない」
「絶対わざとだろ」
「さぁ?」
二人で顔を見合わせて、笑う。
夏の朝は、まだちょっと甘くて、ドキドキで。
この距離は、まだ“友達以上恋人未満”。
でも――
確実に、近づいていた。
to be continued…