さて、本日の獲物を持って帰るか
濡れた右手を 転がっている死体の
衣服で雑に拭いた
もちろん また血で汚れた
え? せっかく綺麗にしたのに?!
みたいなことを言いたげな視線を感じた
けど 無視した
『さーて アカちゃん 好きなの
おひとつ どうぞー』
『あとは よろしくね』
笑いかければ さっきのご不満顔は
どこ行ったのか ご機嫌で食らいついた
しばらくすると アカガサが
私に向けて 握りこぶし大の 肉を
差し出した
?
受けとると それは 心臓だった
真っ赤で小さくて ピクピクと震えてて
小動物みたいで ちょっと可愛い
と思った
この思考 どっぶり怪異に染まってる
フッ と自分を嘲笑する
怪異になっちゃた記念に
少し口をつけてみた
あまい
『わー!生チョコみたい
おいしい!!』
久しぶりの甘味に思わず喜びを
口に出す
アカガサは 誉めて?とばかりに
下から 私を覗きこんでくる
なんだ このあざとさ
こんなんするヤツだっけ?
つい 頭を撫でてしまう
サラサラの赤髪にベッタリ血かついた
けど もとから真っ赤だから問題ないよね
…お詫びに残りの心臓はアカガサに
返した
返しただけなのに 凄くよろこんで
むしゃぶりついた
いや また勘違いしないでね
プレゼントしたんじゃなくて
プレゼントを返したんだぞ?
分かってる?
残りの死体やら肉塊やらをアカガサ の
赤い領域に一旦収納して異界に持ち帰る
ほっとけばアカガサが全部食べてくれるけど 皆にもお裾分けしたい
エレベーター経由するのは重労働だし
テレポートできるんだから使わなきゃ
ザザザッというノイズ音がして
這いばい男さんが待つ部屋の前に到着
超便利!
気配を察したのか 這いばい男さんが
部屋を飛び出してきた
『あなた あなた ダメ!』
『この 怪異 危険 !』
『あなた 言葉 消して この怪異』
這いばい男さんが ヌッと立ち上がる
アカガサを睨み付ける
アカガサも薄ら笑いを浮かべたまま
一歩も引かないジッと這いばい男さん
を見ている
これは マズイ
『はーい!もういいよー
アカちゃんは 消えてねー』
ザザザッ! アカガサが消えた
『ちがう あなた』
『あの怪異 本体 消して』
『お願い』
這いばい男さんが懇願してくる
本当は わかっているあいつは
危険 だから存在を消滅させてって
這いばい男さんは言っているん
だって
実際 私が名前を呼んで
この世界から 消えてなくなれって
命令したら きっと アカガサは
消滅する…
今だって 好き 好き 言ってきて
ウザいから
『下僕が話しかけてくんな』
って命令したら 話せなくなってる
時々 口パクで 好き 好きって
言ってて それはそれで
ウザいんだけど 意味ある言葉を
発っせないようだ
『あれ 危険 なくなった』
『大丈夫』『危険 ある 時 消す』
這いばい男さんに説明する
這いばい男さんは 悲しい顔で
何か言おうとした
その時 背後でケタケタと笑う
声がした
振り返るえると ツギハギくん
『3 ありがと! うれしい!』
とか なんとか 言いながら
ほぼ根こそぎ 死体を抱え持って
爆速で走り去った
呆気にとられ
『あ! コラ!』
『一人一つずつ!!』
人語で叫んだときには
もう 姿がなかった
コメント
1件
心臓持ってキャッキャしてるの可愛い