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~story5 未来の私へ~

嫌なこと,楽しいこと。全部乗り越えた先にきっと,良い未来があると思う。きれいごとに聞こえるかもしれないけど,本当だよ。その言葉を信じていた。

過去の自分,本当にこの世界から消えようとしていたから。大事な特別な人を失って,部活も楽しくなくなって,友達に裏切られて。一人でサッカーしてたこともあったな。

「なぁ,今度カラオケ行かん?」

仲の良い男友達。数人いるんだけどこの男だけは私にとって特別だった。どうしてかこの男と居ると自然と笑顔になってしまって。これが恋っていうのかな。小学生とまた違って。

「行く。」

時は流れ2月。バレンタイン当日。

女友達にはもちろんあげた。本命はと聞かれると無いと即答。そんなわけがない。彼はきっと私の本命には気づいていないだろうに。本命の彼だけは箱に入れて,キャンディーと共に渡した。胸が痛くなった。あぁ,私って何考えてるんだろう。

家に帰るときの空は一段と綺麗だった。未来の自分は,どうなってるんだろう。

家に帰った私は一枚の紙を取り出し,ペンを握った。


未来の私へ

過去の私の人生は決して良いものではありませんでした。親に自分を否定され,容姿を馬鹿にされ,友達に裏切られ,特別な,大好きな友達を失くして。そんな嫌な,悲しいことが多かった私の人生ですが楽しく,嬉しいことだって多くありました。仲間と共に乗り越える試練,またそれを乗り越えた先の爽快感。世界は広いです。一点だけを見つめるのではなく,辺りを広く見渡してみてください。この世界には何億人もの人間がいます。あなたが見て,携わった人間はほんの一握りなのです。この世界にはまだあなたが出会っていない人間が沢山います。だから,人生をあきらめないで。何度だってできる。あなたなら。

自分の道は,自分で切り開きなさい。一人でできないことは,周りに頼って乗り越えなさい。どんな道も,自分の道なんだから。自分が自分を否定すれば,この先道なんてできない。これはきれいごとなんかじゃない。頑張って。この先にある私の,私だけの人生を楽しみにしています。

                       2025/02/24(月)PM07:14の私





「さぁ,どうでした?ハッピーエンドですね。」

お客さんは椅子から立ち上がった。

「あの。」

「はい?どうしましたか?」

「これ,貴女の記憶なんですよね。今までの主人公,全員貴女なんですよね。」

「えぇ。」


お客様,あなたに伝えたいことがあります。


一人で抱え込まず,誰かに打ち明けてみて。それが難しいのは分かってる。私がそうだったから。難しいのなら,ネットの友達にでもいい。掲示板でもいい。紙にでもなんでも,書いてみて。あなた自身の選択で未来は変わってくる。

それでは記憶書物庫,閉館です。

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