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💄ぶりっ子の私の帰る場所。_絶望のままの章_
「ここな、今日から髪も声も仕草も全部やめろ」
凪の冷たい声が、頭の中でリフレインする。
「マネージャーなんだから、普通でいい」
蜂楽も千切も無表情でうなずく。
新マネージャー、春咲ひなたも、にこやかに言う。
「ここな先輩、今日は普通でお願いします〜」
——普通?
私の“かわいい”を、全部奪うの?
⸻
◇奪われる日常
毎日、髪を黒く染められ、リップも消され、声も低く抑えられる。
笑顔や仕草も封じられ、胸の奥にあった“私らしさ”は少しずつ削られていく。
練習中、ボールを渡そうとしても、凪がわざと外す。
蜂楽は書類を隠して笑い、千切はタオルを取り上げる。
ひなたは笑顔で見ているだけ。
「これが普通」
胸が締め付けられ、心が薄く、透明になっていく。
笑うことも、声を上げることも、胸の高鳴りも、全部奪われる。
夜、ベッドでひとり震えながら泣く。
「どうして…私の全部がダメなの…?」
何度も死にたいと思う。
⸻
◇孤独の果て
数日後、誰も話しかけない練習。
ひなたが選手たちに囲まれて笑っているのを見て、胸が裂けそうになる。
——誰も私を必要としていない。
——誰も私の“かわいい”を認めてくれない。
夜、窓の外を見つめる。
「もう…これ以上、私の全部を奪わないで…」
決意が固まる。
——死ぬことしか、自由になれる道はないと思った。
そして、静かに未来を閉じる夜が訪れる。
⸻
🥀後日談:潔の視点
◇潔の後悔
翌日、潔はロッカールームで、ここながいないことに初めて気づく。
「……ここな、どこにいった?」
凪や蜂楽も知らない様子で、ただ練習を続けている。
胸の奥に冷たい痛みが走る。
——助けることができたのに、俺は何もしなかった。
潔はひとり、施設の外の夜空を見上げる。
「……俺たち、失ったんだな」
悔しさと罪悪感で、涙が止まらなかった。
◇チーム全体の空虚
凪も蜂楽も千切も、普段通りの冗談を言い合っている。
でも、どこか空虚だ。
——ここなの笑顔も、ぶりっ子も、チームの活力だったのに。
誰もが、それに気づいた時には遅かった。
施設内には、淡い静寂が漂う。
——あの日、笑顔でいるここなを守る勇気を持てなかった自分たちを、誰も許せないまま。
⸻
◇結末
ここなはいない。
誰も、彼女を取り戻すことはできない。
——彼女の居場所は、もはや戻らない。
施設の中、ブルーロックの選手たちは、ただ無言で練習を続ける。
だが胸の奥には、静かで重い後悔が沈む。
——“ぶりっ子のここな”は、もう二度と笑わない。