テラーノベル
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滉斗と同じクラスになったのは、
高校二年の春だった。
最初は、正直あまり印象に残っていなかった。
前の席でも、隣でもなくて、
名前を呼ぶ理由もなかったから。
ただ、 授業中に先生に当てられたときに
少し低めの声で
「……俺ですか」
って答えたのを、なぜか覚えている。
それくらいの存在だった。
最初にちゃんと話したのは、 掃除の班が
一緒になった日。
黒板消しを運びながら、 滉斗が私の方を
見て言った。
「涼架って、 意外と几帳面なんだな」
「そう?」
「端から端までちゃんとやってるから」
それだけの会話。
なのに、 名前を自然に呼ばれたことが、
少しだけ嬉しかった。
それから、
挨拶をするようになった。
「おはよう」
「おはよう」
最初はそれだけ。
でも、 それが毎日になると、
少しずつ安心感に変わっていった。
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