テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
7,359
28
未来管理室に静寂が落ちた。
白い髪。
青い瞳。
泣きそうな顔で笑う少女。
その姿を見た瞬間から、空気そのものが変わっていた。
なつが小さく呟く。
🍍「……誰だ?」
返事をしたのは、らんだった。
🌸「まずい、かも」
短い言葉。
しかし、らんがここまで真剣な顔をするのは初めてだった。
いるまも眉をひそめる。
📢「知ってるのか」
🌸「知ってる」
らんは少女から目を離さない。
🌸「たぶん、ここにいる全員が知ってる」
すると。
少女が少し首を傾げた。
?「知ってる?」
不思議そうな顔。
そして少しだけしょんぼりする。
?「でもみんな忘れちゃったよね」
その言葉と同時に。
こさめの頭がズキリと痛んだ。
忘れた。
確かに忘れた。
何か大切なものを。
ずっと昔に。
🦈「君は……誰?」
こさめが聞く。
少女はきょとんとした。
まるでその質問自体が不思議みたいに。
そして。
少しだけ寂しそうに笑った。
?「わたし?」
少女は胸に手を当てる。
?「未来だよ」
静寂。
誰も動かなかった。
なつが数秒固まる。
いるまも固まる。
こさめも固まる。
そして。
全員「え?」
全員同時だった。
全員「未来!?」
未来「うん」
少女は頷く。
未来「人類の未来」
未来「正確に言うとその一部が擬人化しただけ」
🍍「ええ!?」
なつが叫ぶ。
🍍「箱じゃなかったのか!?」
未来「箱は寝る場所」
🍍「寝る場所!?」
未来「うん」
少女は真面目に答える。
全然悪気がない。
その様子が妙に可愛らしくて。
余計に混乱した。
しかし。
すちだけは笑わなかった。
🍵「どうして出てきたの」
静かな声。
少女はすちを見る。
そして。
少しだけ申し訳なさそうな顔になった。
未来「ごめんね」
🍵「……」
未来「でも限界だった」
その言葉に。
らんが目を閉じた。
予想していたのだろう。
少女は続ける。
未来「ずっと一人だったから」
誰も喋らない。
少女の声は小さかった。
震えていた。
未来「こさめがいなくなって」
未来「すちもいなくなって」
未来「らんもいなくなって」
未来「誰も来なくなった」
青い瞳に涙が溜まる。
未来「寂しかった」
こさめの胸が痛んだ。
知らないはずなのに。
その気持ちが分かる気がした。
未来は少女の姿をしている。
でも本当は。
人類全体の願いや希望の集合体だ。
そんな存在が。
何千年も。
たった一人でいた。
🦈「……」
こさめはゆっくり近づいた。
🍵「こさめちゃん!」
すちが呼ぶ。
止めようとした。
だが。
こさめは足を止めなかった。
少女の前に立つ。
未来は不安そうに見上げてくる。
未来「怒ってる?」
小さな声。
こさめは首を振った。
🦈「怒ってない」
未来の目が少し大きくなる。
未来「ほんと?」
🦈「うん」
少女は安心したように笑った。
その瞬間。
また記憶が流れ込む。
🦈『未来』
昔のこさめが呼ぶ。
青い光の中。
少女が振り返る。
今と同じ姿。
今と同じ顔。
ただし、今の未来と違って‥
一部ではないように、見えた
未来『どうしたの?』
🦈『寂しくなったらどうする?』
昔のこさめが聞く。
未来は少し考える。
そして。
未来『こさめを探す』
笑顔で答えた。
🦈『見つかるかな』
未来『絶対見つかる』
🦈『なんで?』
未来『約束したもん』
未来は胸を張る。
未来『こさめは約束守るから』
未来『だって未来が言ってるんだよ?』
🦈『まぁ‥たしかに』
記憶が終わる。
こさめは思わず息を呑んだ。
未来も同じようにこちらを見ている。
そして。
小さく言った。
未来「約束」
胸が苦しくなる。
思い出せそうで。
まだ届かない。
すると。
未来はこさめの服の裾をそっと掴んだ。
未来「迎えに来たの」
🦈「どこへ?」
こさめが聞く。
未来は少し笑った。
でも。
その笑顔はどこか悲しかった。
未来「未来の終わった場所」
その瞬間。
すちの表情が変わる。
らんも一歩前へ出た。
🌸「だめだ」
らんが言う。
未来は振り返る。
未来「なんで?」
🌸「まだ早い」
未来「でも」
未来はこさめを見る。
青い瞳が揺れる。
未来「もう時間がないよ?もうすぐ私も、いや未来の全てが終わるよ?」
静寂。
そして。
未来管理室の鏡が砕けた。
バリン――!!
全員が振り返る。
砕け散った鏡の向こう。
そこに映っていたのは。
今まで見たどの記憶よりも鮮明な映像。
崩壊する世界。
消えていく空。
泣いている未来。
そして。
光の中へ消えていく、過去のこさめ。
映像の最後。
過去のこさめが誰かに向かって言う。
🦈『お願い』
🦈『俺を忘れないで』
その言葉が響いた瞬間。
記憶封印解除率が――
**90%
に到達した。
コメント
8件
え、好き♡ 幽霊じゃなかったんやw なんか、そろそろ世界滅びそうな予感☆ どうなんねやろ、気になる(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク るあは神ですね、はい。 テストに出るので覚えておきましょう(?)
わあ…第18話、すごく重くて美しい回でしたね。「未来」という概念が一人の少女として現れて、しかも「迎えに来たの」って言うのが、ただの設定じゃなくて確かな温かさと哀しさを持っていて、泣きそうになりました。こさめが近づく時のすちさんの制止も、らんの「まずい」も、みんなの反応がキャラ立ちしてて好きです。記憶封印解除率90%の緊張感、次が気になりすぎます…!