テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
レア
1,919
lrfw - 2510字
―俺が、殺したんかな―
違うと否定できないのが悔しい。
違う、違うよ。
頭では分かっているのに、答えは出ているのに、 根拠が無くて、俺の言葉で彼がどんな感情になり気持ちを抱くのか、俺には想像すらできなくて、責任を負いたくなくて、
言葉にできなかった。
不破っちが目を覚ましたあの日から三日が経った。 見舞いに来るライバーや仲の良いスタッフ、ホスト業の同僚、遠くから駆けつけた家族。
そしてみんなに笑顔で接する不破っち。
家族と話す不破っちを見たとき俺は不覚にも、あぁ愛されて育った人だ、と疎外感を覚えた。
こんだけ愛され育てられた人が、これほど周りから愛されている人が、自殺…?
こいつが病院にいる理由が自殺だって俺が正直に話したとして誰が信じるだろうか。
きっとみんなキツい冗談だと苦笑を浮かべるに違いない。
それほどまでに不破っちの自殺は俺にとって信じがたいものだったし、同時にふざけんなよと怒りも沸いた。だって こんだけ愛されてるくせに自殺なんて。僻み、嫉妬…わかってる。
でも俺とは正反対の幼少期を過ごしたであろうこの人が自殺するのが勝手にも許せなかった。
しかし皮肉にも自分とは違い誰からも愛される不破っちのことが俺は好きだった。
所詮俺も数あるうちの一つに過ぎないのだ。
「じゃーん!任天堂持ってきたぞ☆」
「おぉ〜!でかしたローレン!!」
俺は不破っちの入院生活が始まってから一日も欠かさず見舞いに来ている。それこそこのまま目を覚まさないのではと本気で悔やんだ二週間も、目を覚ましてからの三日間も、そして退院するまでのこれからも。時折不破っちが探るように俺を見ていることを知ってはいるが、辞める気はない。
「スプラやる?」
「ん〜や!スマブラがいい!」
「あ、え?不破っちといえばスプラだろと思ってマリカとスプラしか持ってきてねぇや」
「はぁ!?スプラは画面分割できんやろが!!」
「はぁ〜〜っ!?態度には気をつけろよ?今すぐ持って帰ることだってできんだかんな!!」
それに一人のときのことも考えて選別してきたんだよ、俺は。
「すんませんでした、ローレンさん」
「ふっ、ねぇ見て不破っち」
実は持ってきていたスマブラのカセットを隠すように握り、握り拳を不破っちの前まで持っていってパッと開く。
「んぇ!?おまっ、茶番ええって!」
グーパンを一発食らったが、不破っちの嬉しそうな顔が見れたからか痛みは感じなかった。まぁ体中に包帯を巻いている男に殴られたって誰もくらいやしないんだけど…。
「っ…痛くねぇ〜」 ほんと、少しも。
……これ元の生活に戻るまで何日…かか…っ…
「……な!早くやろ?ロレ!」
「っ…絶対負けねぇ!」
「んはっ、俺に勝てるわけないやろ! 」
気を遣わせた、こんな状態の不破っちに。
本当に自分が嫌になる。
演ることに関してはこの人以上はいないのに。
この人の前で少しでも手を抜こうもんなら見透かされるってわかってたのに。多少の自信はあった作り笑いも、自分より遥かに笑顔が上手い不破っちには通用しないのに。
何より、一番不安なのは不破っちなのにさぁ。
そして1週間後。不破っちが目を覚ましてからもう十日になった。未だに一人では立てないし、自由に動かしていいのは上半身だけで、ゲラゲラ笑いながら教えてくれた利き手の握力は20にも満たなかった。
ジムに通って自炊までしていた人が本当にこんなことが面白いのだろうか。長年の努力で積み上げてきたルーティンと体は崩れ、趣味のゲームすらまともにできず、思うように操作できないコントローラーに、自分の手に、嫌気がささないのだろうか。
「ははっ、今の不破っちにならスプラ勝てるかも、なんて」
きっと本人に言っても傷つくどころか苛つきも見せず、気にもとめないだろうな。「かかってこい! 」なんて言って勝たせてくれそうだし。負けず嫌いを自負しているし俺もよくそう思わされるけど、でもそれをグンッと上回って、
不破っちは優しい人だから。
そうこう考えていると不破っちの病室に付いていた。いつもこの瞬間は指先が震える。あの光景がフラッシュバックする。この扉の先にいるはずの彼がいなかったらどうしよう。この病室にもある窓が憎らしい。怖い。
……ふぅっ…大丈夫、不破っちは一人じゃ…
立てない、から。歩けない、から。
そんな最悪な理由で安堵して、冷静さを取り戻す自分が腹立たしい。
震える指先に無理くり力を入れてドアを開ける。
「おつ〜!」
「ロレ〜!お前来すぎやろ!」
ほら、大丈夫だった。ちゃんといるじゃん。
〜ローレンが不破さんのことを考え試行錯誤の末準備したおみやげ袋の中身〜
Nintendoスイッチ、 スプラ、 スマブラ、 マリカ
すべてロレさんの私物。過去の配信見たりして厳選頑張った。
有線イヤホン
昔買ったけど未開封だったもの。そのままあげる。
充電器
ロレさんの私物。受付の際に一応看護師に許可取りをした。
使い捨てアイマスク
病院に向かう道中のコンビニで思い出したかのように箱入りを購入。その際モンエナへ手が伸びたが我に返って引っ込ませた。
ふわっちクルーラーのぬいぐるみ
ロレさんの私物。寂しくならないように入れたが後々照れが来て3回目のお見舞いでしれっと回収する。ちなみに過去に不破から貰ったものでなんとなくデスクに飾っていた。少しヤニで黄ばんでるかもしれないね。
ハンドクリーム、 リップクリーム×2
裏の商品説明までしっかり読んで購入。リップは2つで悩んだが10分ほど悩んだあげくどちらも購入。自分のじゃケチるなんなら買わないが不破さん用なので少し高いやつを選んだ。
箱ティッシュ×2
自宅にあるロレさん愛用のものを適当に持ってきた。
服やタオル、生活必需品は不破さんの家族が持ってきてくれてるうえに当たり前だが自分より不破さんに詳しい不破兄に嫉妬した。対抗心のせいで悩む時間が増えただとか。
コメント
2件

真相も気になるしなんとか耐えてるけど明らかに来ているlrの思いも伝わって、なんか危ないfwの様子も気になって、苦しみながら(これがいい)続きが本当に読みたかったので嬉しいです‼️😭ネタからがもう最高ですありがとうございます‼️‼️
ああ〜もう、これめっちゃ刺さったわ…。ローレンの心情が重すぎて読んでて胸がぎゅーってなった。愛されてるのに自♡♡♡ようとした不破っちへの怒りと、それでも好きでいてしまう矛盾、全部リアルだった。不破っちの優しさに気づいてるからこそ、自分が安心するために「立てないから大丈夫」って思っちゃうのも、人間臭くて苦しい。お見舞い袋のぬいぐるみ回収エピソード、照れ隠しすぎて好き。続きが気になる〜!