「えー、それでは文化祭の出し物を決めたいと思います。何かアイデアがある人は手を挙げてください。」
葉が綺麗な色を纏うこの時期、この学校では文化祭というものが行われるようです。
「それにしても、この学校はイベント行事が多いんだね。」
「うん。学校を楽しい場所だと思えるように、生徒会がイベント行事を増やしているんだよ。」
「…文化祭はお祭り……この間のハロウィンよりももっと楽しい……。」
生徒会っていったい何者なんだろう……。
「はい、そこ、喋るなら手を挙げてね。」
「僕はやっぱり喫茶店がいいかな。飲食店の方が男女関係なく楽しめそうだし。」
「そりゃ、上流階級の桃瀬たちは客側なんだから楽しいだろうけど、中流以下の俺らはずっと働くんだぜ?そんなの嫌だよ。」
「そーだそーだ。毎年階級差別あるもんな。そういうことに関しては生徒会も全く動かねえし。」
「うん。だから、今年は僕たちも店番をしてみようと思って。」
「は…?店番ってお前らが接客すんのかよ。」
「その通り。階級差別のない文化祭にしてこそ、皆が楽しめるでしょ?せっかくのクラスなんだから、協力しないと。」
「もしかして、奏くんたちのエプロン姿とかも見られるのかな?」
「それならうちら賛成だよ。」
「なら女子はメイドか…?俺メイドなんてワクワクするんだけど。」
「お前、趣味悪いもんな~。」
「はーい、皆静かに。他にアイデアがないなら喫茶店で決まりますが、どうですか?」
「異議ナーシ!」
私たちのクラスは喫茶店をやるのか……。喫茶店ってことは、コーヒーとか紅茶を淹れたりするんだよね……?
「花月、俺と買い出しに行くか…?せっかくならいい紅茶を揃えよう。美味しい菓子も。」
「うん。」
「私たちは衣装係でもやろうか。男子の燕尾服と女子のメイド服を作るよ。」
「後で紙配るからサイズ書いてねー。」
「ほんと、お前らは物好きだよな。誰が好き好んで文化祭なんか……。」
「あ、そうそう。赤羽くん、今年こそミスターコンでてもらうから、よろしくね。」
「ふざけんなよ水瀬…。」
「みすたーこんって何…?」
「ミスターコンテスト、略してミスターコン。学校内で行われる人気投票だよ。男子はミスターコン、女子はミスコンって言って、毎年盛り上がるんだー!」
「赤羽くん、不良キャラで顔は悪くないから、毎年オファーが来るんだよね。」
「お前ら好き勝手言いやがって……。」
「そうだ!せっかくなら花月ちゃんも、ミスコンに出ればいいんだよ。そうすれば赤羽くんも出るよ。」
「ダメに決まってるでしょ、結愛。花月は人間なんだから、全校生徒にお披露目なんかしたら危ない。」
「そっかー…残念。せっかく可愛くしてあげたかったのに…。」
「メイドでも十分可愛くできるって。」
文化祭もまた何かが起きそうな予感……。