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『迷子』
「いってきまーす」
そう言って俺は家を出た。
今日は家を出るのが少し遅れた。
いつも通り学校に向かっていると、どこかから声がした。
俺は自転車止め、耳を澄ました。
はっきり聞こえた。だれかが泣いている。
泣き声がする方に向かってみると、小さな女の子がいた。
小学校低学年ぐらいだろうか。
「どうしたの?」
問いかけると女の子は泣き止み、こちらを見てきた。
最初は登校中に何かあったのかと思ったが、ランドセルは背負っていなかった。
「うっ…うっ…うぇーん!」
また泣き出してしまった。
近くにはお母さんらしき人も見当たらず迷子かと思った。
「……お母さんは?」
そう聞くと女の子は首を横に振った。
「歩ける?」
「うん…」
鼻をすすりながら答えた。
そして女の子を連れて交番に向かった。
「すいません」
「はい。どうしました?」
中から警官が出てきた。
「この子、迷子みたいで」
「分かりました。ありがとうございます。あとはこちらに任せてください。」
「お願いします」
そう言って俺は交番をあとにした。
外に出て何か忘れていることに気が付いた。
「あっ!学校!」
時計を見たが、もう遅刻だ。
俺は急いで学校に向かった。
「すいません!遅れました!」
教室に入り、先生に謝罪をした。
「何で遅刻をしたんだ?」
「いや…少し人助けをしてて…」
「そんな噓はいいから。どうせ寝坊だろ…」
先生が言うと、クラスのみんなが笑い出した。
まぁ信じてもらえなくてもいい。
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