世の中は理不尽だ。
なんでこうも、第二性に振り回されなければいけないのだろうか。
「っ、……さいあく……ッ」
椅子からなだれ落ちながら呟いた。
身体が重い。
そう感じ始めたのは10分ほど前。
正直、心当たりがありすぎて何が理由か分からないが。
とりあえず鞄を開き、頭痛薬を服用。次に適当な栄養ドリンク。そして、ヒートの抑制剤を服用した。
それでも、だるさは治らない。
「っ、ぁ……」
急に全身の力が抜けた。
そして、全身が火照る感覚。
「っ、ひー、と、……じゃん……ッ」
抑制剤を服用するタイミングが遅かったのか、仕事中にヒートが来てしまった。
ましてや、今は社長室。
密室であるため、フェロモンが充満している。
助けてほしい、と思う反面、誰にも来てほしくないと思う心もある。
タレントにも、社員さんにもαやΩがかなり居る。
お願いだから、βが来てくれますように、と思いながら、椅子からなだれ落ちた。
「っ、……さいあく……ッ」
そして、今に至る。
ひんやりとするフローリングの床に転がる俺。
ふぅ、ふぅ、と熱い吐息が漏れる。
αの匂いが嗅ぎたい。項を噛んで欲しい。
だんだん理性が本能に侵食されていく。
触って欲しい。挿れて欲しい。
「っ、……ある、ふぁ、ッ♡あるふぁっ……、♡」
何度もαを求めた。
掴んだチョーカーのチャームがチャリ、と音を立てた。
side.rn
おかしい。時間になってもないこさんが来ない。
お昼、一緒に食べようって約束したのに。
ないこさんは、約束破るような人じゃないし……
気付けば、社長室の前まで来ていた。
万が一、大事な用件中だったら……、と心配になりつつ、社長室の扉を開けた。
「ぇ、……ッ//」
その瞬間、ぶわっと香るΩの匂い。
ないこさんがΩ……?
フェロモンやば……ッ//
早く扉閉めないと。
β、呼んでこないと。
項噛みたい、
色んな感情がぐちゃぐちゃになる。
その中でも、一番早く動いたのは本能で。
気付けば、ないこさんを押し倒していた。
「ぁ、……♡ある、ふぁだ、ッ♡っら、らん、項ッ♡噛んで、……っ♡」
瞳にハートを浮かべながら、求めてくるないこさんに理性を煽られながら必死に耐える。
「ッ、ダメ、ですよ//そんな、簡単にしちゃ、ッ//」
「ちが、♡ら、らがいーの……っ♡番、なろ……?♡」
……これは、都合の良いように受け取って良いのだろうか。
このまま項を噛んで、既成事実を作ってしまえば、なんて考えが過る。
「ッ、ほんとにいいんですか?♡」
「んっ♡いーよ、ッ♡噛んで……っ♡」
頭の隅で理性が駄目だ、と叫んでいるが、それを無視してないこさんのチョーカーを外した。
「好きです、ないこさん……っ♡」
そう呟き、綺麗なその項に噛み付いた。
「ん゙ぁ゙ッ、♡は、っ♡おれ、も、すき……っ゛♡」
番ったからか、フェロモンがより強く感じる。
“好き”の言葉に期待しながら、齧り付くように唇を重ねた。
side.ni
やってしまった……
ヒリヒリと痛む項を撫でながら、天井を見つめる。
メンバー以外にΩってバレたし。
会社でヤッてしまったし。
とんでもないことを口走った気がするし。
それでもって、嬉しいとどこかで思ってしまう自分がいるのは何故なのだろうか。
「あの、その、……ないこさん……」
床に座り小さくなっているらんらん。
「あー、らんらんは何も悪くないから!俺が誘ったんだし!」
記憶はないけど。
「いや!えっと、……その、ないこさん。」
ふと、真剣な目になるらんらん。
鮮やかな桃色の瞳と目が合い、ドキッとした。
「番になった後に言うのも卑怯だと思うんですけど、……ないこさん。好きです。俺と付き合ってくれませんか?」
こ、くはく……?
「あ、っ……!//」
告白されて気付いた、自分の気持ち。
情な……、俺……
「俺もらんらんのこと、好きだよ。よろしくお願いします。」
照れ笑いみたいなってしまったけど、微笑みながら言えば、驚いたように目を見開き、飛びついてきたらんらん。
「嘘、じゃないですか?本当ですか、?」
「嘘じゃないよ。本心。」
頭を撫でながら、そう返す。
「絶対、離れないでくださいね?」
「ふふ、そっちこそ。絶対離さないでよ?」
顔を上げたらんらんに、口吻をした。
少しは、Ωでもいいと思えた瞬間だった。
※とてもリベンジしたい。
コメント
5件
初コメ失礼します! 初めて桃桃見たんですけどめっちゃ好きです!フォロー失礼します!
ぁっ好きです…ありがとうございましたっっ
なんか桃桃だといくらRっぽくてもほのぼのなんだよなぁ 最高でした!ごちそうさまでぇぇぇす!