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――放課後、心理部の部室。いつも通りの空気のはずだった。
〇〇(昨日の……あれは夢だったんだろうか。めろが言ってた“ゲーム”だの“エンディング”だの……)
記憶の端に残る言葉。
けれど曖昧で、どこか霞んでいる。
魔璃亜「〇〇さん、今日は私と一緒に帰りませんこと?」
優雅に差し伸べられる手。
雪平魔璃亜――みんなのお姉さん的存在であり、常に気品をまとった少女。
〇〇「……ああ。いいけど」
自然に、俺はその手を取ってしまった。
魔璃亜の柔らかな微笑みに、ほんの少し胸が高鳴る。
……だが。
めろ「……は?」
後ろから聞こえた声は、震えていた。
振り返ると、恋姫めろが立ち尽くしていた。
めろ「ねえ、〇〇くん。なんで……」
〇〇「……めろ?」
めろ「どうして……私じゃないの?」
空気が、凍りついた。
彼女の瞳から、普段の小悪魔的な光が消えている。代わりに――濁った絶望の色。
魔璃亜「……めろさん? どうかなさいまして?」
めろ「違う。違う……だって“決まってた”んだよ? エンディングは私って、ねぇ。」
〇〇「何言ってんの?」
めろ「おかしい。バグだ。おかしいおかしいおかしいッ!!」
彼女は机を蹴り飛ばし、部室の奥に走り込む。
そこで一冊の分厚い日記帳を掴んだ。
〇〇「あれは……?」
めろ「これは君の記録。……でも、もう要らない。だって君は私を選ばなかったから」
ビリビリ
ためらいなく、彼女は日記を破り裂いた。
紙が宙を舞い、積み重ねてきた日々の痕跡が消えていく。
もな「めろッ…」
めろ「リセットする。全部、なかったことにしてあげる」
瞳孔が開ききった笑みで、彼女は囁いた。
めろ「――次は絶対に、私を選んでもらうから」
破り捨てられた最後のページが宙を舞う。
そこには震える字でこう記されていた。
『〇〇は必ず、めろを選ぶ』