テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
久しぶりに一人で外出した日だった。愛しい彼へのプレゼントを買いたくて街に出たのだ。色々なお店を見て回って、彼の好きそうな品を探していた。
そんな時に急に後ろから知らない男性に肩を掴まれて、私はびくっと飛び上がった。
[お嬢ちゃん、可愛いね。今、暇?よかったら俺と遊ばない?]
どうやら悪質なナンパに引っ掛かってしまったらしい。私は肩を掴んだまま離してくれない男性に必死に、自分には恋人がいること、今日は恋人の為に買い物に来たので暇ではないこと、お金はあまり持っていないこと、などを説明した。
[でも彼氏が居てもさぁ、たまには火遊びしたいって思わないの?]
『思いません!私は彼氏以外の人と遊ぼうとなんて思いません。離してください』
断固拒否すると、男性はやれやれといった様子で手を離してどこかにふらっと行ってしまった。怖かった。早く買い物を済ませてパレスに帰ろう。
私は急いで目星をつけていた商品を買ってラッピングしてもらい、パレスに戻った。
パレスに帰ると、大好きなベリアンが玄関で待ってくれていた。早速プレゼントを渡そうと思って口を開こうとした瞬間、信じられないくらいの圧と低音の声が被さった。
「主様、さっきの男は誰ですか?肩を抱かれていたようですね。私の居ないところで火遊びするのは楽しかったですか?」
『…え?』
「ここに居ては人目につきますからお部屋に行きましょう」
ベリアンに腕を強く掴まれて2階の自室まで引き摺られていく。いつもならシッティングルームでお話しするのに、どうしてだろうか?そんな疑問を投げかけられる雰囲気ではないベリアンに怖くなりながらも足を止めることはできなかった。
部屋に着くと、ベリアンは私をソファに突き飛ばすように座らせ、ティーコゼーを被せたティーポットからお茶を注いで、ティーカップとソーサーを乱暴に机に置いた。ティーカップの収集が趣味で、茶器を大切に愛でるベリアンのありえない行動に混乱していると、ベリアンは恨めしそうに私を睨んで、いつもの優しく包容力のある声とは似ても似つかない…まるで獣が唸っているような声で私に問いかける。
「主様、さっきの男性は誰ですか?親しげに主様の肩を抱いて話していた、あの男は!誰かと訊いているのです!」
ばん!と机に手を叩きつけた振動でティーカップからお茶が零れる。しかし、ベリアンはそんなことすら気にならない様子で、私に詰問を続ける。
「私には言えませんか?それはそうですよね、浮気していただなんて知られたくありませんものね?肩まで抱かせて街中でお喋りして、その前は何をしていたんですか?もうあの男と肌を重ねたのですか?ねぇ、主様、答えてください」
『ベリアン…?ち、違うの…私はただ…』
「違う?何が違うというのですか?浮気したことを隠したいからと噓をつくのはおやめください。浮気した女の「違う」ほど信じられない言葉はないのですから。さぁ、教えてください。あの男とはどういった関係なのですか!もう肌を重ねたのですか!さぁ、白状なさい!」
ベリアンは何度も机を叩いて大声で喚き散らす。
『ベリアン…怖いよ…落ち着いて?ね?』
そう言った瞬間、ガシャン!と音がしてティーカップとソーサーが机から払い落とされて無残に砕け散った。
『ベリアン!?どうしちゃったの…ねぇ、ベリアンはそんなことする人じゃないでしょ…?』
「へぇ、なるほど…私はただのメンタルケア要員で、あの男が本命だったのですね。では、さぞあの男と寝るのは気持ちよかったのでしょうね。見るからに経験豊富で女好きなようでしたものね。私とはまだ寝ていないのに!主様は、あの男に身体を明け渡して!許せません!!」
『違うよ、ベリアン、話を…』
「黙れ!」
その瞬間ぱんっと乾いた音が響いて頬がじくじくと痛む。何だ?何が起こった?ベリアンが私を叩いた…?
私があの優しく愛しいベリアンに叩かれたという事実に呆然としていると、ベリアンは床に落ちていた割れたソーサーの欠片を拾い上げた。
「この尻軽女!私がどんな思いで、どんなに我慢して、貴女に触れるのを我慢していたか!貴女は知らないでしょう!?それなのに、他の男に身体を明け渡して!!こんなことをする人だなんて思っていませんでしたよ!えぇ、貴女に騙されていましたとも!もういいです!説明も何も必要ありません!これで貴女を殺して私も死にます!!」
ベリアンはソーサーの欠片を握りこんで、手から血を流している。
#ベリアン・クライアン
ぷち
296
澄
126
『ベリアン、落ち着いて!怪我してるよ!ねぇ、殺すのも死ぬのもやめよう?私は浮気なんてしてないよ!』
その言葉を聞いたベリアンはまるで糸の切れた操り人形のように俯いて身体から力が抜け、手に持っていたソーサーの欠片が床に落ちてパリンと音を立てて割れた。
「まだ嘘を貫こうとしますか…。ではこちらも強硬手段を取らせていただきます。さっきまであの男に抱かれていたのでしょう?さぞ具合のいいことでしょうね」
ベリアンはそう言いながら私に一歩一歩と近づいてくる。怖い。どうしよう。私が混乱している間にベリアンは私の身体を抱き上げてベッドへ投げた。プレゼントの箱がベッドの側に床に転がる。
流石にここまでされたら、何をされるか察してしまう。ベリアンは私が他の男と寝たと思っているから、きっと上書きするように抱くつもりなのだろう。しかし、私は今まで誰にも肌を見せたことすらない。手を繋ぐのもキスだってベリアンが初めてで、何もかもベリアンにあげるつもりだったのに、どうして…。私はもうベリアンを説得するのを諦めて、ベリアンの気が済むまで耐えようと決めた。きっとベリアンならば激昂していても優しくしてくれる。
しかし、そんな甘い考えは早々に打ち砕かれることになった。ベリアンは怒りに任せて私のスカートを捲り上げるとショーツを脱がせて、私の足を開かせる。
「精液も愛液も処理した後ですか。まぁいいでしょう、少し痛いくらいがお仕置きにはちょうどいいですからね。逃げるだなんて考えないでくださいね?私の心がどれだけ傷ついたか、その身に刻み込んで覚えてもらうのですから。全部貴女が悪いのですからね。私という者がありながら他の男と遊んでいた罰は受けていただきます」
ベリアンはベルトを緩めてスラックスとパンツをずらしてペニスを取り出すと、慣らしもしていない膣に無理矢理ペニスをねじ込んだ。
『痛い!痛いよ!ベリアン、もうやめてっ!さっきのことは謝るからっ…お願い、ベリアンが初めてなんだよ…っ』
「…まだそんなことを抜かしますか。私が初めて?散々あの男と遊んでいたのでしょう?素直に認めてあの男とは縁を切って、二度と浮気をしないと誓ってください。そうすれば少しは痛くないようにしてあげましょう」
『あの人とは本当に何もないの!街を歩いてたらナンパされただけなの!だからもう許して…』
私が痛みと恐怖で泣きそうになりながら訴えても、ベリアンは止まってくれない。
「都合のいい言い訳ですね。そんな偶然があるでしょうか?いつも私が居ない時間を狙ってあの男に会いに行っていたのでしょう?泣いたって無駄ですよ。尻軽女は報いを受けるのが当然なのですから」
ベリアンに何を言っても逆効果だ。そう悟った私は、ひたすら身体を裂かれるような痛みに必死で耐えて涙を流した。
「あの男とは何回寝たのですか?」
『………』
「ふん、言えないほど抱かれていたのですね。本当に腹立たしい…。いいでしょう、言わないのであれば私の好きなだけ抱きますからね」
そう言ってベリアンは無理矢理ペニスを全て入れて、腰を振り始める。処女膜が破れて出血したおかげで滑りが良くなるという皮肉。ベリアンはきっと血のぬめりは愛液か精液のぬめりだと思っているのだろう。早く痛いだけの初めてのセックスが終わりますように。私はそれを祈りながらベリアンを傷つけてしまったことと誤解されてしまったことが悲しくてまた涙を流した。
ベリアンが射精する頃には身体は防御反応で濡れて、出し入れがスムーズにできるようになっていた。
「一度で済むことではないですからね?まだまだ足りない…。私の傷は今の貴女が感じている痛み以上に痛んでいるのですから」
そう言われて私は絶望することしかできなかった。もうあの優しいベリアンに戻ってくれないかもしれない。浮気した私なんて恋人にしたくないと捨てられるかもしれない。この痛みはベリアンの痛み、そう自分に言い聞かせて愛のないセックスを続けるベリアンを受け入れ続けた。
何度ベリアンが射精しただろうか?少なくとももう奥に入り切れず結合部まで逆流するほどには射精された。
「…これ以上は痛みもないようですし、続けても意味がないですね。ですが、浮気をしたこと…それは絶対に許しません。最後に言い残すことはありますか?もう私達、別れましょう。私では満足できなかったのでしょう?」
そんな風に言われて私はまた涙があふれてくるのを止められず、泣きながらベリアンにベッド横に落ちた箱を見てほしい、とだけ伝えた。
ベリアンはベッドから降りるためにペニスを抜き、ペニスに精液と血液が混ざっているのを見て一瞬固まった。そして大急ぎでベッド横に落ちた箱の包装を剥がして中身を確認する。私が買ったのはベリアンと二人で使えるティーセット。前にベリアンが欲しがっていたけれど値段が高くて諦めていたものにそっくりだったから選んだのだ。
「あ…あるじさま…まさか私…。念のため確認させてください。主様は処女だったのですか…?」
『うん…。ひっく、あの人は本当にねちっこくナンパされただけで、浮気なんて…ひっく、してないよっ…。ベリアンを喜ばせたくて、街に買い物に行っただけなの…ひっく、信じてくれる…?』
「ぁ、ぁ…私はなんてことを…申し訳ありません…ごめんなさい、主様…。痛かったでしょう?つらかったでしょう?あぁ、どうしたらこの罪を償えますか?主様…許してだなんて言いません…。でも貴女の隣に居てもいいでしょうか…?それとももう私のことなど嫌いになってしまいましたか?…嫌いになりましたよね…何の非もない主様を無理矢理犯して…しかも処女をあんな形で奪って…。もう私は貴女の隣にいる資格すらありませんよね。どうか、処罰を下してください。ルカスさんやミヤジさんに言えばきっと私の罪を裁いてくださるでしょう」
私は痛む体に鞭打って、ベッドサイドで崩れ落ちて泣き出してしまったベリアンの頭を抱き締めて撫でた。
『不安にさせてごめんね。確かにベリアンが怖くて、痛くて、つらかった。でも、ベリアンも傷ついちゃったんだよね。私がもっと警戒していればあんな男に絡まれることもなかったんだから、私がいけないの。だから泣かないで。私はずっとベリアンが好きだよ。嫌いになんてなれないよ。これからも隣に居てくれるのはベリアンがいい』
そう言うとベリアンは大粒の涙を流しながら何度も頷いて、私の手に甘えるように擦り寄った。
『大好きだよ、ベリアン。どんなことをされても私はベリアンが好き』
「あるじさま…、申し訳ございません、申し訳ございません…。主様の愛を疑った私をどうか許さないでください。ですが、許されるのならば…貴女を愛したい…」
『うん、いいよ。沢山愛して?私もベリアンのこと、愛してるから』
ティーカップとソーサーの破片が散らばり、紅茶が絨毯を染めている夕暮れのベッドで、私達は泣き続けた。
コメント
3件
うわっ…ベリアン編、めっちゃ重かったね…💦 読み終わってしばらく呆けちゃったよ。 最初のナンパシーンもヒヤッとしたけど、ベリアンの豹変が本当に怖かった…「黙れ!」って叩くところとか、ティーカップ割るところとか、あの優しい執事がこんなになるんだ…って衝撃だった。 でも最後、誤解が解けて二人で泣き合うところで、胸がギュッてなった。 「何もかもベリアンにあげるつもりだった」っていう主人公の気持ちがすごく切なくて…。 MAKOさんの描く嫉妬と執着の温度、すごくリアルで鳥肌立った😢🤍