コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
《目次》
登場人物紹介
1.ある夏の日
2.気づき
3.方法
4.それでも…
《あらすじ 》
バレーボールの才能以外は何も無い普通の高校生だと思っていた影山飛雄。しかし、夏のある日に平和な生活は突如として変わってしまった。困難に抗う飛雄の運命はいかに___。
《登場人物紹介》
影山飛雄(16)
宮城県立烏野高校に通う高校一年生。男子バレー部に所属しており、ポジションはセッター。中学時代は勝ちにこだわるあまり仲間を信頼せず身勝手なプレースタイルで”王様”と呼ばれていたが、ある一人の少年によってその運命は大きく変えられた。
日向翔陽(16)
宮城県立烏野高校に通う高校一年生。男子バレー部に所属しており、ポジションはミドルブロッカー。ある日目にした”小さな巨人”の姿に憧れを抱き烏野高校へ。中学時代は通っていた中学校に男子バレー部がなく、自ら創部して何とか最後の試合だけは出場した。飛雄に”王様”から離脱するきっかけを与えた本人。しかし、実は彼のみには不穏な過去が…
(チームメイト)
澤村大地(18)
烏野高校3年生男子バレー部主将で、ポジションはウィングスパイカー。しっかり者で頼りになる烏野のお父さん的存在。
菅原孝支(18)
烏野高校3年生男子バレー部副主将で、ポジションはセッター。おちゃらけ者で直ぐにふざけるが実はチームのことを常に考えている烏野のお母さん的存在。
東峰旭(18)
烏野高校3年生男子バレー部で、ポジションはウィングスパイカー。烏野のエースだが、厳つい見た目に反してメンタルが弱く折れやすい。チームの中では親戚のおじさん的な立ち位置。
西谷夕(17)
烏野高校2年生男子バレー部で、ポジションはリベロ。烏の守護神と呼ばれ、リベロとしての実力もかなりある。ポジティブで考えるより先に行動派。チームのムードメーカー。
田中龍之介(17)
烏野高校2年生男子バレー部で、ポジションはウィングスパイカー。中学時代はやんちゃしていたが、高校生になりある人を目にしてやんちゃするのをやめた。考えるより先に行動派。チームのムードメーカー兼番犬(?)
縁下力(17)
烏野高校2年生男子バレー部で、ポジションはウィングスパイカー。次期部長候補で、かなりのしっかり者だが、1度逃げたことがあるため自分で良いのかと内心思っている。慎重派で、ピンチサーバーが多い。おちゃらけ組のストッパー役。
木下久志(17)
烏野高校2年生男子バレー部で、ポジションはウィングスパイカー。存在感が薄いことが最近の悩みらしい。脳内でイメージトレーニングするとプレーが上手くいくらしい。何も考えていないように見えて情に厚い隠れモテ男。
成田一仁(17)
烏野高校2年生男子バレー部で、ポジションはミドルブロッカー。穏やかな性格で、後輩にレギュラーを取られても顔には出さない。が、内心燃えているらしい。本人曰く冷静らしいが、周囲の人によると天然との事。
月島蛍(16)
烏野高校1年生男子バレー部で、ポジションはミドルブロッカー。勝ちにこだわらず、部活に関してもただの部活程度に考えている。しかし、ある時を境に勝ちにこだわるように。自分では気づいていないようだが、おそらく1年生のおかげ。反抗期の末っ子的存在。
山口忠(16)
烏野高校1年生男子バレー部で、ポジションはミドルブロッカー。ピンチサーバーが多い。月島の隣によく出没する。本人曰く月島の一番の理解者らしい。実は月島にいじめを助けられたことがある。それ以降行動を共にする仲。月島の理解者兼兄的存在。
清水潔子(18)
烏野高校3年生男子バレー部マネージャー。美しい容姿の上クールだが、恥ずかしがり屋なところがギャップ。2年生の何人かは密かに狙っているらしい。烏野の姉貴的存在。
谷地仁花(16)
烏野高校1年生男子バレー部マネージャー。ドジで臆病でネガティブだが、1度やり遂げると決めたことは絶対に諦めない強いメンタルの持ち主。日向の勧誘に負けたらしい。密かに日向のことを好いている。
武田一鉄
烏野高校男子バレー部顧問。バレー部のためなら土下座でも喜んでするチーム想いで行動力のある国語教師。本人はバレー経験はない。
烏養繋心
烏野高校男子バレー部コーチ。顧問の武田一鉄の懇願に負け、コーチをすることに。実は日向がお気に入りらしい…
1.ある日の夏
7月26日、練習に行く為早起きをして支度をしている。窓からは暑い夏の日差しが差し込んで、部屋を明るく照らしている。そんな目眩がするほどの眩しい光を見ると、あいつを思い出す。ふわふわのオレンジの髪、太陽のように明るく笑うお前の姿が。今日も会えるのかと思うと、少し気分が弾む。俺はそいつに会うために、素早く準備し颯爽と家を後にした。
まだ早朝のはずなのに暑苦しい。俺はどちらかと言えば冬の方が好きだ。___太陽のようなあいつは、実は大の寒がりなのだ。冬になると決まってあいつは俺のジャージの中に入ってきやがる。それがたまらなく可愛いと思っているのはもちろん誰にも話すつもりは無いが。
いつも通りの通学路。交通量も普段と何ら変わりない。そんないつもと変わらない朝の通学路を歩いていると…
「あ!影山発見!おっ先ー!!」
と言ってあいつが目の前を走り去った。咄嗟に俺は
「待て日向ボゲェ!」
と言い放ち、すぐさまあいつの後を追いかける。これが俺たちの日課だ。正直あいつに追いついても何も無いが…追われるより追う方が自分の性に合っているらしい。気づけば無意識に追いかけているのだ。あいつのことが好きだと気づいたのは高校の入学式、体育館であいつと再会した時だった。
その日は桜が舞い散る春らしい日だった。今年は寒く、桜の開花が遅れていたらしい。ちょうど入学式の日に満開を迎えた桜が綺麗だったのをよく覚えている。入学式が終わり、バレー部が練習している可能性にかけて俺は体育館へ向かった。しばらく1人で自主練をしていたら、あいつが来たのだ。
「影山飛雄!なんでお前がここにいるんだ!」
口を開くと同時にあいつに言われた言葉。驚きよりも先に名前を覚えられていた嬉しさの方が勝ったのを覚えている。だが、俺の口からは思ってもいない冷たい言葉がどんどんと出てきてしまう。俺はそんな自分の性格が大嫌いだ。だが、あいつと共にこの先バレーボールができるのだと思うと、高揚感が抑えきれない。
「楽しみだな」
初めて自分の思ったことを口に出すことが出来た。しかし、それは相当小さい声だったらしく、あいつの耳に届くことは無かった。
今思えばそんなこともあったな、と軽く思い出として振り返ることができるようになった。その後、あいつと練習していくうちにわかった。あいつは下手くそだ。だが、下手くそなりにもがくし、絶対に諦めない。諦めの悪い所も嫌いではない。むしろ自分も同じような節がある為親近感が湧いてくる。しかし、想定外だったのは…
「影山!一緒に帰ろ!」
あいつが毎日こう誘ってくることだ。正直あいつと2人きりで居ると何をするか自分でも分からない。あいつに手出して嫌われないか…とてつもなく不安だった。その為毎回断っていたのだが…
翌日あいつは諦めたのか、俺ではなく月島を誘うようになった。……なぜ俺じゃないんだ、と思ったが、自分が断っている為何も言うことは出来なかった。当の月島はと言うと
「ほか当ってくれる」
の一点張り。おそらく月島はあいつの事を鬱陶しい奴としか認識していないだろう。
「えーなんでッ!?」
と残念そうに項垂れているあいつがなんだか可哀想に見えて…言ってしまった。
「おい、帰るぞ」
すると、あいつは顔を輝かせ太陽みたいな明るい笑顔でこういった。
「いいの!?やった!」
………は?可愛すぎるだろ。マジで勘弁してくれ…俺の理性耐え切れるのか?と、内心焦りまくりだが、あくまで冷静を装い帰宅の準備をした。
帰宅途中あいつの口から放たれた言葉は、俺に衝撃を与えた。あいつの口から放たれた言葉は…
「俺さ…影山のこと好きかも知んない…」
…は?と思わず口に出てしまった。まさかあいつが俺の事を好きだとは…意外だった。
「けどさ…気持ち悪いだろ?だから隠してた」
今こそホントのことを言え、俺!
「は?お前が俺の事…?有り得ねぇだろ」
……やってしまった。あいつは悲しい表情でこういった。
「ごめんな、今の忘れて…」
好きなやつにこんなこと言わせちまうなんて…最低だ。こんな自分が嫌になる。
___時間が戻ればいいのに。
そう思うのも無理はないだろう。
夜空には、真っ黒に輝いた黒い流れ星が流れていたらしい。
翌日、いつもと同じように目が覚めた。何の変哲もない朝の風景に、少しだけ安心するような感覚に陥った。時間を確認するために時計を見た。デジタル時計の為、時刻に合わせて日付も表示される時計を見ると…
「7月26日…?」
咄嗟に俺はリビングへと向かった。そして、母親に尋ねた。
「今日って何月何日!?」
母も7月26日だという。
_____繰り返してる。
そう理解するのに時間はかからなかった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
次回は 2.気づき からです!ほななー✋