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き じ
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#文スト中原中也夢
茉莉(まつり)
9,790
「言葉にしないと分からないよ。何が望みなのかな?」
太宰の声は、酷く鼓膜に甘く残る。
だが、その瞳の奥にある底無しの暗闇は、中也を一切の情け容赦なく値踏みしていた。
中也の項に刻まれた、かつて自らが強引に穿った「仮の番の痕」。
その赤紫に燻る皮膚を、太宰の冷え切った指先が、まるで愛おしい玩具を慈しむようにゆっくりと、しかし確実に皮膚を沈めるほどの力でなぞっていく。
「……ッ、ぁ、だ、ざい……っ」
首筋から背骨へと直撃する、身を焦がすような戦慄。
中也はカチカチと奥歯を震わせ、今にも涙が零れ落ちそうな、熱に潤んだ瞳で元相棒を睨みつけた。
「どうしたんだい、中也。マフィアの最高幹部ともあろう男が、ただのαの匂いに当てられて、そんな風に情けない声を漏らすなんて。……いつもみたいに、私を蹴り飛ばしたらどうだい?」
「手前……っ、分かって、言ってんだろ……クソ青鯖、が……っ!」
言い返す言葉の端々が、自身の熱い吐息でひどく 震えている。
どれだけ虚勢を張ろうとも、部屋中に充満する太宰の圧倒的な、濃厚で昏いαのフェロモンが、中也の体内のオメガとしての本能を 容赦なく 蹂躙 していた。
脳の芯が、内側からとろとろに溶かされていくような、悍ましくも 狂おしい 快楽。
逃げようとして、ベッドのヘッドボードに繋がれた手首を動かせば、シャラリ、と冷酷な金属音が狭い室内に響き渡る。
「本当に、言葉にできないほど頭が真っ白なのかな? ほら、ここを見てごらんよ。嫌だ、触るなと口では言いながら、中也の身体はこんなに素直に私を欲しがっている」
衣服の隙間から滑り込んできた太宰の熱い手のひらが、中也の汗ばんだ脇腹、そして引き締まった腰のラインを直接撫で上げていく。
冷たい指先が中也の最も敏感な場所に触れた瞬間、中也は「ーーぁッ!」と短い悲鳴のような声を上げ、自ら太宰の手のひらに縋り付くように背中を大きく 仰け反らせた。
プライドが、個人の尊厳が、αという「絶対の主」の支配によって、一枚一枚 剥ぎ取られていく。
シーツの上に滴る蜜の音が、耳障りなほどに中也の鼓膜を打ち、彼自身の羞恥心を 限界まで 削りとっていく。
「ねぇ、中也。おねだりは? ちゃんと君の可愛い口から聞かせてくれないと、私はこのまま手を離して、君をこの熱の中に一人きりで置き去りにして、部屋を出て行ってしまうよ?」
「ーーっ、待て……ッ!!」
部屋を出る、というその最悪の宣告に、中也の脳裏を 本能的な 絶望 が支配した。
発情期のオメガにとって、番のαに放置されることは、精神を内側から狂わせる拷問に他ならない。
中也は涙をボロボロと目尻から溢れさせながら、血が滲むほどに唇を噛み締め、ついに、最後のプライドを 完全に 踏み潰して 絶叫した。
「……行くな! お前ので……中を、お前の匂いで、いっぱいに、してくれって言ってんだよ……ッ!! 早くしろ、太宰……っ、頭が、狂いそうだ……ッ!」
その瞬間、太宰の瞳の奥の「昏い光」が、ドロリと、獲物を完全に捕らえた獣のそれに変わった。
「よく言えました。……本当に、おねだり上手で、可愛いよ、中也」
優しく 髪を 掬い上げる 動作とは裏腹に、太宰の質量が、狂暴なまでの独占欲を孕んで中也の細い身体を 完全に 組み伏せた。
もう、逃がさない。中也が自分で、私の腕の中に墜ちることを望んだんだ。
重なり合う二人の影が 激しく 揺れ動き、狭い寝室の空気は、二度と引き返せない 濃密な 愛憎の匂い で 満たされて いった。
コメント
2件
描き方が上手すぎる、、、