オレは小学校、中学校といじめに遭っていた。
髪質が良くないことをいじられた
ずっとニコニコしてて気持ち悪い
とか
声が変だと
そう言われていた。
それが今にも影響して体に異常はないが声が出せない。
精神的な問題で、声を出すことが出来なくなっている。
今はスマホを通して色んな人とコミュニケーションをとっている。
目に関しても今は髪で隠している。
目元を隠していつもどんな表情か分からないようにしている。
中学の時榎本が助けに入ってくれた。
嬉しかった。
だけど
オレのせいで榎本まで巻き込んだ。
「ごめんなさい」それが口癖だった。
喋れないからノートを通してその頃は話していた。
何か注意をされたら最初にごめんなさい。
ノートの半分以上はその言葉だった
ノートを通してコミュニケーションを取るせいで耳が聞こえないと何度も勘違いされた。
聞こえることを説明するとなぜ喋らないのか毎回の様に言われていた。
喋らないんじゃない喋れないのに。
中学2年の時の出来事
その日は公園でいじめられていた。
筆談用のノートを取られ、破られそうになった。
抵抗すると殴られる。
「もう今日で終わりにしよう。」
心の中でそう思っていた。
いじめられることにも、生きることにも疲れてしまったからだ。
現場は悲惨で教科書やノートが地面に落ちている。筆談用のノートはぐしゃぐしゃでそこには油性ペンで大きく暴言が書いてある。
正直もうどうでもよかった今日で全てを終わらせるつもりだったから
いじめっ子が飽きたのか帰ろうとする時に誰かがこっちに近づいてきた。
オレは
「どうせまたいじめられるんだ。笑われるんだ。どうせ助けてはくれないんだ」
そう思っていた。
だけど
オレの予想とは全く違う方向へ行った。
近づいてきた4人はいじめっ子に何をしていたかしつこく聞いていた。
いじめっ子はその4人を避け颯爽と帰っていった。
オレは地面に座り込んで下を向いていた。
体に力が入らなくて動けなかった。
しばらく座っているとさっきの4人が喋りかけにきた。
震えが止まらなかった。
声が出せないことを知られるとどっかに行かれるんだろう。
筆談用のノートをぐしゃぐしゃにされたせいで今は会話が出来るものがない…
どうしようと考え込んでいると1人がオレの肩をトンと叩いた。
そこでオレはハッとした。
「相槌だけでもしてさっさと終わらせよう。」
そう思っていた。
髪を上げている人がオレに「さっきのやつは友達か?いじめられてるのか?」と聞いてきたが返事のしようがない。
そうしたら1人黒髪のマッシュでヘッドホンを付けている男の子がオレの筆談用のノートに気がついた。
それに気がついた1人がブツブツと何かを言っている。
おそらく「耳は聞こえているのか」と言っていた。
「もうちょっと大きな声で言えよ聴力検査かよ、耳は聞こえてるのか?だってさ」と明るく空気を和ませるように言っていた。
それにオレはコク…と頷いた。
そしてふとリュックの内ポケットに予備のペンとメモ帳が入っていた事を思い出し、それを探す。
メモも何枚か破られていたが「どうせお礼をして終わるだけだから少なくてもいいか」と思っていた
地面に教科書を散らかされてた事を思い出し、片付けようと思ったら黒髪のマッシュの男の子が1箇所にまとめてくれていた。
そしてメモにお礼を書くと1人がオレに色々と質問をしてきた。
「大丈夫ですから、今日はありがとうございました。迷惑をお掛けしてすみませんでした」と書いて1番近くにいた人に渡して、1箇所にまとめてくれていた教科書たちをリュックに投げるように入れ、逃げるようにその場から離れた。
そして家へ帰らずに河川にいた。
陽が沈む頃自分のぐしゃぐしゃにされた筆談用のノートを見返していた。
見れば見るほど苦しくなっていく。本当に死にたくなってくる。
そこから数分して覚悟を決めたオレは最後に声を出そうと頑張った。無理だなそう思い川に飛び込もうとした時後ろから声をかけられた。さっきの黒髪マッシュの子だった。
何でこの子がここにいるのか疑問だった。
何でここに居るのか聞いてみると、ここでみる夕焼けが好きらしい。確かに綺麗だった。オレンジの空が川に反射して川がオレンジ色に染まっている。さっきまでもう少し遠くで見てたらしいけどオレに姿を見てこっちにきたらしい。
まあこんな寒い日に川に飛び込もうとする人なんて死のうとしてる人くらいだろ。目の前で死のうとしてる人がいたらそりゃこっちにくるよなと思っていた。
話を聞くと言われた。最後だし別に話してもいいかとなり、いじめられてる事やオレのせいで別のやつもいじめられてしまった事、声の事や目元の事も全て話した。
ぐしゃぐしゃの筆談用のノートに全てを書いて見せた。
どうせそれくらいで死のうとするなと言われるだけだと思った。
だけど違った
オレの話を聞いて「辛かったな」と言って終わった
そして向こうも自分の事を話してくれた。
ヘッドホンを付けている理由や飴を舐めてる理由を。
空も暗くなった頃、今日は月がはっきりと綺麗に見えていた。
そろそろ帰ると言っていた。オレはその子と話していると自然とまだ生きていたいと思えた。
その子は帰り際に「別に無理に生きろとは言わない。今死んでも後悔しないか?ちょっとしたことでいいんだよ」といいオレに背を向け「じゃあな」といってどこかに行った。
オレは家へ帰った。
家へ帰るといつもは帰りの遅い母親たちが普通にいた。そして帰ってきたオレにいつも通りの「おかえり」を言ってくれた
その後オレが手に持っていた筆談用のノートを見て何があったのかなんとなくだけど察してくれた。
オレは今まで出せなかった涙が一気に出てきた気がした。
そしてあの時自殺を止めてくれた子には感謝している
翌日オレは学校を休んだ。
そしてゆっくりと家で休んだ。筆談用のノートを作り直したり、教科書を拭いたり。勉強の遅れがないように予習をしたりまったりと過ごした
午後5時半ごろ家の固定電話に電話がかかってきた。
学校からだった。珍しく親が休みだったから伝えて電話に出てもらった。
他校の子がオレがいじめられてるのを見て報告に来たらしい。先生が気づいてあげられなくてごめんなさいと謝っていた。
そして翌日オレは学校に行ってみることにした。親からは休んでも大丈夫だと言われたがオレはいじめっ子と向き合いたいし榎本にも巻き込んだことで謝罪をしたい。
学校に着き筆談用のノートを机に出す。しばらく本を読んでいるといじめっ子がこっちへ来た。
話そうと、向き合おうと思っていたけどやっぱり目の前にすると震えが止まらない。
また筆談用のノートになんかされるのか不安だった。
ずっとオレは下を向いていた
そうするといじめっ子から謝罪の言葉が聞こえてきた。そこでオレはいじめっ子達の顔を見てみることにした。今にも泣きそうな顔だった。
オレは唖然とした。
オレが自殺しようとした事はこのいじめっ子達だけに教えたらしい。
前いじめられてる時、謝られても許すことは無いと思っていた。
だけど今は違った。
嬉しかった。謝られて、解放された気がした。
そう思えるのはあの人たちがいたからなんだろう。
オレは風の噂であの人たちが風鈴に行くと聞いていた。
オレはあの人たちにもう一度会いたく風鈴を目指した。
周りからは反対された。
不良の名門校になんて行くな、向いていないと
親からの否定はなかった。
好きな事をしてほしいとだけ言ってくれる。
だからオレは今風鈴に通って、あの時助けてくれた”梶くん”の隣で梶くんを助けるため副級長をやっている。
今も助けられることが多い。だけどその分オレも助けている。
そう思っている。
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