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ずっと皆に尊敬され、好かれ、輪の中にいた。
もともと興味もあり向いていた水の魔法。
幼い頃から基本を習得し、高度な魔法も順調に身につけていった。
魔法学校に入学してからも魔法学科で順調に定期試験を突破し、今やトップレベルとして認められている。
特化型ではないけど、攻撃も防御も高いレベルでオールマイティに扱える。
そんなある日。
上級者しか入れない森の中へ、自主練として入った時のこと。
強大な力を感じ、人生で初めて警戒した。
魔物ではない。
燃え尽くすような炎と熱さ。
圧倒的に強いのに、どこか危うさもある風情。
モトキに初めて会った日だ。
目にかかるくらいの艶がある黒髪、伏し目がちな視線がこちらへ向けられた瞬間に目を奪われた。
一見華奢で、少年のような少女にも見えてしまいそうな儚さ。
どこか仄暗さを持ちながらも、やけに綺麗に澄んだ瞳が只者ではないと訴えてくる。
魔物も周りの木々も、自分自身すら、燃え尽くすような炎。
死ぬ気なのかと驚いて、瞬時に彼を守る水魔法の壁を作った。
「…なんで?」
ぽつりと聞こえた呟きは、柔らかく高めの響き。
空虚と寂しさを感じる声だった。
「おい!?」
ふらりと倒れた体を慌てて抱きとめる。
あの強大な炎を出すとは思えないほどの小さな体に正直驚き、感じた事の無い感情を抱いた。
これが彼との忘れられない出会いだった。