誰しも一度は憧れたことがあるのではないでしょうか。
妖精、精霊、神様、ヒーロー。
人によって種類は異なるでしょうが、一つだけ、共通するものがあります。
『空想上の生き物__』
新作です。上のものをベースに書いていこうと思います。
少し難しめで書いていこうと思うので読みにくいかもしれません。ご了承下さい。
では、行ってらっしゃい。
⚠ご本人様方とは一切関係ありません⚠
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「『桜花爛漫』、少し経てば『桜流し』が始まる時期になってきましたね」
黒板の前に立ちながら自身の知っている単語を幾度も繰り返す彼は、残念なことに、僕の担任である。
眼鏡を掛け、秀才そうに見えるその容姿は、きちんと文字通りの結果を残してきたそうだ。
だがクラスの生徒からは「話が長い」や「同じ単語繰り返してるエセ教師」などと散々な言われようだった。
そんな様子のクラスを変えたいと必死になり、最近では他の授業時間を使ってまでクラス全体と交流を深めようとしている。
意味ないのにと、何で来るんだと、冷たい視線を送られる彼は平然と話を続ける。
「ここから見える八重桜にはいくつもの綺麗な花言葉があるのはご存知かな?『豊かな教養』、『理知に富んだ教育』など、例を出せば様々です」
両の手を広げ、おおらかに言う彼は他の授業中だということを気にしていない。
まあ担当の先生が聞き入っているのだから無理もないだろう。
「さて、皆さんも御存知の通り、明日には新入生がこの学校に入ってきます。そして、この八重桜の開花時期が入学シーズンに被さることからこれらの由来が多くつけられたそうですね」
陽光に照らされた体をこちらに回す。
未だに照らされた眼鏡が光を反射し、天井に模様を作る。
「良い生徒を作る為に、一人一人の行動が重視される時期でもあります。共に頑張りましょう」
演説のような話を満足気に終えると、そのまま教室を出ていく彼。
幸いにも今の時間を担当していたのが国語の担当教師だったので良かった。
以前、数学の授業をしていた際にこのようなことが起き、生憎と文系ではない頭が無理に理解を働かせようとした結果担当の教師が倒れる羽目になってしまった。
その際に、光景を見ていた彼は何故か満足気にしていたのもまた秘密のようだ。
「えー、ではもう一度、先程の文章を復唱してみましょうか」
再度切り替えよく授業に入る彼女は、仮説として、彼の方が立場が上なことに対して逆らえないのだろう。
これだから「社会に出たくない」なんて生意気にも口を揃えて発言をする子供が多発するのだろう。
立場、人間関係、同僚、先輩。
どこに行っても付き纏ってくるそれは、死へと向かうことで逆転することがある。
誰がどう望むのか、誰がどの優しさを手にするのかは、学者にも分かり得ないことだ。
どのような手段を掴んでも、それは個体によって巡る運命に取り込まれるのだから。
授業を締めくくるチャイムが教室内に鳴り渡る。