この作品はいかがでしたか?
4,090
この作品はいかがでしたか?
4,090
優くんhappybirthday❕❕
いい1年にしてね~!
勉強で時間なくて支部に出す予定だったものの書き加えになっちゃったから
もしかしたらココ春あたり地雷かもしれない!!地雷配慮できなくてほんとごめんね😭
※注意
・本誌ネタバレを含みます
・三途があまちょろ
・苦悩感ないです
・カプを色々詰め込んでいるので地雷は自衛お願いします
・ココ春、蘭春(蘭はる)、竜春
上記大丈夫な方のみ、本編へお進みください
AM4:37
春「あ” ~ やっと終わった … っ」
文末まで書き終えるとエンターキーを押し、パソコンの電源を落とす。曲がりきった背中をググッと後ろに反らすと骨の鈍い音が鳴る。いい加減俺も歳かもなぁ、なんて呟きながら九井の置いていった高級珈琲を何の躊躇いもなく手に取ると沸騰し熱くなった湯をマグカップへ慎重に注いでいく。
春「… 何か、寂しいな」
静まり返るオフィスには俺の疲れきった声とまだ冷え切らない白湯のポコポコという音だけが響く。そういえば、最近俺は困っていることがある。大したこと無いと言えば大したこと無いし、しょうもないと言えばしょうもない悩みだが、その悩みの種に俺は毎度のように振り回されていた。
先ず、初めの奴は
蘭「はーるちゃん ♡」
竜「あっそびましょ ~ 笑」
…そう。
眼前でニヤニヤと気色の悪い笑みを浮かべる似ても似つかない此奴ら、灰谷兄弟が最大の悩みの種だ。
兄の灰谷蘭は垂れ目に太い垂れ眉、一見優しそうに見えるが性格は顔に反して残念な程のクズっぷりである。蘭のお気に入りだろうが、気に入らない奴だろうが自分が苛々していたらその時の気分で殴ったりヤリ捨てしたりと、流石の俺でもモブ共に同情してしまう。弟の灰谷竜胆は垂れ目にやはり太いつり眉、兄に反し初対面では性格キツそうだとかそんな事を言われているが。灰谷蘭よりも幾倍とマシなのである。しかし、腐っても灰谷兄弟の片割れ、灰谷の血を引く人間だ。兄貴に劣らずクズ、マシとは言えクズである。言動に行動、何かが気に入らなければ殴る、蹴る、終いには蘭と一緒に幼い少年のような満面の笑顔で楽しそうに名前も憶えていないような奴を死体にしていく。
おっと、長話が過ぎたようだ。
揶揄うように俺の周りをチョロチョロと動き回る灰谷に嫌気が差し何時もと同様に怒鳴ろうと顔を見る、と。目の下にはくっきりと縁取られた隈があったのだ、そういえば此奴ら連続で案件こなしてたんだっけ。折角、綺麗で端正な顔立ちなのに勿体ない。
俺は数センチ上にある灰谷の目の下を指先で優しく撫でる。……俺は何をしているんだろうか。
春「… ちゃんと、寝た方がいいぜ、隈できてるから 。」
蘭「え ~ … じゃあ、春千夜が一緒に寝てくれるなら寝る ― ♡」
竜「兄ちゃんズルい !俺も春千夜と寝たい !!」
抑、一緒に寝るなんて許可した憶えは微塵もないので勝手に話を進めるのを今すぐに止めて欲しい。
この言い合いは埒が明かないなと思い、ソファに腰を下ろすと机に珈琲の入ったマグカップと仕事の書類を置き自分の両膝をポンポンと叩く。
春「俺はまだ仕事で寝れねぇよ 。その代わり 今なら両膝 、空いてっけど ?」
蘭「っっ … 春千夜の膝枕取 ~ り ♡」
春「うわ、それ懐かしっ 、それ 昔すげぇ言ってたよな 。」
蘭「え ―、憶えててくれたの ? 蘭ちゃん嬉しいな ~ !」
きゅっ、裾に皺ができる。原因を辿ると頬を膨らませ白地に拗ねる竜胆の姿が。普段は頭から抜けているが、こういうところを見るとやっぱり末っ子なんだなと感じさせられる。
竜「俺のこと、ほっとかないでよ … 」
蘭「俺の弟が可愛すぎる … ねぇ、可愛いよね !?」
春「そ ― だな、蘭も竜胆も可愛いからいい加減寝ような 。」
蘭・竜「 へ 、? 」
ハイスペック兄弟からこんな間抜けな声が聞ける日が来るとは、随分と警戒心ゆるゆるなこって。梵天でばったり再会してすぐの時は預けられた猫みたいな、そんな感じだったのに。
膝枕が嬉しいのか満足そうな顔をしたり、俺のジャケットやスラックスの匂いを嗅いでは ほっとしたような顔をしたりそういう可愛さが相俟って此奴らが何だか年上には到底思えなくなっていた。頭を撫でてやると、手に頬を擦り付け俺の目をジッと見てくる。自分が可愛いって分かっててやってるな、これは。
俺を揶揄うのも飽き本格的に睡魔が襲ってきたのか、蘭がウトウトと虚ろな目を辛うじて開けている。竜胆に関しては遊び疲れた子供のようにぐっすりと眠りについていた。
寝ていいぞと言って頭を撫でれば、うん…と殆ど意識のない細い声で返事を返す。
蘭「おれら、起きる まで … だめ だから、ね …… 。」
はいはいと適当に偶う、いい加減寝てくれ俺の仕事が進まないんだ。蘭の瞼を優しく触れれば小さく口角を上げ竜胆と手を繋いで眠りについた。
九「三途 ―、このラットの資料って 「 九井、しー … な ?」
九「… なにこれ 。」
春「さぁ、俺にもよーわからん 。」
竜胆色の髪の毛に指を通しながら九井から渡された資料に目を通す。
確認を終え九井の方を見ると、灰谷の頭を撫でる俺の手へ視線が向いていた。
春「九井もしてやろ ~ かぁ?」
九「ぁ … いや、別に俺は … 」
ぐいっ、九井の肉付きの悪い細っこい腕を掴み俺の方へ引っ張ると銀髪の綺麗なロングヘアに指を通す。しっかり手入れされており透き通るほど綺麗な髪質、灰谷とはまた違う柔らかな触り心地。
春「綺麗な … お前 」
九「は ? ぇ … 何、今日 へん …」
春「いや、割とずっと気になってたんだよ、お前 シャンプー何使ってんの ?」
九「……しゃんぷー 、。」
はぁと諦めたような溜息を吐くと、チャイナ服のような真っ赤な布地にキラキラと高価そうな装飾をつけた衣装のポケットからスマホを取り出し素早くスワイプするとサロンのサイトを俺に見せる、此奴すげぇ良いとこ通ってんな。
九「… ここのサロンのやつ、詰め替えやるから帰り取り来いよ 。」
春「え、くれんの !? 九井と匂い一緒になっちまうな、カップルみてぇ 笑」
九「お ~ … 、そうだな …… カップル … 、」
顔を赤らめ歯切れの悪い声を漏らしながらにやけ顔を浮かべる。久しぶりに九井の笑顔を見た気がして俺が笑わせてやったんだと満足感に浸りながら頭を撫でる、自分のガキを撫でる母親もこんくらい幸せな気持ちで撫でているのだろうか。
九井も撫でられ慣れないんだろう。大人しく撫でられながら自分がどうしていいのか分からずオドオドしており行き場のなくなった手だけが前に出ている不格好な姿に思わず失笑してしまった。何笑ってんだと睨まれ何でもないと答える、そんな会話が俺にはすごく楽で仕事で張り詰めていた気持ちの糸が切れたような気がした、もう今日は仕事できないな。
九井の頭を撫でるのが楽しくなりひたすらに撫で回しているとぺしっ、と俺の撫でる手を叩く。嫌になったのかと思い名残惜しいが手を離すと、何を考えているのか無言で九井がソファに座る俺の後ろへ。
瞬間、俺の背中に暖かな人の温もりと骨ばった胸板の感触がした。
九「…… 何か言えよ 、三途」
春「いや、何て言えばいいんだよ … 」
九「ねぇ俺も眠い」
春「寝ればいいじゃ …… 。」
あ、思い出した。俺に膝枕されながら頭撫でられる灰谷のこと見て羨ましそうな顔してたな。ふと数十分前のことが頭に過ぎり、言おうとしていた言葉を止める。
首を上げ九井の顔を見ると、垂れ下がる長い髪の中で下唇を強く噛んでいた。手で九井の唇に触れ指先を形になぞるように這わせる。くすぐったいのかピクッと時折肩が跳ね上がっているのが面白い。
春「後で膝枕してやるから唇噛むなよ 、九井が傷ついちまう 。」
九「っ … このたらしが 、」
春「何とでも言え 笑」
俺の肩に顔を埋める九井の普段見せない姿が愛おしく感じる。
九井の毛先が蘭の顔に触れ風が擽ると、んんっと小さく唸り身もだえをするとまたスヤスヤと眠りにつく。そんな姿を見ていると自然と顔が緩んでしまう。髪を九井の形の綺麗な耳に掛けると、そのまま自分の手を頭部へ持っていき優しく撫でる。手を止めるともっと と強請るのだ、普段はツンとしているがデレるときはとことんデレるんだなと思った。
時間が過ぎる。いつの間にか九井も寝落ちており体制がキツそうだったので申し訳ない気持ちもあったが床に寝転がし近くにあった俺のブランケットを上から乱雑に掛ける。
すると俺の体が動いたのを目覚ましに灰谷の瞼が眩しそうにゆっくりと開かれていく。春千夜、と目覚めきっていない甘い声で名前を呼びながら腹に抱きつくと俺の顔を見上げふふっと笑う。不意に見せられたらその表情にキュンとしてしまったのを誤魔化すように頭を撫でると手に擦り寄る。
春「… 起きたならどけろ 。」
蘭「はぁい、りんど ~ 起きろ ― ?」
竜「んん … にいちゃ 、はる おはよ …」
モゾモゾと動くと無意識的に体を起こし立ち上がる、まだ眠たいのか体重を支えきれておらず時折蹌踉けていた。危ないなと思っていると蘭もゆっくり立ち上がり竜胆の体を自分の方へ寄せしっかりと支える。やっぱり兄弟だなと本日二度目の実感をしたところで蘭から問われた。
蘭「なんで九井 床で寝てんの、過労死 ?」
春「違ぇよ、勝手に殺してやるな 。次は九井に膝枕してやるからお前らが起きるの待って貰ってたんだよ 。」
蘭・竜「ふーん … 。」
面白くなーいと二人で声を上げれば二人で九井の両頬をぺちっと叩く。九井が微かな痛みで目を薄ら開けると、ドアノブに手を掛け俺に手を振る。
蘭「春千夜ばいば ~ い ♡」
春「おう 、ちゃんと仕事しろよ ― 。」
廊下から聞こえる浮かれた声が遠くなりいずれ耳に届かなくなると俺は九井に手を伸ばす。起きれないと両手をだるんと浮かせニヤニヤしている、大きな溜息を漏らすと九井を姫抱きで抱え上げた。
九「え、ちょ … !」
春「起きれないんだろ、このまま部屋に連行でーす 。」
日付越えちゃった、優くんごめんね🙇🏻♀️🙇🏻♀️
コメント
39件
まって書き方めっちゃすきです刺さりました💞