テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
翌週。
私と蓮の婚約が正式に発表された。
「おめでとうございます」
「本当にお似合いですね」
次々に向けられる祝福に、私はぎこちなく笑う。
その隣で、蓮は完璧な笑顔を浮かべていた。
「ありがとうございます」
昨日とは、まるで別人。
「……」
そのとき、蓮の手が私の腰に触れた。
「……っ」
「笑って」
耳元で囁かれる。
「今は婚約者なんだから」
「分かってる」
二人で並んで歩く。
周りから見れば、仲睦まじい婚約者。
けれど――
会場を出た瞬間。
蓮の手が離れた。
「もういい」
「……え?」
「演技は終わりだ」
さっきまでの笑顔が消える。
「俺たちの婚約は、会社のためだ」
「……うん」
「だから、俺に期待するな」
胸の奥が、少しだけ痛んだ。
「しないよ」
そう答えると、蓮は一瞬だけ黙った。
「……ならいい」
そのまま、彼は歩き出した。
私はその背中を見つめる。
――本当に、私のことが嫌いなんだ。
そう思った。
けれど、その夜。
蓮は一人、父親の部屋にいた。
「婚約は予定通り進めます」
「彼女には気づかれていないか?」
「はい」
蓮は机の上に、一枚の写真を置いた。
そこには私が写っていた。
「ただ……問題があります」
「何だ?」
「彼女を調べている人間がいます」
父親の顔が険しくなる。
「まさか……あの事件の関係者か」
「まだ分かりません」
蓮は写真を裏返した。
「でも、俺が近くにいる必要があります」
「……あの子に知られたら?」
「知られないようにします」
少しの沈黙。
そして蓮は、低い声で呟いた。
「嫌われ役くらい、いくらでもやる」
その言葉を――
私は何も知らなかった。
コメント
1件
うわ、2話もめっちゃ良かった…! 蓮の「演技は終わりだ」の冷たい態度と、夜の父親との会話のギャップがすごい。あの「嫌われ役くらい、いくらでもやる」ってセリフ、もう完全に何か隠してるよね。主人公を守るための決意なのかなって思うと胸熱すぎる…! 伏線が張られてて続きが気になりすぎる。次話も絶対読むわ🔥
#戦略結婚
うい
57
#女性向け