テラーノベル
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第三話
中身は蓋を開けてみなければ分からない
⚠️Fjsw×Omr⚠️
この話は創作です。
ご理解の上、お楽しみください
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「じゃあ、俺の残業も手伝って?」
大森は藤澤を見つめたまま固まった。
この言葉の意図が伝わらなかった訳ではない。
しかし、一番初めに思いついた意図はあまりに藤澤らしくなかった。
「…どういう意味?」
大森は恐る恐るといった様子で聞いた。
藤澤は首を傾げると、笑顔のような雰囲気で目を細めて言った。
「俺から隠れてやってた事の続きやろうか」
大森は、やっと意味を理解すると驚きで息を飲んだ。
まずい、やっぱり誤解をされている
「もしかして、りょうちゃん…俺が浮気したと思ってる?」
大森がそういうと藤澤は首を振った。
「正直どっちでもいい」
大森は意図が汲み取れず固まると、藤澤は話を続けた。
「それよりも俺の努力なんだったんだろうって」
そういうと藤澤は微かに顔を顰めた。
「出来るだけ男性スタッフと話さないようにとか、一人のスタッフに頼りすぎないようにとか頑張ってたのに」
藤澤の言わんとしている事を理解した大森は、罪悪感から足元を見つめた。
「なのに元貴はあいつと2人きりになるし、スキンシップっていうかキスしてるし」
藤澤は机の上にあるウエットティッシュに目を向けると、開けて一枚引き抜いた。
大森に近づくと、ウエットティッシュを口元に持っていく。
そして藤澤は汚いものを拭くような顔をして、大森の唇をぐいぐいと擦った。
「俺が同じことしたらどう思う?
想像してみてよ、許せなくて当然だよね」
藤澤が低いトーンで話す。
何度も唇を強く擦るので、ヒリヒリと痛んだ。
「…ごめん」
大森が唇を拭かれながら言うと、藤澤はやっと唇を擦るのをやめた。
藤澤がポイとウエットティッシュを捨てると、次は大森のシャツを睨んだ。
「けっこう胸元開いてるけど、いい所まで行ってたのに邪魔しちゃった?」
大森はそう言われて、やっとシャツに目を向けた。
三嶋に襟首を掴まれた時に、外れたボタンのせいで胸元が大きく開いていた。
「あ…そういう事じゃなくてこれは」
大森はシャツを手で掴むと、胸元を隠した。
「いいよ、隠さなくて」
藤澤が冷たく言い放った。
「むしろ脱いじゃおっか」
「え、」
大森は驚いて顔を上げた。
そんな大森を見下すような顔で藤澤が言う。
「ほら、さっさと脱いで」
大森は首を振ると、許しを乞うように言った。
「ここじゃ…やだ、会社だし」
藤澤は眉間に皺を寄せると、大森を馬鹿にするようなトーンで話した。
「へー、会社でキスしてた人とは思えないね 」
藤澤の嫌悪を含んだトーンに、大森は唇を噛んで俯いた。
そんな大森の様子にも動じず、藤澤はシャツのボタンに手を伸ばした。
大森は小さく肩を跳ねらせたが意図を理解すると、じっと藤澤に従った。
藤澤は既に空いているボタンを飛ばして3つ目のボタンから外した。
残り2つも外すとシャツの前側が開く。
そのままシャツを脱がせると、大森は恥ずかしさから瞳を泳がせた。
会社で何してんだろう
大森は冷静になっていく心に目を向けないように、藤澤を見つめた。
しかし藤澤は、さらに追加で指示をした。
「下も脱いで」
「…えっ」
大森が驚きで目を見開いた。
藤澤が苛立った目線を向けても、大森は首を振った。
「流石に無理」
大森は声のトーンが微かに尖った。
藤澤の怒りは理解できるが、会社で全裸にはなりたくない。
だが、藤澤は大森の腕を掴むと顔を寄せた。
「じゃあ今まで俺が元貴にしてあげた事、どうやって精算するつもり?」
大森は何とも言えない圧を感じると、唾液を飲み込んだ。
返答はせずに、藤澤の言葉を繰り返す。
「…精算?」
藤澤がゆっくりと頷く。
「そう、精算できないなら別れて」
「は!?」
大森は、喉を壊しそうな勢いで叫んだ。
喉の調子を確かめるように咳払いをしてから、もう一度口を開いた。
「…なにそれ」
大森は藤澤が本気なのか、意図を探るように観察した。
対して、藤澤は厳しい目つきで大森の回答を待っている。
大森は緊張から唇を舐めると、口を開いた。
「え…本気じゃないよね?」
「本気だよ」
藤澤が、すぐに返答をすると続けて話す。
「だから元貴も本気でどっちか選んで」
大森は強い怒りに駆られると、意図的に口角を上げた。
「もしかして涼ちゃん、俺と別れられるとおもってる?」
大森は、藤澤の手を取ると恋人繋ぎをするように握った。
さらにグッと力を込めると、藤澤が痛みから顔を顰めた。
「俺と別れたら涼ちゃん居場所ないよ
ミセスからも追い出されちゃうよ、涼ちゃん一人で何が出来んの?」
しかし藤澤は、大森の言葉責めにも表情を変えずあっさりと答えた。
「うん、いいよそれで」
あまりにも軽く答えるので、大森はむしろ傷ついて眉毛を下げた。
藤澤が口を開くと、言葉を続ける。
「音楽もミセスも出来なくなってもいい
それでも元貴がほしい」
突然の純粋な告白に、大森はポカンとして藤澤を見つめた。
対して、藤澤は大森を真っ直ぐ見つめて想いを告げる。
「俺だって元貴のこと独り占めしたい
もう誰にも触って欲しくない」
大森は怒りが溶けていく代わりに、今度は恥ずかしさが心から溢れた。
体温が顔に上がっていくと、耐えられず顔を手で覆った。
藤澤はその様子をじっと見つめて、大森の答えを待った。
しばらく時計の音だけが空間に響く。
大森は顔を上げると、その沈黙を破った。
「…精算、どうしたらできるかな」
そう言うと、瞳を潤ませて藤澤を見つめた。
大森の表情に藤澤の雰囲気が、少し優しくなった。
藤澤が大森の顔を手を寄せると、まるで涙を拭うように頬を撫でた。
「俺、怖かったよね…ごめんね」
藤澤の言葉に大森は顔を振った。
「ううん、俺もごめん 」
藤澤が愛しそうに大森を見つめると、話を続ける。
「元貴好きだよ、大好き 」
そう言うと、大森をギュッと抱きしめた。
藤澤の柔らかい香りに包まれると、大森は目を閉じた。
「元貴は…俺の事好き?」
大森は藤澤の声に顔を上げると、眉を下げて愛しそうに笑った。
「うん、大好き」
藤澤はコクっと頷くと、あっさりと言った。
「じゃあ、服脱げるよね」
大森は、思考が混乱すると身体が強ばるように固まった。
藤澤が話を続ける。
「本当に好きなら証明できるよね」
大森は戸惑いから、瞳を泳がせた。
藤澤から一歩離れると、大森はあえて軽いトーンで話した。
「とりあえず家、帰ろ?」
大森の言葉に、藤澤は微かに瞳を細めた。
それだけで大森を見放したような雰囲気が漂った。
「できるの?できないの?」
大森は藤澤が本気だと悟ると、唇をモゴモゴと動かした。
「う、う…ん」
大森の長いまつ毛が揺れると、今にも泣き出しそうな雰囲気で俯いた。
大森が創り出す空気は “許してあげたい” という強い想いを生み出した。
しかし、それでも藤澤は口を開かなかった。
そんな藤澤の断固とした姿勢にも、大森は見ないふりをして湿っぽく俯いた。
しかし、しばらくそうしても藤澤の雰囲気が変わらない。
こういう時の藤澤は頑固だ。
大森は諦めたのか、被っていた猫を脱ぐように前髪を払った。
すると、途端に投げやりな雰囲気が漂う。
その雰囲気のまま大森はベルトのバックルに指を持っていった。
グイッと皮の端を引っ張ると、 続けてベルトを外す。
そして大森は数秒間、何か言いたげな瞳で藤澤を睨んだ。
藤澤が、その先を急かすように眉を動かすと大森は小さく舌打ちをした。
そして、藤澤が立ってる方向とは反対の方向に小さい声で文句を吐き捨てた。
「信じてるとかいう奴に限って…」
「え、なに」
藤澤が鋭く聞き返すと、大森は他人行儀な笑みを浮かべた。
そして大森はズボンを完全に下げると、畳んで椅子の上に置く。
「はい、ぬいだ」
大森が妙に明るい笑顔を浮かべて言うと、椅子に座って足を組んだ。
藤澤をじっとりと見つめると、嫌味を言う。
「で?嘘発見器でも使うの?」
「あはは、」
大森がそう言うと、藤澤は苦笑いのような表情をして笑った。
「いや、もっといい方法あるし」
挑発的な藤澤の態度に、大森は返事をせずに代わりに突き刺すような目線を向けた。
対して、藤澤は余裕を含んだ笑みを向けたので大森はさらに苛立った。
すると藤澤がその雰囲気を保ったまま、大森との距離を詰めた。
追い詰められた大森は、後ろに下がりながら逃げるように瞳を逸らした。
ふらりと後ろの壁に寄りかかると、ぽつりと呟いた。
「誤解なんだけどね、本当に」
藤澤に言うでもなく、ただ呟いただけのような雰囲気。
むしろそれが、まるで限界の縁に立っているような際どさを感じさせた。
その雰囲気に、藤澤は心が竦んで足を止めた。
しかしその瞬間、大森が短く息を吸った。
何かしようとしている
藤澤は直感でそう感じると、注意深く大森を観察した。
「涼ちゃんまで、俺を操ろうとして…ね 」
地面を見つめていた大森の目線が、ゆっくりと藤澤の瞳に向けられる。
「あんまいい考えじゃないよ」
藤澤は、その大森の雰囲気に違和感を感じた。
一見、怒りに駆られた発言に見える。
しかし、こういう時の大森は冷静な事が多い。
藤澤は考えるより前に、大森に踏みよった。
対して大森も、それを迎え撃つように藤澤に歩みよった。
普段なら気が付かないほど、自然に見える身のこなしだ。
だが、藤澤はその行動でさらに違和感が増した。
大森は口はよく回るが、物理的に痛いのは苦手だ。
相手を殴ったり、殴られたりするのは大の苦手だと言うことを藤澤は知っている。
つまり普段の大森なら、こういう時は出来る限り物理的な距離を確保しておきたいはずだ。
何かを隠してるんじゃないか。
そう思った藤澤は、大森の後ろに目線を走らせた。
大森の後ろには、椅子が並べてあった。
大人数で会議する際に使用する、予備の椅子だ。
一見なんて事はないように見える。
しかし、その椅子の上に大森の鞄が置いてあった。
藤澤がもう1度目線を戻すと、大森は微かに息を止めた。
藤澤の頭の中に確固たる物が弾けると、大森の後ろにある鞄に駆け寄った。
既に開けてある鞄を漁ると、やけにスマホが目に付いた。
藤澤はスマホを手に取ると、大森に渡した。
「ロック開けて」
大森が一瞬だけ眉を顰めたが、すぐに自然な表情を繕った。
そして、スマホに手を伸ばすとロックを解除する。
藤澤は何も手を加えられないように、すぐにスマホを確認した。
しかし、特に変化はない。
それでも藤澤はそんなはずはないと、目を凝らした。
すると、スマホの上部に表示されているマークが気になった。
特別、目を引くように作られている通知アイコンだ。
スマホのシステムのようなマークにも感じた。
何となく通知を開くと、”位置情報送信済み” という内容だった。
「…位置情報」
藤澤は呟くと、はっと顔を上げた。
藤澤は自分の鞄に早足で向かうと、鞄の中からスマホを取り出した。
通知を確認すると案の定、大森から位置情報が届いていた。
「…そういうことか」
大森のスマホには通報システムが付いている。
ホームボタンを連続で3回押すと、あらかじめ設定していた端末に位置情報が共有されるというものだ。
事前に設定されている端末は藤澤と若井、mgaチームマネージャーの石村さん、この3人だ。
藤澤がスマホから大森に目線を移すと、大森は照れ笑いをするような雰囲気で笑った。
「間違えちゃった」
しかし間違えではなく、確信犯だと言うことくらいは藤澤にも理解できる。
「これが間違えなわけ」
藤澤が文句を口にするが、大森が遮った。
「早く間違えだって教えてあげないと大変なことになっちゃうね」
そう言うと、藤澤は見たこともないほど眉間に皺を寄せた。
そして、声のトーンをぐっと落とすと釘を刺すように言う。
「よく個人的な喧嘩に他人巻き込めるよね
何、考えてんの」
途端に、雰囲気が攻撃的な物に変わった。
それもそのはずだ。
藤澤は他人に迷惑をかける事を嫌う。
しかも、こんな下らない喧嘩が原因という事実に強い罪悪感を抱くはずだ。
大森は対象的に罪悪感など感じてもいないような態度を取った。
「だから、間違えたって言ってんじゃん」
藤澤は小さく息を吐き出すと、スマホを操作した。
続けてスマホを耳に当てると、話し始めた。
「あ…若井、おつかれ
元貴から位置情報送られてない?」
今度は大森が眉を顰めた。
大森の狙いは、この喧嘩を終わらせて自宅に帰る事。
それを引き換えに、緊急通報の訂正を入れる予定だった。
しかし、よく考えてみたらその訂正は藤澤がしても問題はない。
大森は、それを見落としていた。
「うん、だよね
心配しないで、元貴の癇癪だから」
「は!?」
大森は、つい藤澤に駆け寄った。
間違いではなく大森の癇癪だと、マネージャーの石村に伝わったら不味い。
そうなったら1番叱られるのは、大森だ。
「あ、声聞こえた?
元貴、目の前にいるから」
「違う!間違えたの!!」
大森が大慌てで叫ぶと、藤澤も頷いた。
「まぁどっちにしろ、来なくていいよ
石村さんにも伝えといて」
大森は藤澤の右手を掴むと、スマホを引き寄せた。
今の状況を伝えれば、若井なら来てくれる。
「若井!!いま」
大森が説明しようと躍起になると、藤澤が顔を寄せてきた。
目が合ったのも一瞬、口を塞ぐように唇を押し付けられた。
「ぅ、ん!!」
大森が驚いて一瞬、硬直している間に舌が口内に入り込んでくる。
「っ、あ」
いつもとは違う、強引なキスに息が出来ず大森は喘ぐような声を上げてしまった。
すると、スマホがピロリと電子音を鳴らして通話が切れた事を伝えた。
藤澤はスマホに目線を走らせると、通話が切れた事を確認する。
そして、やっと大森を解放した。
「これで、もう若井は来ないね」
そう言うと藤澤は、まるで愉悦に耐えらなかったように笑った。
その表情は、大森の心を強く揺さぶった。
藤澤にも大森への執着がある事が、初めて実感できたからだ。
コメント
12件
こんなに素敵な残業があったなんて、、、😭これならずっと続いてほしい()今回もめちゃくちゃドキドキしながら読ませていただきました!!ドSな涼ちゃんほんとやばい、、攻め方が容赦ないかんじ?穴がないのに、だからこそ余裕たっぷりな感じが良すぎて、ずっときゅんきゅんしっぱなしでした!
藤澤の怒りの中に隠れた執着が最後のキスで溢れ出たシーン、めっちゃ鳥肌立った…!会社で全裸になれって言われてパニックになりながらも、位置情報送信で逃げ道作ろうとする大森の機転も好き。でも藤澤が電話切りながらキスで黙らせるの、嫉妬と独占欲がヤバくて最高だったわ。この2人、本当に離れられないんだなって実感した🔥
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🫧想美🎐🍏
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#同担拒否
紅葉🍁🐥
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